NEWS

NBR
2021.09.23

2022年NBR仕様WRX STI、テストを開始

SUBARU NBRチャレンジ2022

2022年5月に開催されるニュルブルクリンク24時間レースに向け、スバルテクニカインターナショナル(STI)は、このほど同レースに向けた新しい仕様のSUBARU WRX STIの走行テストを開始しました。
まだ夏の日差しが残る9月22日、栃木県のツインリンクもてぎに現れたWRX STIは、2020年、2021年のニュルブルクリンク(NBR)24時間レースに出場する予定だった個体をベースに新しい仕様をインストールしたものとなっています。まずは、2Lターボ車が参加できるSP3Tクラスのルールの中で許される18インチの大径幅広タイヤを選択。それに合わせて要求される最低重量1,300kgに車体を合わせることに挑んでいます。タイヤサイズは、直径680mm、幅280mmとこれまでより20mm拡大し、それに伴ってホイールは11J x 18インチとなります。80kg増加する車重は、フロア下面の前後方向に補剛を施し、サイドシルの板厚を増加するなどで調整。前後重量バランスを見ながら、重量増を車体の剛性アップに活用する方法を採っています。
その他は、SUBARU NBR車では初めて電動パワーステアリングを採用、ドライバーの負担軽減を目指しています。また、2020年からテストしていた衝突回避支援システムを導入しました。パワーステアリングは従来の油圧式とは異なり、タイミングベルトで駆動する油圧ポンプが不要となり、ステアリングコラム内に装備するだけなのでユニットも小さく、ドライバーのステアリング操作量に応じてサポートする仕組みのため、反応が早くタイムラグが少ないという特徴があります。また、衝突回避支援システムは後方から迫ってくる車両をカメラとレーダーで感知し、それが自車より速いペースなのか、自車を抜こうとしているか、あるいは自車と同等のペースのクルマなのかを判断。モニター上に色やアイコンなどでドライバーに知らせる装置です。ニュルブルクリンクはブラインドコーナーが多く、特に夜間などは後方が視認しづらいため、レース中の安全確保のために有効と考えられています。
この日のツインリンクもてぎは、朝から晴天に恵まれ最高気温は30℃、路面温度は39℃と夏のような気候です。また湿度も高く、じっとしていても汗ばむほどでした。この時期を選んだ理由は、路面温度が高い状態でタイヤがいかに機能するか、摩耗量はどうかを確認するためで、この日は2種類のスリックタイヤでテスト走行しています。ドライバーは山内英輝と井口卓人がテストに参加しました。午前10時からの占有走行は、まずは各部が適正に稼働しているかのチェックを行い、その後のスポーツ走行枠を利用して早くもロングランテストを実施しています。STIの沢田拓也監督は、「朝方ギアシフトに小さなトラブルがあったのですが、今回のテスト目的にはあまり影響のないものでした。一番には18インチタイヤを装着することで、車体にどのような影響があるかを確認したかったので、今日のテストは概ね良い方向だったと思います。ドライバーのタイヤに対するフィーリングは良かったし、補剛に関するコメントもポジティブなものでした。欲を言えばもう少し路面温度が高い状態でタイヤのチェックを続けたかったですね」と語っています。また、ドライバーの井口は、「圧倒的にタイヤサイズ変更が良い方向に効いています。これまでの仕様だとアンダーステア傾向が割に強かったのが、だいぶ低減していると思いました。それに伴って回頭性も良くなっています。コーナリング中の車体の剛性感もしっかりしていて好印象でした。ただし、当然のことですが車重が増えたことで加速感は少しスポイルされます。そこをカバーできたら言うことなしです」と語り、STI総監督の辰己英治も目を細めていました。
2021年NBR仕様車のテストは今後とも実施される予定です。その都度進捗をお知らせしていきますので、どうぞお楽しみに。
Scroll to top