Rd.3 Corona Rally Mexico
3 to 5 March 2006
事前情報
Event Bulletin
24 February 2006
雪に覆われたスウェーデンの森を後にして3週間、FIA世界ラリー選手権(WRC)は、温暖で日差しのまばゆい中央メキシコで次戦を迎える。3月2日木曜日にセレモニアルスタートで幕を開けるラリー・メキシコは、レオンの街が本拠地。WRC唯一の北米大陸ラウンドは、2006シーズン全16戦の第3戦となる。
アスファルト、スノーとスペシャリストイベントが2戦続いた後に迎えるメキシコラウンドは、今シーズン初めての本格グラベルイベント。中速域のグラベルコースは、壮観な渓谷を上り、場所によっては標高が2700mを越える。WRCイベントに昇格して3年目、早くも名物イベントとなったこのラリーのステージは、今シーズンで最も高地に設定される。
固く締まったコースは性格が多彩で、ドライバーがどのコンディションにも対応できるハンドリングを得るために、応用性のあるマシンセッティングが要求される。標高が高いことから空気が薄く、エンジンからパワーが奪われるため、エンジニアにとってもチャレンジングなコンディション。この結果、アベレージ速度は、同様な路面の他イベントと比べ、かなり低くなる。
どのステージも、レオンに設定されるHQから50kmと離れていないため、チャンピオンシップの中でも最もコンパクトな設定のラリーの一つ。3月2日木曜日、世界遺産の街・グアナファトでセレモニアルスタートが開かれ、競技は359.54km・17本のSSが設定される。ステージはほとんど2005年から変更はないが、今年はプエブラ・モーターレーシングサーキットの近くに特設されるスーパーSSが新設される。
エントリー
SUBARUワールドラリーチームからは、ペター・ソルベルグ(コ・ドライバー、フィル・ミルズ)、クリス・アトキンソン(コ・ドライバー、グレン・マクニール)の2台がラリー・メキシコにエントリーする。
ソルベルグは2005年のラリー・メキシコではスタートからフィニッシュまでリードを保ち、34.5秒の大量マージンを築いての圧勝を決めている。ソルベルグは今年も同様のパフォーマンスを目指し、今シーズン初ポイント獲得を狙う。アトキンソンにとっては、今回が2回目のラリー・メキシコ参戦となる。
ドライバー・コメント
ペター・ソルベルグ
「とにかく、メキシコでまたチャレンジだ!ポディウムフィニッシュを目指して全力で挑むが、最終ゴールは優勝。マシン、タイヤ、そして僕自身、すべてがうまく噛み合うことを祈っている。スタートポジションは最高なので、3日間、好調に進められるように期待している。チームは自信満々だし、サルジニアではいいテストを行うことができた。いい空気が生まれている」
クリス・アトキンソン
「WRCのグラベルデビューを果たしたメキシコにまた参戦することができて、とてもエキサイトしている。昨年は、いいスプリットタイムも出せたし、経験豊富なドライバーとも渡り合えるようなペースでいい走りができた。このパフォーマンスとこのイベントで得た知識をバネに、好リザルト、できればトップ5を狙っていく。スウェーデンの後、新型マシンでのテストも行った。SUBARUインプレッサWRC2006についてはまだ学ぶべき点が残っているが、すべては間違いなくいい方向に向かっているよ」
マシン&挑戦
SUBARUワールドラリーチーム・スポーティングディレクター、ルイス・モヤ
「シーズン開幕は、超スペシャリストイベントが2戦続いたので、本格的なラリーはこれから始まると言ってもいいだろう。メキシコは新型マシンにとって初めての本格グラベルイベント。ここ2戦のラリーとは違って、パフォーマンスレベルが顕著に表れることになる。
メキシコは、これまで我々にとって、マシンの強さの面でもタイヤの面でも非常に相性がいい。2004年にはラリーの全般でリードに立ち、2005年には優勝。スウェディッシュ・ラリーでの悪運は断ち切って、今年もメキシコでの好調を持続させていきたい。スウェーデンの件は、残念だったとしか言いようがないが、イベント前の解析は完璧であったし、根本的な原因についても我々はしっかり把握している。
ソルベルグは、闘志と自信を新たにしてメキシコに挑む。昨年はここで優勝を果たしており、2006年の連覇も全く不思議ではない。クリスはグラベルでは最も速さのあるドライバーの1人としての実力を発揮してきている。昨シーズン最後のグラベルイベントだったオーストラリアを見れば、最多ステージ勝利を収めた彼がどれだけのスピードを持っているかが分かるはずだ。彼もコンペティティブなドライバーに1人として、ポディウムフィニッシュ獲得も可能性がある」
SUBARUワールドラリーチーム・エンジニアリングディレクター、スティーブ・ファレル
「このイベントは非常に特色がある。ステージのいくつかは標高3000m近くにも達するというこのラリーは、チャンピオンシップの中でも、最も高地のイベント。高地では空気が薄くなり、エンジニアは"エンジンの息づかい"に苦心することになる。つまり、エンジンパワーの出力が落ちるため、冷却の効果が低くなるのだ。さらにその2つの問題が影響し、エンジンのパワー低下が始まると熱の放出も減ってしまう。今回は、(2006年の技術規定で使用禁止となった)ウォーターインジェクションを搭載していないことの影響を実感する、最初のラリーとなるだろう。しかし、我々はその課題をしっかりと解消してきているという自信を持っている。
今回は、新しいシニア・エンジニア、フランソワ−ザビエ・デメソンを迎えての、最初のイベント。前任のピエール・ゲノンが新たにテスト・開発部門のチーフエンジニアに就任し成果を見せるまでに、移行期間があると思う。完全に落ち着けば、ペターのエンジニアとして最強の片腕となるだろう。彼の就任には大いに期待をかけているし、今シーズン、共に戦うことを楽しみにしている」
ラリーの合間
クリス・アトキンソンは世界を飛び回っていた。スウェディッシュ・ラリーの後、アトキンソンはそのままノルウェーのハーマルまで運転し、WRCの候補イベントであるラリー・ノルウェーのレッキに参加した。ここから英国に戻って数日間の休息の後、再びサルジニアへと飛び、2日間のテストに参加した。ようやくアトキンソンと連絡が取れた時には、アトキンソンは英国・ガトウィック空港に向かう途中だった。ナスカーレースのデイトナ500観戦のためにフロリダへ向かい、その後コロラドの友人宅で冬の日差しを楽しんでいたのだった。
ペター・ソルベルグもスウェーデンとメキシコラウンドの間の数週間を忙しく過ごした。アトキンソン同様、スウェディッシュ・ラリーの後、ソルベルグもノルウェーまで運転しラリー・ノルウェーのレッキや様々なPRイベントに参加した。その間には、ノルウェーのイェンス・ストルテンベルグ首相とも会談したり、1994年の冬期オリンピックで使われた「バイキング船」を象ったスケート場の前でのフォトセッションにも参加した。ラリー・ノルウェー終了後、ソルベルグはサルジニアへ飛び新型マシンでの2日間のテストに参加した後、家族や友人と共につかの間の休息を楽しんだ。
メキシコの高地への挑戦
選手にとって呼吸の面で最も厳しい環境では、見物となる興味深い点もある。ラリーのスーパースターも、結局は人間。メキシコでは、辺りを走り回るだけでも、困難の連続だ。本拠地のあるレオンは、標高2000mと目のくらむような高地で、ヨーロッパのスキーリゾートと同レベル以上の高さなのだ。