NEWS

NBR
2021.11.05

NBRディーラーメカ研修会を実施

SUBARU NBRチャレンジ2022

2022年のニュルブルクリンク24時間レースに向けて動き出したSUBARU NBRチャレンジプロジェクトは、11月3日〜5日の日程でディーラーメカニックの研修会を実施し、新たなステップを踏み出しました。
2020年1月に実施された選考会では、全国のSUBARU特約販売店所属のディーラーメカニック8名が選出され、その後2月に研修会を実施し、5月の24時間レースに向けて出発する予定でした。しかし、新型コロナ禍が発生したことで、2020年大会への出場は取りやめとなり、本年6月に行われた2021年大会もスキップとなりました。1年半以上も待機することとなってしまったディーラーメカニックの精鋭8名は、ようやく揃いのメカニックオーバーオールに身を包み、11月4日に富士スピードウェイで行われたテスト走行に参加することができました。
研修会では、まずは参加者全員の自己紹介が行われ、続いて活動全般やディーラーメカニックが担当する作業領域の説明、NBRレースのレギュレーション説明などの座学を実施しました。その後ピットボックスに移動し、レースカーを前にしてパワーユニット、シャシー、車体各部の詳細説明を実施。ディーラーメカニック達は、初めて見るNBRレースカーを隅々まで眺め、感慨深けです。研修会二日目は、メカニック達は2グループに別れ、それぞれ担当領域を確認しました。そして、いよいよ走行テストとルーティンワークのトレーニングです。ドライバーの山内英輝と井口卓人が交互にレースカーに乗り、数ラップしてはピットに入り、タイヤ交換などのルーティン作業を繰り返しました。
最初のピット作業を終えた東京スバルの長澤慎馬さんは、「最初は思ったより慌ててしまいました。持ち場のタイヤ交換作業は早く終わってしまったので、時間を持て余していました。しかし、後から考えると、他の部分のチェックなどほかにできることはあったと思います。集中しすぎて周りが見えなくなってしまってはいけないので、そこを注意しようと思いました」と感想を語ってくれました。トレーニングの合間に、STIのエンジニアが担当領域の解説を挟んでくれます。見た目は量産車両とほぼ同じでも中身や機能、作動機構が異なる部位も多く、それぞれの解説全部を身につけようと身を乗り出していました。「外観からは確認できませんが、クラッチシステムのイナーシャ低減のため、SUPER GTでも使われている小径の4枚プレートクラッチディスクと軽量フライホイールが組み込まれており、重量はそのふたつで約8kgとなっています。量産車両では約20kgですから、半分以下の重量です」との解説には、深くうなずいていました。
今回の研修会で右後輪を担当した大阪スバル春本直輝さんは、「1年半の間待機していたことで、モチベーションが下がることもありましたが、今年8月にはオンラインでディーラーメカニックミーティングがあり、ようやく出番が巡ってきたことを実感しました。レースカーは見慣れたWRX STIですが、各部のクリアランスなどが精密で、私たちの作業精度もあげる必要があると感じました。ピット作業は限られた時間の中でこなさなければならず、正確性に注意しながらスピーディに対応しようと思います」と語っています。同じく今回のテストで右後輪を担当した神奈川スバルの西村直人さんは、「通常の作業と大きく異なることのひとつに、走行直後の帯熱したパーツを相手にしなければならないことがあります。熱の影響に注意しながらも、担当するホイールアーチ内に異常がないかを確認するよう心がけます。一時は幻の代表選手で終わってしまうのかと思いましたが、ようやく実戦に臨めるので、気合を入れ直しています。後輩に経験を伝えられるような、誇れる仕事をしたいと思います」と、感想を述べていました。
STI総監督の辰己英治は、「レースカーは9月の富士テストの後にも試験走行しており、たまたま経験できたウェット路面での走行から少しサスペンションのセッティングを調整しました。ドライでもその方向性が良いようなので、それをベースにこれまでと異なるブレーキパッドを試したりしています。今日のテストでも、リヤウィングの角度とリヤ車体姿勢などをアジャストしながら、より運転しやすい仕様を模索しています。順調と言って良いと思います」と語っています。また、監督の沢田拓也は、「今回のテストは、ディーラーメカさん達の研修が主目的で、じっくりとトレーニングすることができました。これまで以上にみっちり反復トレーニングできたし、タイヤと工具を揃えてピットの前線でレースカーのピットインを待つ”ニュルスタイル”も体験して、非日常感を味わってもらえたと思います。みなさん、職場では中心的な仕事をしているベテランの方が多いので、意欲や経験は非常に高いレベルにあると思います。しかし、レースカーのピット作業に慣れている方はいないので、最初は緊張していたし、戸惑いもあったようです。それでも慣れてくると、隙のない動きができるようになるのは、さすがだと思いました。クルマのほうは、年内あと数回テストを実施して、それぞれ試験課題をクリアしていく予定です」とまとめを語りました。
Scroll to top