チーム総監督の辰己英治は、チームが上り調子になってきたことについて、次のように分析します。 「やはりマシンのセットアップが決まってきたことが大きいと思います。タイヤを傷めることがなくなったので、鈴鹿のようにリヤタイヤ2輪のみを交換する作戦も採れるようになってきました。開幕の頃と較べたら、タイヤへの攻撃性は雲泥の差です。もちろんマシン自体もだんだん速くなっているし、ここ3戦を見ていると、トップクラスにいるということで、チーム全体の士気も上がっています」。
また、チームのテクニカルコーディネーターを務めるR&D SPORTの澤田稔は、第4戦スポーツランドSUGOまでの間に連続して行われたテストで得たものが大きいと語ります。 「テストを重ねるなかで色々とできたことが、その後のレースにきちんと結びついていると思います。マシンもそうですし、タイヤとのマッチング、ドライバーの走り方など、様々な面で大きな積み重ねになりました。特に第4戦SUGOで表彰台に乗れたことが良かったですね。それがあったからこそ、その後につながっているのだと思います。モータースポーツである以上、結果が出ることがなによりですから、チームのモチベーションも上がっています」。

ドライバーの安定したペースも有利な点

「ここのところ、サーキットに持ち込むセットアップが決まってきたことも、結果がでているひとつの理由だと思います。予選仕様と決勝仕様の変更くらいで戦えています」と、辰己。サーキットに入ってから決勝レースがスタートするまで、走ることのできる時間はわずか。その限られた時間のなかで、セットアップの変更などで時間を浪費することなく、走りに集中できるという点も好調の理由のひとつと言えます。

この点については澤田も、「土曜日午前中のフリー走行で、予定どおりスムーズに走ってくれる。もちろん状況に合わせた変更はあったりしますが、最小限の影響でリカバリーできる。トラブルが起こった場合でもフリー走行中に解決できたり、チーム力が向上したことも挙げられるでしょう」とコメント。スムーズに物事が進むことで、想定外の出来事にも対処する余裕が生まれます。

また、SUBARU BRZ GT300の武器のひとつは、ドライバーふたりの高い安定感にもあります。それぞれ近いタイムで走ることができ、マシンに求めるセットアップの方向性も同じとあって、その状況に合わせてスターティングドライバーを決められることも、大きな特徴と言えるでしょう。辰己は、「ドライバーふたりは自信を持って走れています。タイムがそろっているので、作戦に幅を持たせられる。ここに状況対応力の差が出てくるということです」と分析します。「想定したペースで走ってくれるという点はすごくいいところですね。“予定どおり”という安定感はレースを考えるうえで大きなポイントですし、それが結果にもつながっています」と澤田も太鼓判。

次戦はツインリンクもてぎでの2戦連続ラウンド。「持ち込みのセットアップがひとつのキモになるでしょう。臨機応変な作戦で勝機を見いだします」と辰己。第7戦で傷を負ったマシンは現在船便での輸送中とあって、ファクトリーに到着するのが11月に入ってからという状況ですが、チームは修復の準備を進めています。 「もてぎには、当初から予定されていたアップデートを盛り込んで臨みます。タイから戻ってきたマシンを分解して、きちんと修復が終わるまでは安心できませんが、しっかりと事前準備をして、チーム全員ができる限りのことをする覚悟でいます」と澤田は気を引き締めます。

小さなコーナーが連続する“ストップ＆ゴー”のツインリンクもてぎは、11月11日(土)に行われる第3戦代替戦が47kgのウェイトハンデ、12日(日)の第8戦は全車ウェイトハンデなしという状況で争われます。タイのアクシデントから立ち直り、逆転チャンピオンを目指して戦うSUBARU BRZ GT300の走りにご期待ください。