NURBURGRING 24H RACE

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2019.06.07 - ニュルブルクリンク24時間レース・事前レポート
「ヒントが数多く得られた予選レース」

RACE REPORT

5月19日のニュルブルクリンク24時間レース予選レースから早くも3週間が経過。6月17日からはいよいよ24時間レースのレースウィークがスタートします。今年の24時間レースには、全160台がエントリー。その内SUBARU WRX STIが属するSP3Tクラス(排気量2.0L以下のターボ車)には8台がリストアップされています。WRX STIのカーナンバーは、予選レースと同じ「88」となっています。STIチームは、辰己英治総監督をはじめとする先遣隊が14日に日本を立ち、SUBARUディーラーメカニック全員を含む本隊は、16日に現地入りします。
さて、5月19日の予選レースではSP3Tクラストップで6時間を走破したSUBARU WRX STIでしたが、その後の整備状況や決勝レースに向けた準備などについて、STI総監督辰己英治に話を聞きました。
MSM 予選レース後アデナウのガレージで車両はオーバーホールされたと聞いています。
辰己 「予選レース翌日に車両をバラバラに分解し、エンジン、トランスミッションアッセンブリー、リヤデフ、サスペンションリンクなどをレース用のフレッシュなものに載せ替えています。オーバーホールの過程で、大きな問題点は見つかっていません。また、昨年何度も超過が指摘されてドライバーたちのストレスとなった排気音量についても、サプライヤーさんのご協力で音量が3〜4db下がったものを装着したので、レース中の音量チェックでも全く問題ありませんでした。しかもエンジンパフォーマンスには影響ない範囲です。ただ、路面にタッチする接地が例年よりも多く、一部のボルトなどが擦過のため磨耗しているのを発見しました。今回は夏のレースのため、ラジエター容量を大きくしており、その重量増で路面タッチが増えている可能性があります。24時間レースは予選レースの4倍の距離を走らなければいけないので、そんなことに足元をすくわれないよう対策を用意しました。サスペンションのバネレートも少しだけハード方向にもっていくつもりです」
MSM 予選レース後の心配事は他にはありませんか。
辰己 「心配はもちろん、色々とあります。今回も山内と井口は、現在のセッティングで24時間を十分戦えると評価していますが、カルロとティムは少し異なる意見があるようです。予選レースではシャシーセッティングと合わせて、コンパウンドの異なるタイヤをいくつか組み合わせてテストしており、その組み合わせによる違和感なのかもしれません。また、山内と井口は国内テストでこのクルマを十分走り尽くしているので、慣れていると言えるでしょう。カルロとティムも周回を重ねるうちにセッティングの意図を理解し、慣れていってくれると思います。とは言え、なるべくドライバー全員が満足いくセッティングにしてあげたいので、これについてもあれこれ仕様を考え、改善に向けた追加部品を用意しました」
MSM 今年のクルマのパフォーマンスを辰己さんご自身ではどのように評価していますか。
辰己 「冷静に振り返ってみると、今年のマシンは計画通りに進化していることが確認できています。トップスピードも伸びましたし、レースラップでは去年のクルマより1周あたり“5”秒位速くなっています。レース中に井口が9分1秒を出していますし、カルロも終盤の磨耗が進んだタイヤでも9分1秒台を記録しています。本番の予選で条件さえ良ければ、念願の8分台突入が叶うかもしれません。また、燃費が昨年に比べて3~4%良いのも良い傾向です。ECUのソフトウェアを入れ替え、様々な制御ができるようになったことが第一ですが、コーナリングスピードが上がり、ブレーキによる減速の度合いが下がったことも影響していると思います。減速が少なければコーナー出口での全開加速も少なくて済みます。これによってブレーキも保護されるでしょうし、作戦面での選択肢も増えます。鮫肌による空気抵抗低減も影響しているかもしれません。一見良いことだらけのように見えますが、それらの間に何か見逃している問題点がないか、慎重にチェックをしています。それによってボルトの磨耗も発見できましたし、セッティング微修正のアイディアを色々考えることができました。今年の予選レースは、いろいろなヒントが得られたという意味で大変有意義だったと言えるでしょう」。
17日からのレースウィークでは、まず18日(火)に車検がありますが、これは予選レース時に通過しているので問題が指摘される可能性は低いと考えられます。19日(水)にはドライバーのチェックインが開始され、20日(木)から走行セッションがあります。フリープラクティス走行を経て、同日夜20時30分から3時間の予選1回目が行われます。路面が冷える夜間のため、天候次第ではベストタイムが出やすい時間帯と言えるでしょう。もっともこの時期のドイツは日没が遅く、おそらく22時近くまではデイライトで走行できるはずです。21日(金)にも予選2回目が行われますが、各チームとも決勝レースに向けたセットアップチェックがこの時間帯に行われると予想されます。決勝レース日の22日(土)は午前中にウォームアップ走行枠があり、13時30分よりグリッド整列が始まり、15時20分からのフォーメーションラップに続き、同15時30分に24時間の決勝レースがスタートします。ドイツと日本では7時間の時差があり、決勝レースのスタートは日本時間同日22時30分となります。レースウィークからはこのモータースポーツマガジンでは詳細レポートを現地から配信する予定で、レース中は1時間ごとにアワリーレポートをお届けします。
2019.05.20 - ニュルブルクリンク24時間レース予選レース
SUBARU WRX STIは、ノートラブルで6時間レースを走破

RACE REPORT

5月18日(土)・19日(日)、ドイツ・ニュルブルクリンクで6月の24時間レースに向けた6時間の予選レースが行われ、 SUBARU/STIチームのSUBARU WRX STI(カルロ・ヴァンダム/ティム・シュリック/山内英輝/井口卓人)は、クラス1位グリッドからレースをスタートし、ノートラブルで走破。総合34位、SP3Tクラストップでチェッカーフラッグを受けました。
予選レースの週末は、不安定な天候の中、行われました。完全ドライコンディションだった18日午前のプラクティスでは、SUBARU/STIチームはセッティングチェックとタイヤやブレーキなどレースで使用するパーツの慣らし運転を実施。グランプリコースにおける2時間半の走行枠のうち、約1時間を残して走行を終了しました。STIの辰己英治総監督によると、「ほぼ、富士で繰り返したテストのセッティングのままで何も問題はありませんでした。午後のプラクティスはフルコースで行われます。ノルドシュライフェを走らせて挙動がどうか、ということが大事なので午前は早めに切り上げました」と語っています。多くの参加チームは、24時間レースに向けた車両のセットアップチェックとドライバーの慣熟を目的にこのレースに出場しています。午後に設定された1時間半のプラクティスでは、まずはヴァンダム、シュリック、井口がSUBARU WRX STIに乗り込み、それぞれフルコースを走りました。途中路面が整備されて表面が修復されている区間があるとのことです。プラクティスセッション開始時には、曇り空で路面はドライでした。しかし、30分もすると北のほうから雨雲がコース上を覆い、雨が降り出しました。やがて雨脚は強くなり、コースオフしてダメージを負うマシンが続出。WRX STIは、山内が乗り込みましたが、なかなか好転の兆しがないためここで走行を終了することにしました。その後雨は上がり、雲間から青空が見えるようになりました。今年は、雨でも気温がさほど低くなく、20度前後でした。
この時期のドイツは日没が遅く、9時過ぎまで明るい時間が続きます。この日午後6時45分からスタートした予選レースのための予選1回目では、SUBARU/STIチームは、各ドライバーが計測ラップを1周ずつ走り、クォリファイを済ます計画でした。予報に反してコースコンディションはドライです。4名が走り終わると、再び弱い雨が降り出しました。4名の中で最速ラップタイムだったのは、山内でした。タイムは9分04秒508で、SP3Tクラスではトップ、参加98台中41番手タイムです。山内は、「クルマの感触はとても良いです。たった1周走っただけでこのタイムが出ましたし、手応えありですね。もうすこし走り込んで行けば、まだタイムアップの余地はあると思います」と語っていました。SUBARU/STIチームは、決勝レース日の朝行われた予選2回目をスキップ。余裕を持って決勝レースに臨みました。なお、予選2回目は雨でフルコースウェットコンディションでした。
決勝レースは11時50分にフォーメーションラップが開始。この時点で雨は上がっていましたが、インターミディエイトタイヤを選ぶチームが多かったようです。SUBARU/STIチームは、ヴァンダムがスタートを担当。タイヤはインターミディエイトをセレクトしました。時計の針が12時を示すと同時に、6時間レースはスタートしました。ヴァンダムは良いスタートを切りましたが、コースコンディションは急速に乾いており、一周ののちピットインしてスリックタイヤに交換。その後は、安定したラップタイムで周回を重ね、約70分後に第2走者のシュリックに交代。彼もステディなドライビングで、マイレージを積み重ねます。3人目の山内は、最もハードなタイヤを装着して走行しています。タイヤグリップと摩耗のデータを取ることも重要なメニューのひとつでした。続く井口は、逆にソフトなタイヤを履いてピットアウトしていきました。その結果、この日のチーム最速ラップである9分1秒597を記録。最後にヴァンダムもソフトタイヤで約30分間周回し、彼も9分1秒台をマークしています。
STI辰己英治総監督は、「昨年うまくいかなかった点を改善し、国内テストで走行実績を重ねてきた甲斐がありました。クルマは速くなりましたし、ここまでは順調です。しかし、まだ改善すべき課題をひとつ発見したので、これから対策を考えます。今回は、ノートラブルで6時間を走りましたが、24時間レースはこの4倍を走らないといけません。あとひと月の間にしっかり準備して24時間レースに備えたいと思います」とコメントしました。
井口卓人は、「クルマの状態が良く、また意外にも決勝レースがほぼドライコンディションで戦えたので、僕たちは良いペースが築けました。とても良い感触だったと思います。ベストタイムは、たまたまコースが空いていただけだと思いますが、間違いなくこれまでのクルマと比べる楽にタイムが出るようになりました」と話しています。山内英輝は、「全体的によい流れだったと思います。僕はハードタイヤを試しましたが、6月の暑いレースを考えれば良いテストになったと思います。トラブルもなく気持ちよくレースができました」と語りました。
2019.03.12 - ニュルブルクリンク24時間用車両公開レポート
改良を施したニュルブルクリンク24時間用車両を公開

RACE REPORT

3月10日、富士スピードウェイにおいて開催した「STI MOTORSPORT DAY」において、今年6月20〜23日に行われるニュルブルクリンク24時間レース参戦車両であるSUBARU WRX STIを公開しました。
この車両は昨年のニュルブルクリンク24時間レースのSP3T(2リッターターボ)クラスで優勝したSUBARU WRX STIを改良した車両で、ドライバーはカルロ・ヴァンダム、ティム・シュリック、井口卓人、山内英輝と4人全員がそろいました。そしてこの4名の手によって車両はアンベール。“サメ肌塗装”と命名されたマット塗装の新しいカラーリングを初披露しました。
2018年の大会でWRX STIはSP3T(2リッターターボ)クラス優勝を成し遂げましたが、車検から決勝レースまでさまざまなトラブルを抱えたこともあり、2019年モデルではそのトラブルシュートを含む改良を施しました。具体的には、立ち上がりや追い越し時の加速性能を向上させるためのローギヤ化、シフト時のエンジン回転変化とシフトショックを抑えるためのステップ比調整、クラッチ慣性マス最適化によるパドルシフトショック改善とエンジン耐久の両立、防水ECUの採用、パワーステアリング配管の見直し、マフラーとホイールの仕様変更などを行いました。またサメ肌塗装で空気を整流し空気抵抗を減らしていますが、特にフロントフェンダー上のルーバーとミラーはよりザラザラしています。
2019モデルをドライブしたヴァンダムは「久しぶりにWRX STIを運転しましたが、全体的に性能が向上しています。STIは素晴らしい仕事をしてくれました。STIからニュルブルクリンク24時間に出場するのは今回で10回目です。日本のファンにはなかなか会う機会がありませんが、応援を肌で感じています。優勝できるように頑張りたいです」と優勝への意欲を語りました。またシュリックは「素晴らしいクルマになっています。ブレーキ、ハンドリング、ギヤとどの部分も性能が向上しています。日本に来たのは2回目ですがこのレイアウトになってからのの富士は初めてなので、ゲームを使って勉強をしてきました。SUBARUファンのサポートにはいつも感謝していますが、ぜひドイツに来て現地で応援してほしいと思います」と終始笑顔を見せていました。
なお、今年のNBRチャレンジの現地メカニックとして全国のSUBARUディーラーから集まった精鋭メカニックは、2名増の8名。辰己英治総監督は「このわずか3日間のテストでも動きや仕事が見違えるように良くなっていて成長を感じます」と高い評価をしています。車両は5月18〜19日に現地で行われる予選レースに出走予定で、そこで舗装路面の変更されたコースを初走行。さらにコースにアジャストさせ6月の本戦に臨みます。
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