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NBR
2021.01.26

WRX STI NBR 2021国内テストを完了

ニュルブルクリンク24時間レース参戦車両富士スピードウェイテスト

1月25日、晴天の富士スピードウェイにて、STIによるニュルブルクリンク24時間レース参戦車両「SUBARU WRX STI NBR 2021」のテストが行われ、国内における開発メニューを完了。ドイツに向けて送り出しの準備に取り掛かることになりました。
この日の富士スピードウェイは、麓まで冠雪した富士山が青空に映える清々しい1日となりました。STIの開発スタッフとドライバーの山内英輝、井口卓人は朝9時に集合。10時からの走行テストに備えて、ミーティングを行いました。今回のテストメニューは、主に前回のテストで課題となったフロントのダウンフォースを高めるデバイスと新たに開発した衝突回避支援システムの試験、アップデートしたテレメトリーシステムの確認などであることが、沢田拓也監督から告げられました。フロントのダウンフォースを高めるデバイスとしては、フロントアンダースポイラーの両端に新設するカーボン樹脂製のサイドプレート、タイヤアーチのガーニーフラップ、ノーズ先端に貼る「鮫肌」ステッカーシートなどです。その他、リアフェンダーにもルーバーを新設し、リアフェンダー上部を流れる空気を利用してタイヤハウス内のエアを効率的に抜く改善にもトライしています。いずれもCFD解析で良い結果がでているため、ドライバーがどれほど体感できるかをチェックする必要があります。また、衝突回避支援システムは、車速の速い車両の接近をモニターでドライバーに知らせるもので、カメラとレーダーを活用した装置となっています。この日のテストでは、追走する車両を認識し、設定通りのワーニングが出ることを確認しています。ドライバーの山内は、「ニュルでは他種多様なクルマが走っているので、この装置はとても有効だと思います。速い車両が接近しているときだけに知らせてくれるので、見通しの悪いセクションで後ろを気にして走ることなく、ドライビングに集中することができます」と語っています。開発を担当したSTIのエンジニアによると、「カメラとレーダーを併用して速い車両を識別感知しているので、雨であろうが、夜間でも霧でさえも作動するようになっています」とのことです。ドライバーにとっては、とても頼もしいシステムです。テストではトランクリッド外側に感知ユニットを取り付けていましたが、本番レースまでにはトランクリッド内に移設する予定だそうです。
約1時間半のテストを終えた沢田監督は、「天気予報では昨日雪が降るかもしれないということで、テストの実施が危ぶまれましたが、まずはこのような晴天となってテストができて良かったと思います。しかしテストが始まった時点ではまだコースの主要部分がダンプ(湿った)状態だったのですが、照りつける太陽で路面は急激に乾いていき、コンディションが変わりやすいニュルを前にしたテストとしては良い条件だったと思います。フロントダウンフォースについては、ドライバーからもポジティブなコメントが得られており、これにて国内におけるテストは完了となりますが、やれることはやれたという心境です。今後はパーツやツール類などの輸送準備を行い、出せるものから船便で送っておこうと思っています。肝心の車体がいつどのような形で輸送できるかは、現在ヨーロッパ向けの輸送そのものが混乱しており、まだ未確定です。予定通り5月第2週にニュルのQFレースが実施されるのであれば、参加してテストを進めておきたいと思います」と語っています。
ドライバーの山内は、「クルマ的にはバランスが良いので、どのようなコンディションでも対応できる状態になっていると思います」と語り、井口も「一番ダウンフォースの増加を実感したかった100Rやヘアピンがまだ湿っていたのですが、そんな状態でも心配なく走れるので、そこがAWDの強みでしょう。濡れていないセクションでのバランスも良かったと思います」と話してくれました。
辰己英治総監督は、「この先、コロナ禍の影響がどのように作用するかは予想できませんが、レースが行われることを前提に準備をしておかなければいざというときに困るので、今日このテストが計画通りに実施できて本当に良かったと思います。(2020年ニュルに出場できなかったため)2020年仕様車を現地で試せていなかったことも多々あり、さらに2021年メニューも加えているので、STIの技術でどこまで性能を高められたかをきちんとニュルの現地で試しておきたいです」と話しています。
2021年のニュルブルクリンク24時間レースは、ドイツのニュルブルクリンクサーキットにて6月5日にスタートします。

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