|
すべてのパワーをつなぐ、マシンの動脈
クレイグ・トリムが語る、SUBARUインプレッサWRC・電気配線の秘密
Letter from SWRT
26 March 2004
|
SUBARUインプレッサWRC2004の配線(ワイヤー・ハーネス)は、マシンの心臓部、血管とも言える主要部だ。マシンの中央にあるコンソール・ユニットから108のジョイントと2,100のコネクターを使って車両全体に張り巡らされる4,040mものケーブルの配線作業は、英国・バンブリーにあるSUBARUワールドラリーチームの拠点で綿密な手作業によって行われている。
SWRTの専任技師は、どのワイヤーがSUBARUインプレッサWRカーのどこに配置されるかを描かいた複雑な配線図の上に、55Aと呼ばれる上質の銅線を配置していく。
ビニール被膜で絶縁されたケープルを使い、機械的にカットして束ねられる標準インプレッサの配線とは違い、WRカーでは複雑な配線を確実に最適な形で施工するため、あらかじめ配線の方向に沿って手作業で束ねられている。電気系のスーパーバイザー、クレイグ・トリムが語るように「ロードカーの配線はカバーの下に埋まって、一度組み立てられた後には滅多にお目にかかることはないけど、WRカーの配線は絶えず調整して再テストしていくんだ」
また、WRカーの配線に使われるワイヤー・ハーネスとコネクターは、WRCでの極限状態にも対応できるよう、ロードカーよりも強度が高く耐久性のあるものが使われている。「WRカーは、あらゆるシビアなコンディションの中で戦わなくてはならない。だから、WRカーの配線には、−65ºCから150ºCまで耐えられる、特殊な単層絶縁ワイヤーを使用している。これはロードカーに使われるワイヤーよりも応用力がある上に、85%も軽量なんだ」
「例えば、ロードカーの12Vバッテリーには、通常、直径2.5mmのとても重いケーブル・ワイヤーを使うが、同じ12Vをつなぐにも、ラリーカーではかなり軽量で厳しいコンディションの中でも対応できる1.09mmのケーブルを使うんだよ」このワイヤーは、軍事用や航空用としても使われている。
「ワイヤーをより合わせたら、保護のためにそれを温めて固め、軍仕様の防水コネクターを付けるんだ。このコネクターは、F1で使われている部品と同様のもので、ロードカーが使っているプラスチックのコネクターよりも格段に高性能(そして高価!)なんだ」
一台のSUBARUインプレッサWRC2004の配線を行うのに、電子系のアッセンブリー53工程を含め、505人/時間を必要としている。しかし、このワイヤー・ハーネスが使われるのは、一度限りというわけではない。
「良い配線を行えば、マシンが寿命になるまでずっともつものなんだ」とトリム。「特に我々にとっても実用的なアイテムは、コネクター部分の防水ゴムを接合するために使う接着剤。3〜4年はもつよ。配線は、シーラスと呼ばれるハイテクなテスターを使ってテストを行う。スペース・シャトルのハーネス・テストに使われるものと同じシステムだよ。とても信頼性が高く、漏電や絶縁部の損傷などあらゆる側面をチェックできる。でもこれまで、あちこちに問題が見つかったことはないよ。この部署で働く8人は、信頼できる有能なスタッフばかりだからね」
|
 |