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2022.01.17

「STI E-RA CONCEPT」は、STIの新しい挑戦

東京オートサロン2022でワールドプレミア

1月16日に閉幕した東京オートサロン2022でSUBARUブースは、話題を集めました。GT300チャンピオンカーのSUBARU BRZ GT300やSTIの名を冠した参考出品車、オンライントークショーはもちろん、SUBARUファンの皆様に楽しんでいただけたと思います。そして、ワールドプレミアとなったフル電動のモータースポーツEVである「STI E-RA CONCEPT」は、自動車専門メディアだけでなく、一般全国紙やTVニュースにも登場しました。
14日に実施されたプレスカンファレンスでは、スバルテクニカインターナショナル株式会社(STI)の平岡泰雄社長が、「このSTI E-RA CONCEPTは、来るべき電動化社会を見据えた100%電動のモータースポーツ車両です。四輪駆動EVであり、EVであってもSUBARUらしいAWDの走りができる電気自動車を目指して開発していきます。将来的には、ドイツのニュルブルクリンク北コース(ノルドシュライフェ)で400秒=6分40秒の最速ラップタイムを目指します」と表現しています。会場に展示された「STI E-RA CONCEPT」の傍に立って説明にあたっていたSTI新規事業推進室部長でSTI E-RA CHALLENGE PROJECTの推進責任者である森宏志に、SUBARU MOTORSPORT MAGAZINE(以下MSM)記者がより具体的な質問をぶつけてみました。
MSM 森さん、このクルマの目標性能を説明していただけますか。
 「平岡社長が説明していましたが、四輪各輪にそれぞれ200kWのヤマハ製ハイパーEV用モーター(ギア、インバーター一体式)を配した電動AWDです。フルパワーだとちょうど800kW(馬力換算1,088 PS)を発生し、四輪独立トルクベクタリング技術で走ります。フルカーボンのボディワークをもち、ホイールベース間に敷き詰める60kWhのリチウムイオンバッテリーを含む車両重量は1,690kgとなっています。シャシーレイアウトはSUPER GTのSUBARU BRZ GT300で培ったノウハウを取り入れています」
MSM コースに合わせて四輪を制御して適正なトルクを路面に伝えていくということですね
 「その通りです。SUBARU では、すでに量産車両にマルチモードVDC(ビークルダイナミクスコントロール)やアクティブトルクベクタリングなどを採用していますが、フル電動のこのクルマでは、より緻密で複雑なセンサリング技術と制御技術が必要となります。そこに大きな課題とチャレンジがあるのですが、これまでの経験と知恵を総動員して挑戦していきたいと考えています。将来の電動ロードカーにも採用できるようなシステムになれば、良いですね」

MSM EVは冷却が内燃機関よりも重要だと思います。このクルマではどうなっているのでしょうか。
 「バッテリーの冷却は空冷です。フロントに配した大型のラジエターは、インバーターを冷却するもので、ルーフ上のスクープからエアを導くオイルクーラーは、各輪モーターを冷却します。EVとしての要件を満たした上で、空力性能を追求するためSUBARUデザインに協力を求め、このスタイリングとなっています。」
MSMデザインご担当の河内(敦)さんは、やはりエアの流れが重要とおっしゃっていました。デザインのポイントはフロント回りとフロントタイヤハウス後端の造形とのことです。しかし、ニュル6分40秒となると、ドライバーは相当経験豊富でないと難しいでしょうね。ダウンフォースも強烈でしょうし。
 「そうですね。ノルドシュライフェで6分40秒という目標は、ドライバーを選ぶことになると思います。最速GTドライバーでも見たことのない次元を知っているドライバーにお願いしないとならないでしょう。今年秋頃には国内サーキットでシェイクダウンを実施し、さらにそこから各部のパフォーマンスや制御技術を磨いていくことになりますので、その先の話にはなると思います」
MSMCD(空気抵抗値)やCL(揚力係数)など空力性能の数値は公表していますか。
  「まだコンピューターによるCFD(数値流体力学)解析中であり、実車風洞試験はまだもう少し時間がかかりそうです。展示中のこのクルマもまだモックアップであり、これからコツコツと部品を作り上げ、走行できるテスト車両を仕上げていく予定です」

車名のE-RA(イーアールエー)は、電気自動車であるElectricの頭文字と、Record Attempt(記録挑戦)を組み合わせたものです。RAは、初代レガシィの世界速度記録挑戦以来、記録に挑む車両につけられたネーミングです。ニュル北コースで、記録に挑む姿を想像するだけでワクワクしますね。シェイクダウンが楽しみです。
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