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11月19日(火)、富士スピードウェイにて、STIチームが今年のニュルブルクリンク24時間レースでSP3Tクラス優勝を果たしたSUBARU WRX STIの走行テストを行いました。
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2019.11.20

WRX STI NBR車の開発テスト、始まる

11月19日(火)、富士スピードウェイにて、STIチームが今年のニュルブルクリンク24時間レースでSP3Tクラス優勝を果たしたSUBARU WRX STIの走行テストを行いました。24時間レース終了直後に辰己英治総監督は、「今年のレースはパーフェクトだった。しかし、まだまだ進化できる余地はある」と語っており、それら進化メニューを検証するのが今回のテストの目的です。
8月末にドイツから日本に戻ったNBR車は、東京モーターショーのギッザニアコーナーでの展示を経て、現在は群馬にあるSTI工房に戻っており、サーキットでテスト走行するのは、今回が初めて。辰己総監督は、テスト前に「クルマは、2019年スペックをベースに、さらにコーナリングスピードを追求していくつもりです。今回は、取り付け部を剛性アップしたリアのサブフレームを試してみること。アンダーステア傾向の対策としてフロントのトレッドを狭め、それに伴って小型化したブレーキキャリパーのフィーリングを試してみます」と語っていました。ドライバーは、山内英輝と井口卓人のふたりです。
19日の富士スピードウェイは、11月中旬とは思えないほど暖かく、気温は20度を超えていました。前夜降った雨により路面はウェットコンディションで始まりました。そのため、朝一番のテストセッションはインターミディエイトタイヤを履いていました。しかし、日差しが強く、あっという間にドライコンディションへと変わっていきます。テストは、午前中に30分枠を3回走り、それぞれ山内と井口が交互にドライブしました。
1回目の走行を終えた山内は、「リアサブフレームの剛性アップは、スムースな路面であれば良い感触でしたが、縁石乗り上げなどのショックがかかると、突然挙動がかわってしまい、路面の悪いニュルでは効果が発揮できるかわかりません」とコメント。続いて、フロントハブに取り付けたスペーサーを薄いものに変更し、小型化したキャリパーをつけて3度目の走行に臨みました。これによってフロントトレッドは、片側3mm両側6mm短縮となります。
ドライバーからは、走行後に特にネガティブなコメントはありませんでしたが、タイヤの測温データでは予想通りの結果が現れており、辰己総監督は「まだまだ開発テストは始まったばかりです。ドライバーにも思った通りのことを発言するように求めており、ある意味リアサブフレームの評価は順当なものと言えます。フロントのスクラブ変更(トレッド短縮)に関しては、まだメニューの一部のみしか入れていないので、これから実施する改修でだいぶ印象が変わるはずです。来月12月中頃には、サスペンションジオメトリーを変更するため新しいアップライトが出来上がってきます。また、燃料補給時間を短縮するため、燃料タンクそのものや給油口からタンクまでのパイプ形状などを見直したものや、新しいABSシステムの導入、今年効果が高かったフロントフェンダーのエア抜きのさらなる改良、リアウィングのマウント形式変更など、様々な新しいメニューを試すことを計画しています。EJ20エンジンについてもECUの制御を見直し、燃費やドライバビリティの改善などが期待されています」と語っています。
来年のニュルブルクリンク24時間レースに、SUBARU/STIが出場するか否かの発表は、まだ先のことになりそうです。「しかし、時間をかけて開発を続けなければ、進化はありません。出場することになれば、念願の予選ラップタイム9分の壁を破ること、パーフェクトだった今年よりもより多くの周回数を走り抜きたい。より速くより遠く、を目指し、SUBARUファンの期待に応えなければなりません。だから我々としては、やるからには常に準備しておく必要があると考えています」と辰己総監督は続けました。
SUBARUモータースポーツマガジンでは、このあともNBR車の開発過程を取材し、レポートし続ける予定です。乞うご期待。2020年ニュルブルクリンク24時間レースは、5月24日・25日に決勝レースが行われます。
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