(スウェーデン)2010年P-WRC開幕戦「ラリー・スウェーデン」が2月11-14日、カールスタッドを拠点に開催され、ゲスト枠で参戦したSUBARUインプレッサWRX STIのパトリック・フローディンがスタートから首位を譲らない完璧な走りで、2008年のGB以来となるP-WRC勝利を母国スウェーデンで挙げた。また2位にもインプレッサのアンダース・グロンダルが入り、SUBARU勢が今季P-WRCの幕開けを1-2フィニッシュで決めた。
ラリー・スウェーデンは、今季WRCカレンダー唯一のスノーラリー。2月11日、本拠地カールスタッドでのスーパーSSでラリーは幕を開けた。このステージでベストタイムをマークしたフローディンは、翌日からの本格的なステージでもその速さを維持する。デイ2には、セッティングを変えたサスペンションが路面にマッチしないなどのトラブルもあったが、日中のサービスで改善。その後も、圧倒的な速さを発揮した。最終的にラリーに設定された全21SS中、14本でステージウィンを獲得したフローディンは、オープニングステージから首位を譲らないパーフェクト勝利を決めた。
一方、ノルウェーのアンダース・グロンダルは、SS3では先行車に追いつき、日没後に行われたSS7ではライトポッドを失い灯火なしでの走行となるなど、トラブルが続く。デイ2になっても、溝に着地した際にエアインテークに雪が詰まるなど波乱の走行が続いたが、それでも昨年のP-WRCチャンピオン、アルミンド・アラウージョを抑えて2位に入った。またイタリアのジャンルカ・リナリも7位に入り、ポイント獲得を果たした。
< パトリック・フローディン >
「開幕戦で勝利と、今季は最高の滑り出しとなった。絶対にP-WRCをフルで戦いたいと考えている。さらに母国ラリーでの勝利なので、良いことずくめのラリーとなった」
(メキシコ)P-WRC第2戦「ラリー・メキシコ」が3月5-7日、レオンを拠点に開催され、SUBARUインプレッサWRX STIの新井敏弘が、今季最初のノミネートイベントで2位に入賞し、順調なシーズンの滑り出しを見せた。
本格的グラベルラリーのラリー・メキシコは、空気が薄くなる高地の山岳路を走行するため、マシンにもクルーにも過酷なコースだ。イベントは、3月4日、グワナファトでオープニングセレモニーを行った後、翌5日から競技がスタートした。今季から、新しいコ・ドライバーにダニエル・バリット(英国)を迎え、心機一転、シーズンの幕開けを迎えた新井は、開幕ステージで先行したアルミンド・アラウージョに9.4秒差で続き、SS2で逆転に成功した。しかし、その後ツイスティなセクションで苦戦。首位を再びアラウージョに明け渡す。新井は、デイ2最初のSS10でハードアタックを見せるが、この影響でブレーキがベーパーロックしてしまい、その後のリエゾンで急な下り坂でコースオフしてしまう。新井は路肩でマシンを修復し競技に戻ったが、その後パンクで3分以上をロスしてしまう。この時点で2位キープを決めた新井は、堅実にこの順位を維持してフィニッシュを迎えた。
ジャンルカ・リナリは、デイ2以降オーバーヒートに悩まされ続けた。それでも5位でフィニッシュし、開幕戦に続きポイントを獲得した。
< STIジョージ・ドナルドソン >
「トシ(新井)は、素晴らしい走りを見せてくれた。新しいコ・ドライバーを迎えてペースノートの段取りが変わったり、オーバーヒートのトラブルなど諸処の問題があったが、見事に克服した。今季のタイトル争いは確実に1位か2位を獲得していくことが鍵だと見ているので、トシはいい滑り出しを迎えたと思う」
(ヨルダン)2008年にWRCに初昇格したヨルダン・ラリーは、40度に達することもある暑さと、壮大な景観の中を抜ける砂質のグラベル路が特長。また首都アンマン近郊の林道が標高1000m付近を走行するのに対し、ヨルダンバレー周辺のステージは海抜-400mとユニークな標高差も特色だ。前戦メキシコをスキップしたフローディンは、SS1でトップに立ったが、以降は他のトップドライバーとベストタイム獲得合戦となり、総合タイムでも10秒台に3台がひしめく激戦となった。フローディンはSS3で巨石にヒットしステアリングアームを曲げて首位をアラウージョに譲るものの、サービスに帰還。SS4でトップを取り返すものの、その後も激しい首位攻防戦を繰り広げた。翌デイ2も熾烈なバトルは続いたが、今季絶好調のフローディンはこの日は首位を譲らず、アラウージョとの差を広げてデイ2を終えた。デイ3で残るステージは約100km。フローディンはこの日設定された8SS中、7本でステージウィンを獲得し、最終的にアラウージョに2分近くの大差をつけての今季2勝目を飾った。
< パトリック・フローディン >
「アクシデントにも見舞われ勝負は決して楽ではなかったがフィニッシュにこぎつけ、結果14のステージウィンを獲ることができた。今季はここまで好調で、5ラリーに参戦して全て優勝。本当にパーフェクトだ!」
このほか、キプロスのスピロス・パブリデスが4位、地元ヨルダンのチャンピオン、アルハッド・ファラが5位、中国・上海FCACAラリーチームから参戦した王睿が6位に続き、SUBARU勢が活躍を見せた。
(ニュージーランド)FIAプロダクションカー世界ラリー選手権(P-WRC)第4戦「ラリー・ニュージーランド」が5月7-9日、ニュージーランド北島のオークランドを拠点に開催。母国ASNの推薦枠であるゲストエントリーで参戦した地元ニュージーランドのエマ・ギルモアがPWRC 2位でフィニッシュした。
今年のラリー・ニュージーランドは、本拠地を4年ぶりにオークランドに戻したことで、北島北部の伝統的なステージが復活。ブラインドクレストや特色ある馬の背状の路面などの特色を持つ高速グラベルステージがドライバーに人気だ。今年はオールターマックのスーパーSS(1.5km)が新設された他、サービスパークも市街地に近いクイーンズワーフに移された。3日間の総競技走行距離は、計396.50km・21SS。
PWRCニュージーランド戦に参戦したSUBARU勢は、ギルモアの他、日本の新井敏弘、イタリアのジャンルカ・リナリ、中国の王睿、そしてギルモアと共にゲストドライバーで参戦したリチャード・メイソン。開幕ステージでトップに立ったのは、地元のメイソンだった。その後SS3まで首位を維持したが、SS6でコースオフ、リタイアとなった。今季2戦目に挑んだ新井は、SS3でリアをヒット。その後、SS6ではパワステにトラブルが発生し、このステージを終了した時点でデイ1撤退を決断した。一方のギルモアは、初日を2位でフィニッシュ。デイ2序盤にはパンクに見舞われたものの、デイ3にはベストタイムを2回マークする活躍を見せ、自己ベストとなるP-WRC2位でのフィニッシュを果たした。デイ2に再スタートした新井は、5位まで追い上げてフィニッシュ、ポイント争いで3位に浮上した。持ち前の堅実な走りを見せたジャンルカ・リナリが6位、王睿はSS19でリタイアとなった。
(フィンランド)
P-WRC第5戦「Neste Oil ラリー・フィンランド」は7月29-31日、フィンランド中部の学園都市・ユバスキラを拠点に開催。開幕戦のスウェーデンで2位に入ったSUBARUインプレッサWRX STIのアンダース・グロンダル(ノルウェー)が、難関のフィンランド戦で4位に入った。
P-WRCフィンランド戦に参戦したSUBARU勢は、グロンダルの他、スウェーデンのパトリック・フローディン、イタリアのアレッサンドロ・ブルスケッタ、中国の王睿、そしてポルトガルのヌノ・バロッソ・ペレイラの5台だった。
シリーズ2位につけているフローディンにとって、1位のアルミンド・アラウージョがスキップする今回は、首位に浮上する絶好のチャンスとなった。しかし今回、フローディンが使用するのはレンタルのマシン。自身での走り込みが少ないマシンは、パワーに満足がいかず苦戦を強いられた。開幕スーパーSSは4番手につけたフローディン。本格的な競技が始まるとトップ3タイムを維持するが、SS5で右フロントのドライブシャフトを破損。SS7ではステージウィンを獲得して本領を発揮したが、SS8で右フロントのダンパーを破損して30秒以上のタイムロス。それでも2位でデイ1を終えたが、デイ2・3本目となるSS14で油圧系トラブルによりリタイアとなった。
一方のグロンダルは、開幕SSで7位につけると、上位陣の脱落などにあり5位でデイ1を終了。デイ2ではSS16で3番手タイムをマークするなど安定した走りを見せて、4位でフィニッシュを迎え、ランキング4位に浮上した。開幕SSで11位につけた王はデイ1で2度のパンクに見舞われたが、ラリー全般で安定したペースを守り、8位でポイント圏内フィニッシュを果たした。ブルスケッタはSS6でコースオフ、バロッソ・ペレイラはSS2でテクニカルトラブルにより、それぞれリタイアとなった。
(ドイツ)
FIAプロダクションカー世界ラリー選手権(P-WRC)第6戦「ADACラリー・ドイッチュランド」が8月20-22日、ドイツ最古の都市、トリアーを拠点に開催。今季2勝を収めているSUBARUインプレッサWRX STIのパトリック・フローディン(スウェーデン)が3位でポディウムフィニッシュ。日本の新井敏弘は、初日にデイ撤退したが再スタートして挽回、最終的に6位でフィニッシュした。またフローディンはシリーズ2位、新井は4位を堅守している。
今季のP-WRCでは初の舗装ラリーとなったドイッチュランドは、3つのラリーをひとつにしたイベントのようだと言われるほど、デイ毎に路面特性が大きく異なるシリーズ屈指の難ラリーだ。今ラリーには、P-WRCの他、S-WRC、J-WRCとWRCの全サブカテゴリーのタイトルが懸かり、SUBARU勢からは、新井、フローディンの他、ポルトガルのヌノ・バロッソ・ペレイラがトミ・マキネン・レーシングからP-WRCにエントリーした。
新井はSS4でプロペラシャフトを破損してデイ1を撤退。再スタートしたデイ2では2回のパンクにも見舞われたが、セッティングを変えて臨んだ最終日にはベストタイムを連発。6位まで順位を上げてのフィニッシュを果たした。一方、初日に激しい2位争いを繰り広げたフローディンだったが、オーバーヒートに悩まされた上に、ラスト2本目ではシフトレバーが破損するトラブルが発生。何とか走り切って3位フィニッシュを遂げた。バロッソ・ペレイラも9位に入り、SUBARU勢は全車が難関ラリーでP-WRCポイントを獲得した。
P-WRCの次戦、第7戦「ラリージャパン」は、9月10-12日、北海道・札幌市を拠点に開催の予定。
(日本)
FIAプロダクションカー世界ラリー選手権(P-WRC)第7戦「ラリージャパン」が9月9-12日、北海道札幌市を拠点に開催。開幕戦スウェーデン、第3戦ヨルダンで勝利を収めているパトリック・フローディン(スウェーデン)が、インプレッサWRX STIを駆り今季3勝目をマークした。また他のSUBARU勢は、ジャンルカ・リナリ(イタリア)が自身最上位となる3位でフィニッシュした他、王睿(中国)も5位に入る大健闘を見せた。日本ファンの期待を集めた新井敏弘は、SS4でリタイアとなった。
首位浮上に向けて絶好のチャンスとなった前戦フィンランドで痛恨のリタイアを喫したフローディン。タイトル獲得に向けて、このラリージャパンは絶対に落とせない一戦となった。そのフローディンが最大のライバルと目したのが、同じく日本戦にタイトルの可能性を残す新井敏弘だった。その新井は開幕のスーパーSSで首位に立つと、絶好調ぶりを発揮。しかしSS4の高速ストレートで、うねりの連続にタイミングが合わず、立木に衝突して転倒。マシンのダメージが大きく、まさかのリタイアとなってしまった。
新井の脱落で首位に浮上したフローディンは、この時点で2位に1分4秒と大量マージンを築き上げていた。しかしその後もペースを落とすことなく、全26SS中13本のベストタイムをマークした他、それ以外でもすべてをセカンドベストでまとめ、最終的には2位のヘイデン・パドン(ニュージーランド)に2分45秒まで差を広げる圧倒的な強さで今季3度目の勝利を獲得。ポイント争いでもシリーズ首位に浮上した。
(フランス)
FIAプロダクションカー世界ラリー選手権(P-WRC)第8戦「ラリー・フランス」が10月1-3日、フランス東部の・アルザス地方を拠点に開催。WRX STIを駆る日本の新井敏弘が3位でのフィニッシュを飾った。
長年、WRCフランス戦の舞台を務めたコルシカ島から一転、ラリー・フランスはその拠点をドイツ国境に近いアルザスに移し、全く新しいラリーとなった。このラリー・フランスに参戦したP-WRCのSUBARU勢は、新井のほかアンダース・グロンダル(ノルウェー)、ジャンルカ・リナリ(イタリア)、王睿(中国)、ヌノ・バロッソ・ペレイラ(ポルトガル)、そして今イベントをスキップしたパトリック・フローディンを走らせるウスペンスキー・ラリー・テクニカからは、弱冠20歳のデビッド・ウェストンJr(英国)がP-WRC初挑戦を果たした。
コルシカ時代と変わらずオール舗装となったラリー・フランスだが、スタート前に雨が降った上に路面に大量のグラベルが掃き出され、この上なくスリッパリーなコンディションと難関を極めた。アンダース・グロンダルは初日で2位につけたが、デイ2の最終ステージで左側のタイヤを前後ともパンク。スペアタイヤを1本しか車載していなかったため、ここで痛恨のリタイアとなった。この日は、新井もロングステージでパンクに見舞われ、タイヤ交換のために3分半近くのロスを喫したものの、グロンダルの脱落で3位に浮上。このポジションを最後までキープし、ポディウムフィニッシュを果たした。デイ3を再スタートしたグロンダルも5位を維持、王睿が6位に続いた。
(イギリス)
FIAプロダクションカー世界ラリー選手権(P-WRC)最終戦となる第9戦「ラリーGB」が11月11-14日、英国ウェールズ地方の首都・カーディフを拠点に開催。逆転でタイトル獲得を目指したスウェーデンのパトリック・フローディンは5位でフィニッシュし、選手権2位で今季を終えた。
幾度となくWRCの最終戦をつとめてきたこのラリーGB。11月11日夜にセレモニアルスタートを迎えた後、計359.44km・20SSが設定された今年は、SUBARU勢から、フローディンの他、新井敏弘(日本)、ジャンルカ・リナリ(イタリア)、王睿(中国)、アンダース・グロンダル(ノルウェー)、スピロス・パブリデス(キプロス)がエントリー。さらに開催国ASN推薦によるワイルドカード枠で、20歳のデビッド・ウェストンJr(英国)と、ジェイソン・プリッチャード(英国)が参戦した。
タイトル獲得には優勝が不可欠というフローディンは、開幕6連続ステージウィン。ここで2位に1分17秒差をつけるスタートダッシュで首位に立つ。しかしデイ1最終・SS7で、小さな石にフロントをヒット。ステアリングにダメージを負い、3位まで後退して初日を終えた。翌デイ2に入ると首位に23秒差というところまで挽回したが、SS15でフロントタイヤをパンク。その後サスペンションを破損し、ここでデイ撤退となってしまった。6位からデイ3を再スタートしたフローディンは、最終的に今イベント最多となる15本のステージ勝利を記録しての5位でフィニッシュとなった。またジェイソン・プリッチャードがSUBARU勢最上位の4位に入った。
日本の新井敏弘は、初日に駆動系トラブルに見舞われデイ撤退。挽回目指して再スタートしたが、9位でラリーをフィニッシュした。