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ラリーのトップカテゴリーたる世界選手権は、従来の世界ラリー選手権(WRC)を軸に、02年から新たにスタートしたプロダクションカー世界ラリー選手権(PCWRC)とジュニア世界ラリー選手権(JWRC)を加えた3カテゴリー体制になっている。これまでにSUBARUを始めとした日本のマニファクチャラーが、WRCで輝かしいタイトルを幾度となく獲得してきた。しかし、スポットで優勝はできても残念ながら日本人がそのドライバーズタイトルを獲得するには至っていなかった。それが今シーズン、PCWRCで現実のものになるかもしれない。その主人公が、グループN仕様のSUBARUインプレッサWRX STiをドライブしてSUBARUプロダクション・ラリーチーム(SPRT)からPCWRCにシリーズ参戦している新井敏弘なのだ。
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7戦で組まれる03年のPCWRCは、WRC第2戦スウェディッシュで開幕したが、新井はここで非凡な才能を見せてトップを快走。だがマシントラブルで惜しくもリタイアし、そのスタートは無念なものだった。しかし、満を持して新たな体制で臨んだ2戦目のニュージーランドで優勝。またたくまにアルゼンチン、キプロスと3連覇を実現し、現在シリーズのトップに立っている。
「02年はトラブルが多く出て勝てなかった(シリーズ5位)けれど、リタイアするまでは常にトップを走っていたんですよ。今シーズンは2戦目から体制も新しくなって、『クルマ壊せないな』ってラリーに臨んだのが良かったんでしょうね。アクセル踏めるところは目一杯踏んで、クルマが壊れそうなところは抑えて、というメリハリのあるドライブも大きなプラスになった。それと、チームのメカニックやエンジニアとの、ラリーに勝つためのチームワークもラリー毎に強くなってきましたね。この3連勝はチームの総合力で獲得できた、といっても良いくらいです」
グループNだけで見れば、01年までの新井はスポット参戦だった。それが02年からシリーズ参戦となって、その取り組みも大きく変化してきたのだ。
「スポット参戦ではその一戦一戦が大事でね、そこで勝とうがリタイアしようが大勢にそれほど影響は無かったんです。現在は世界選手権で一つのシリーズになりましたから、一戦一戦も大事ですけれど、シリーズ全体を見通してペースを配分していかないとね。以前はただがむしゃらに走っていたような気がしますが、今はあのころよりもテクニックも上達したし、ドライビング的には自分の中に余裕も出て来ましたから楽な気持ちでラリーに臨める。半面、全体を見通すという意味からは新たなポイント制が結構きついですね。1位と2位が、今まで10点と6点だったでしょう。それが10点と8点になったことによって、1位、2位じゃ差が開かなくなったんですよ。僅か2点の違いですがこれは大きい。3位以内でこつこつ走ってる方が、ポイント伸びちゃうんですから」
もちろんグループN規定はPCWRCの基本となるが、ひとつの世界選手権として独立した現在、イコールコンディションを保つため燃料やタイヤも一般のグループNとはことなるレギュレーションがある。こうした縛りから、PCWRCのマシンはグループNよりも普遍的でワールドワイドな性格を持っている。
「PCWRCもWRCと同じように燃料はFIAのコントロール・フューエルです。またタイヤも使用本数の制限があるんですが、こまったことに1ラリーで36本とか24本とかラリーによってその本数が違うんです。全部が新品で走れないように制限しているわけですね。選手権外で出てくる各国の地元グループNドライバーには、こういう制限はないんです。でも、僕はあまり気にしてないですけどね」
燃料やタイヤなどの制限があるPCWRCだが、JWRCのような年齢の制限がないことが特徴で、スティグ・ブロンキストなどのベテラン達や新井クラスの中堅ドライバーも数多く参戦してきている。とはいっても、かつての地元スペシャリストの独壇場だったグループNとは様変わりしつつある。
「PCWRCに出てくる連中は今までのような各国のスペシャリストじゃなくて、全体的に速い選手が多いんです。選手権狙うならある程度の安定した速さが必要だから。WRCと同じように、コンスタントにどんな道でも速く走れなきゃ通用しないです」
どんな道でも速く走らせる力。では新井が経験してきたWRCのWRカーと、PCWRCのグループNカーで異なる点はどこなのか。
「ベースが基本的に同じですからそれほど極端な違いは無いと思うんですが、Nはとにかくスムーズに走らせなければならないことは確かなんですよ。リストリクターがWRカーのφ34mmより小さくてφ32mmですから、レスポンスが若干悪いのでアクセルを踏み込むタイミングが遅れると、そこから吹き上がるまで2テンポくらい遅れてしまうんです。あとはWRカーの方がサスペンションを強化してあるので、荒れた道でも気にしないで全開で走れることですね。ただWRカーの方がステアリングの切れ角が少ないんで、気をつけないとスピンしやすいですよ。どちらかというとNの方がダルで、WRカーの方がシビアですね」
かつてアクロポリスでWRカーを駆って4位に入り、グループNで幾多の優勝経験をもつなどこれまでの実績を活かしてシリーズのトップを守る新井。7戦中6戦に出場することが義務付け、ということから5戦目のドイツをパス。この間にドイツでマーチン・ローが2位を獲得し、30点でトップの新井に3点差のシリーズ2位に浮上してきた。
「これから残り2戦。最終戦のコルスはグループNで走ったことがないので、とりあえず次の第6戦オーストラリアで良い結果を残してチャンピオンの方向性を確実に掴んでおきたいですね」
新井はオーストラリアで優勝を含め、これまでに多くの実績を残している。こうした実績と今シーズン構築してきた新たなチームワークで新井に大きな期待がかかっている。日本人初のワールドタイトル奪取を目指す新井に、今まで以上の大きな声援を送らないわけにはいかない。
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インタビュー:SUBARUモータースポーツマガジン編集部 |
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