2021.12.09
SUBARU WRX STI NBR 2022発進
SUBARU NBRチャレンジ2022
SUBARU/STIは、12月8日(水)、富士スピードウェイにおいて2022年のニュルブルクリンク(NBR)24時間レースに出場するSUBARU WRX STI NBR 2022仕様車のシェイクダウンテストを実施しました。
メディアやスポンサーを対象とした説明ブリーフィングでは、STIの平岡泰雄社長が「2年間ご無沙汰してしまいましたが、その間NBRレースカーの開発は継続しており、走りについては安心できるレベルに進化しています」と冒頭の挨拶をしたのち、NBRプログラム総監督の辰己英治、チーム監督の沢田拓也、チーフレースエンジニアの宮沢竜太、チーフエンジンエンジニアの大塚達也が紹介され、それぞれ計画の詳細を説明しました。
沢田監督は、「NBRプログラムの目的は、SUBARU/STIファンの皆様に安心と愉しさを提供することであり、特に今回は先行技術開発の確認、人材育成、ファンコミュニケーションを主軸に置いています。また、車両開発の狙いとしては、従来通り、運転が上手くなること、技術の信頼性向上、量産技術の流用と活用を掲げています」と語り、具体的な目標として「NBRでは、予選タイム8分55秒を達成してポールポジション獲得、SP3Tクラス優勝および過去最多の周回数146ラップを更新して総合18位以内フィニッシュ、1回のピット作業は108秒以内を達成する」と宣言しています。
2022年モデルに採用した技術は、タイヤ幅を11インチから12インチに拡大し、それにマッチする11Jの新概念ホイールを採用。タイヤ幅拡大に伴い車重1,300kg以上が義務づけとなるため、車体剛性バランスを見直して補剛を施しました。新たに電動パワーステアリングを採用しています。宮沢チーフレースエンジニアは、「タイヤ幅拡大と新概念のホイールを採用したことで、タイヤの接地性が上がり、旋回性能やブレーキ性能も向上。電動パワステを適正に制御することで、特に路面の荒れたNBRオールドコースでその効果を発揮することを期待しています。車両重量増をポジティブに活用することで、剛性を上げすぎない補剛を実現。車両の重心を約9mm下げていることもハンドリング向上に貢献します」と語っています。
また、大塚チーフエンジンエンジニアは、「タイヤ幅拡大に伴う車重増加の一方、燃料タンクを110リットルに大型化することができます。燃費改善と組み合わせる事で、1スティント9周が実現すると目論んでおり、さらに燃料タンクのエア抜き配管を見直したことで給油タイムロスを縮めることにもチャレンジしています。NBRではアクシデントによるイエロー提示も頻繁にあるので、場合によっては1スティント10周もありうると考えており、給油回数は24時間で1回ないし2回削減することができるのではないかと考えています」と語りました。また、辰己総監督は、「2022年モデルは、将来を見据えた先行技術を採り入れており、もちろんファンの皆様やスポンサー各位に喜んでいただけるよう勝って帰るつもりです。ドライバーラインアップについてはまだ未定であり、来春の東京オートサロンには正式発表できると思います」と語っています。新しい車体のカラーリングについては、「2年間の思いをのせたWRX STIがチェッカーフラッグを受ける」ことをイメージし、ボディにチェッカーフラッグパターンを採用しています。
この日90分間予定されていたテストでは、小雨が降るウェットコンディションの中、開発ドライバーとしてテストに参加した佐々木孝太が29周をひとりで走行。「クルマは既に熟成の域に入っており、何の不安も不満もない状態です。これまで十分走れていなかったウェットコンディションでロング走行ができたので、一定の成果があったのではないでしょうか。しかし、僕が乗ってニュルに出場した2014年のWRX STIとは全く別物ですね。相当進化していると思います。(当時と比べると)エンジンパワーが絞られ、重量も重いですが、それらを感じさせないパフォーマンスがあります。特にブレーキの進化には驚いています。当時は24時間壊れない信頼性を優先していましたが、このクルマでは攻めるブレーキングができるようになっているのが印象的です。パドルシフトも電動パワステもとっても快適です」と語っています。いよいよ2022年のNBRプログラムは具体的に動き出しました。