富士重工業 世界ラリー選手権(WRC)ワークス活動の終了について
富士重工業は、スバルブランドの認知向上およびイメージ確立への取組みの一つとして、WRCのトップカテゴリーでの競技に、19年に渡って、参加してまいりました。 スバルは、水平対向エンジンとシンメトリカルAWDをコア技術として、世界中のあらゆる道を舞台に、どのような環境の中でも、安全に、快適に、クルマで走る愉しさ、喜びを、より多くのお客様に伝えようと努めてまいりましたし、そのイメージを表現する最適な方法こそが、WRCでした。

WRCの戦績ということで言えば、これまで3度のマニュファクチャラーズチャンピオンを獲得するとともに、3人のドライバーズチャンピオンを輩出することができ、当初の目的であったスバルブランドの価値を大いに高めることができたと自負しております。 また、量販車の開発に、WRCで得ることができた様々なノウハウをフィードバックしていることも大きな成果といえます。

しかしながら、ここ数年、勝利が遠ざかっていることもあり、将来のスバルのブランディングのために、モータースポーツやWRCをどう位置づけていくか、経営計画を策定する中で検討を進めました。 そして、当初の目的はおおむね達成したとの判断から、2009年末で、WRCのトップカテゴリーへの参戦を卒業するという考えを持っておりました。

ところが、今年の秋以降、米国の金融危機に端を発する世界的な経済混乱により、先進国、新興国の境なく自動車市場が大幅に縮小するなど、弊社を取り巻く経営環境は急激に悪化しております。経営を司る立場にいるものとしては、スバルブランドを守るために、一刻も早い判断に迫られました。

これまでスバルのワークスチーム「スバルワールドラリーチーム」を応援して下さっている本当にたくさんのファンの方々のことを思うと、苦渋の決断ではありましたが、予定を一年前倒し、今シーズン2008年をもって、スバルの、WRCワークス活動を終了することといたしました。

今後のスバルのラリーの取り組みについては、量産車カテゴリーであるGroup Nクラス、および、その車両を用いた世界選手権であるP−WRC活動に参加しているチーム、ドライバーへの車両供給や活動支援を続けてまいります。 さらに、ローカルイベントにおける活動支援や、体験、参加型のモータースポーツイベント開催などモータースポーツの裾野を広げる取組みを検討しております。

さきほども申し上げましたとおり、スバルは、クルマで走る愉しさ、喜びを、より多くのお客様に伝えたいと考えており、このことは、これからも変わることはありません。

しかしながら、これまでを振り返ってみますと、もしスバルがWRCの活動に取り組んでいなかったら、現在のレガシィやインプレッサを始めとするスバル車の魅力・個性を、お客様に伝えることは、今のように上手くできていなかったと思います。

日本だけでなく、世界中にいるスバルのお客様、ファン、ユーザーにとって、WRCはスバルとは容易に切り離すことのできない、大きな存在です。WRCでトップを走る青いインプレッサは、スバルの象徴で あり、この決断をしなくてはならなかったことは、本当につらいものでした。 世界各国で、スバルブルーのウェアを身にまとい、ラリー観戦に来ていただける。競技車が走り抜けていく沿道やコーナーが、青一色に染まっているのを目にすると、私たちスバルに携わる人間は、本当に感動させられるのです。 このお客様方に、スバルはもっと良い提案をお届けしたいと勇気づけられもしました。

例えば、ここ日本でも5年前から、ラリージャパンとしてWRCが北海道で開催されてきました。日本中から、中には何百キロもスバルに乗って、北海道までスバルを応援するためにお越しいただき、会場で六連星の旗を精一杯振って下さっている方々がいます。 世界中のスバルファンの熱心な応援に、本当に感謝しておりますし、こうしたファンの方々こそが、スバルの大きな財産と改めて肝に銘じます。

これまでとは違う形となりますが、「快適・信頼の新しい走りと地球環境の融合」を実現したスバルの商品、いいかえると、クルマに乗ったときに、高い安心感につつまれながら、 走る歓びを味わえる、そうしたスバルならではの魅力的な商品、さらにサービス、カーライフをお客様にご提供します。 今後はWRCに関わるリソースを「お客様第一」を基軸として最大限活用し、スバルとお付き合いいただくことに、いっそうご満足いただけるよう務めてまいります。

なお、スバルのWRCへの取組みは、英国のモータースポーツ専門会社プロドライブ社という、モータースポーツに対して優れた知見と、スバルに対する情熱を持ったパートナーなしにはありえませんでした。 プロドライブ社は、1989年の契約以来、スバルのワークス活動を担ってきました。 特に活動創成期においては、彼らの貢献、協力こそが、スバルがトップチームの一角を占める原動力であったといっても過言ではありません。 代表であるデビッド・リチャーズ氏に対して、私どもの感謝の意と、方針を伝えております。

また、スバルのために、献身的に尽くしてくれたドライバーのペター・ソルベルグ氏、クリス・アトキンソン氏の二人は、勝利を目指して精力的な努力を積み重ねてくれました。 私どもにできることであれば、彼らの今後の活動を支援し、恩に報いたいと考えています。

最後に、改めて、これまで、ご声援いただきました多くのファンの皆様、弊社のWRC活動を支えていただいたスタッフ・関係者の皆様、そしてFIAを始めWRCの関係者の皆様に、心よりお礼申し上げます。

どうもありがとうございました。

富士重工業株式会社
代表取締役社長
森 郁夫
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