2006
2006
2005
2005
2004
2004
2003
2003
2002
2002
Japan feature
海を越えて共同作業に挑むスタッフたち
Letter from SWRT
19 September 2006
Copyright © STI
SUBARUワールドラリーチーム(SWRT)は、1989年、SUBARUのハイパフォーマンス企業、日本のSTIと、英国にあるモータースポーツのスペシャリスト企業とのパートナーシップの基に誕生した。文化や言葉が違い時差も伴う日英二国のコラボレーションは常に困難を伴うが、二つの企業は各々のスキルを最大限に生かし、協力関係のバランスを瞬く間に築き上げた。
初期の頃は、エンジンは日本で製作し、ラリーマシンのシャシー全体は英国で開発されていた。このバランスは非常にうまく均整がとれており、1993年のニュージーランドではレガシィで初勝利を収めた。しかし、チャンピオンシップそのものが成長し進化したことで、日英のパートナーシップにも常に進化と再生が求められた。さらに他マニュファクチャラーが台頭してきた90年中盤からは、日本サイドのエンジニアリングへの関わりがさらに重要となり、日英間でのエンジニアの協業が増えていった。
Copyright © STI
SUBARUマニファクチャラーマーケティングプリンシパルの東稔也は、「チームのパートナーシップを成功に導くためには、協力して作業に取り組む必要がありました。参戦マニュファクチャラーが増えてきたため、トップの座を維持するには、さらにアイディアの幅を広げなくてはならなかったのです。自分たちが望む成功を手にするため、できるだけ良質の量産車を作り出し、出来る限りでラリーチームと共にベース車の開発を行いました。今では、日本では2000人以上のスタッフが量産車に関わっています」
9000kmも離れた2つのプロジェクトをうまく調整するためには、十分な管理と配慮を行うとともに、マネジメントがうまく機能することも欠かせない。「このパートナーシップを成功させることは、プログラムの成功を握る鍵なのです」と語るのは、SWRTマネージングディレクター、リチャード・テイラー。「ラリーに勝ちたいのだと言葉で表すのはとても簡単ですし、全てはそれを達成するために勤しんでいるわけなのですが、重要なのは、どのようにやっていくかを決めること。どのアイディアを採用して、どのように投入するか、ということです」
テイラーは、日頃のコミュニケーションが鍵になると考える。「昨年、我々は定期的に集会する”ステアリンググループ”なるものを発足し、年間で4,5回はミーティングを行いました。
Copyright © STI
これはSWRTの幹部組織とも言える存在で、日本と英国のマネジメント上層部が、テクニカル、運営、ドライバーパフォーマンス、その他、目標達成のための戦略全体といったチームに影響する全ての主要項目を共同で取り仕切っていくというものです」東は、ラリージャパン終了後には次回のステアリンググループのミーティングを行い、2007年型マシンの開発や予算について話し合う予定だと明かした。
リチャード・テイラーは、その他、ミーティングの合間にも活発にコミュニケーションが図られていることを付け加える。チームはニュースや意見交換を行うための手段を開発しリファインしてきた。エンジニアリング部門ではビデオ会議を活用して、新しいデザインや変更、パーツなどを見せ合っている。もちろん「フェイス・トゥ・フェイスのミーティングが一番です」とテイラー。「様々な最新技術が関係を維持するために役立つのだとしても、始まりはいつもフェイス・トゥ・フェイスからなのです」幸い、WRCが年間に16戦もあるおかげで、しょっちゅうロンドンから東京までの12時間のフライトを我慢することなく、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションを取ることが可能だ。テイラーと東は全戦に参加、SWRTエンジニアリングディレクターのスティーブ・ファレルとSUBARUマニュファクチャラープリンシパル・エンジニアリングの菅谷重雄は、数戦に顔を見せる。
内勤ベースのスタッフ同士の関係を向上させるために、チームは日々の運営に直接日本人スタッフを増加していくよう働きかけた。イベントでは、少なくとも日本人エンジニア1人を配置し、バンブリーでは数人の日本人が勤務する。ファレルは、この動きは建設的な方法の一つだと考える。「日本人エンジニアが実際のスタッフとして任務を遂行しチームに溶け込むことは、極めて重要です。運営を完全に理解してもらう唯一の方法は、ミーティングに参加し、提案を行い、最終決定を導き出すこと。
Copyright © STI
お互い離れていては、問題点しか目に入らず、その上で解決策を提案することになり、中間のステップを飛ばしてしまい、お互いをリンクさせることはできないでしょう」そしてファレルはこう締めくくる。「顔を合わせながらの連携を取ることで、お互いの自信を築くことができるのです」
両者の文化が全く異なる場合、自信を築くことはとても重要だ。テイラーは、これまでに50回以上も日本を訪れているが、奥深い日本文化のほんの一片しか理解していないことを自覚している。重要なミーティング一つとっても、そのギャップの影響を受けかねない。西洋ではミーティングは付き合いの長い同士、忌憚のない意見が飛び交うものだが、日本の会議はもっと堅苦しい。名刺交換を見ても同じことが言える。西洋では、ポケットに突っ込んだ名刺を形式張らずに手渡す。しかし日本では、ミーティングの始まりにそれは丁重に交換しあうのだ。手渡す側は正面を向き、ややお辞儀をしながら、右手または両手で名刺を手渡す。
しかし、チームと日本を結ぶ最も重要なつながりはペター・ソルベルグその人なのだと、ファレルと東はテイラーに補足する。チームのエースドライバーとして、ソルベルグは日本に頻繁に赴き、設計の初期段階から最終モデルの微調整に至るまでエンジニアに助言を行う。
Copyright © STI
ソルベルグの最近の来日は、7月初旬。現在日本市場のみに販売展開されている新型レガシィと、公式にはまだ披露されていない新型インプレッサのテスト走行を行った。東は「ペターは、本当に偉大な、SUBARUの顔です。彼は我々がラリープログラムで行おうとしていることのフィロソフィーをよく理解しているし、エンジン、ハンドリング、マシンパフォーマンスをいかに向上させることができるかを理解しています。ペターが日本の本社を訪ずれる時には、彼は誰とでも会話し、チームに素晴らしい影響を与えています。他のどんなドライバーも、同じ事はできないと思いますよ」と語る。
日本サイドと英国サイドの関係は、来年一層強くなっていきそうだ。さらに多くの日本人エンジニアが日本のSUBARUから英国の工場に赴任する他、イベントに参加する予定となっており、設計と新型パーツ開発は合同で行い、そしてもちろん、レギュラーのミーティングも継続される。テイラーは、「どのように協力作業をベストな形で行えるかを模索し、実行しています。異なる文化やスキルを重視することは、個人よりもグループで取り組む効果を得ようとする、古くからの方法です。文化が違うこと、ビジネスのアプローチは様々であることを受け入れた上で意見を唱えなければなりませんが、我々は1日の終わりには同じ結果を得ようと努力しています。それは、できる限り最良の結果を得るためのバランスを取るようなものなのです」