SUPER GTで走るレースマシンは、街で見かける市販車のSUBARU BRZをベースに、レース専用に改造しています。そうして仕立てられたマシンを「グランドツーリングカー」(通称:GTカー)と呼び、外観は市販車モデルの面影を残しているものの、その性能は大幅に向上。長年にわたってモータースポーツに参戦してきた、SUBARUの経験と技術を結集して鍛え上げた一台です。ここでは、そんなGTカーと市販車の違いについてご紹介します。(2015年取材)
いくらピットクルーが準備万端でスタンバイしていても、ピットインしたマシンの停車位置が少しでもズレてしまえば、その分だけタイムロス。ピットインして直ちに作業に取り掛かれるよう、ドライバーには決められた位置に確実に停車する、という技術が求められます。そのためドライバーは、練習走行においてもピットインするたびに、その位置をピットクルーに確認。日頃から常に意識することで、その腕を磨いています。こうした地道な努力の積み重ねがタイムを縮めることになり、勝利へとつながっていくのです。
ペットボトルを抱えて走ると、その重さによってスピードが落ちるだけでなく、姿勢が崩れて走りにくいように、GTカーも重量ハンデが課されると車体全体の重量バランスが崩れ、マシンの性能が低下してしまいます。そうした中で、マシンをどう調整し、どんな戦略でライバルたちと戦うか。マシンのスペック的な速さだけでは勝てないのがSUPER GTであり、そんなところにこのレースの面白さがあるのです。
ピットでかかった1秒を、コース上で取り戻すのはとても大変なこと。マシンがピットインする、ジャッキで上げる、タイヤを交換する、給油する…という一連の作業を、それぞれのクルーがミスなく迅速に行わなければなりません。日頃から訓練を重ね、チーム全員の息をそろえること。SUPER GTでの勝利は、単にマシンやドライバーの能力によるものだけではなく、「チームの総合力」によって決まるのです。
“速く走る”ということにおいて一番障害になることは、コーナーでハンドルを切った時に起こる「ロール(=車体の傾き)」です。重心が低いほどロールが起こりにくく、SUBARU BRZはもともと低重心の水平対向エンジンを、より低くより車両中心近くに搭載することで、“超低重心パッケージング”を実現。そのため、コーナーが連続する鈴鹿サーキットは、SUBARU BRZが特に得意としている戦いの舞台です。