2021.10.31 - 全日本ラリー選手権 第4戦 久万高原ラリー Leg2
鎌田卓麻が3位表彰台を獲得しシリーズ3位に
2021年の全日本ラリー選手権第4戦 久万高原ラリーは、10月31日(日)の競技最終日を終えて、SUBARU WRX STIの鎌田卓麻/松本優一が3位を獲得しました。また、新井大輝/小坂典嵩は5位、新井敏弘/田中直哉は6位で完走を果たしています。

ラリー最終日は、23.28kmのSSを2度走行する変則的な構成。前夜から降り続いた雨によって路面コンディションは前日から一転、ウエットコンディションでのラリーとなりました。鎌田は前戦のハイランドマスターズでも投入したウェット用のNEWタイヤを装着し、この日最初のステージでSS2番手タイムをマーク。3番手の新井大輝に7.2秒差の4番手に浮上します。最終SS、鎌田はステージの一部が乾きつつある路面でさらにタイムアップ。SS3番手タイムで、さらにポジションを上げて3位でラリーをフィニッシュしました。
これで鎌田は5戦連続で3位を獲得。2021年の全日本ラリー選手権ドライバーランキングで3位に浮上しシーズンを終えました。途中まで3番手を守っていた新井大輝はタイヤの摩耗もありペースを落としての走行となり5位、新井敏弘も同じくタイヤ摩耗によって6位でラリーを終えています。
なお、JN3クラスでは、鈴木尚/山岸典将のSUBARU BRZ(ZC6)が2戦連続で勝利を獲得。今回、新型BRZ(ZD8)で参戦した竹内源樹/木村悟士はクラス4位で完走を果たしています。

今回の結果で選手権ランキング3位を確定させた鎌田は、「今日最初のSS7では、タイヤのウエット性能に助けられました。WRX STIのセットアップについては問題なく、思ったとおりに攻めることができました。これでシリーズランキング3位に入ることができたので、その点は良かったです。ライバルがスピードを増すなか、僕らのネックになっているのは重量差だと思うので、来年はもっともっと軽量化して頑張れたらと思っています」と、今後の改良点についても語っています。
新井大輝は、「今日最初のSSは道の上にいるだけで100点満点というくらい危なかったです。タイヤも厳しく、2本目はこれ以上速く走れませんというくらい、目一杯走りましたが……」と、厳しい戦いを振り返りました。最終日に順位を落としてしまった新井敏弘は「今回はライバルと比べてクルマの重さが効いてしまって、あまりいいところがありませんでしたね」とコメントしています。

・担当車両:富士スバル AMS WRX STI
・浅迫史也
・広島スバル株式会社東雲店 メカニック
「SUBARUに入ってラリーというモータースポーツがあることを知りました」という浅迫は、2020年シーズンに参加する予定になっていたものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響により断念。1年越しで念願が叶い、今回晴れてメカニックとして全日本ラリーに参加することとなった。
作業は足まわりのトルクチェックなどを担当。ラリーへの参加は今回が初めてで、実際に間近でラリーカーを見るのも初めてという。ラリーカーの整備作業の印象を聞くと、「すごい熱気と緊張感、スピード感で、指示されたことをこなすだけでも、あっという間に時間がすぎていきました。最終日の朝には、ダンパーを4つとも交換する作業があり、右の後ろを担当させてもらいました。緊張しましたが、チームの方が『落ち着いてやれば大丈夫』と声をかけてくださったことがうれしかったです。何度も頭の中で段取りを考えながら本番に臨みました」という答えが返ってきた。
さらに「チームのメカニックの方々は、損傷などに瞬時に対処していく判断力がすごいと思いました。それに、店舗ではリフトで作業をしているので、ウマをかけた状態で、体ひとつで作業をこなしていくチームの方は格好いいなと思いましたね。普段は複数人で作業を行うことはあまりないのですが、ラリーチームでは限られた時間のなか複数人で1台のクルマをメンテナンスします。“周りを見て動く”という点は、普段の業務でも採り入れられる部分だと思いました。時間の効率についても、今やっている作業に加えて、二手三手先を考えながら取り組むことができれば理想ですね」と、振り返った。
ラリーを終えて、「ひと言で現すなら楽しかったです」と笑顔を見せた。
「大変ですし緊張もしましたが、普段の仕事に活かせるものが得られたと思います。先輩のメカニックには2019年のニュルブルクリンク24時間レースに参加した方もいるので、私ももっと経験を積んで、自信をつけてそういうチャンスにトライしてみたいと思います」
2021年の全日本ラリー選手権は、今回のラリーをもってすべてのスケジュールを終了しました。ライバルがスピードを増す厳しいシーズンとなり、SUBARU勢最上位は鎌田卓麻/松本優一のシリーズ3位という結果になりましたが、多くの皆様に応援をいただき、戦い抜くことができました。2022年の全日本ラリー選手権に出場するSUBARUドライバーたちに、引き続き熱い応援をよろしくお願いいたします。