RALLY

BACKSTAGE COLUMN

2022.03.18

SUBARUドライバーを支える精鋭ディーラーメカニック

ニュルブルクリンク24時間レースを筆頭に、TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZワンメイクレース、そして全日本ラリー選手権でSUBARUドライバーを支える存在、それがSUBARUディーラーメカニックたちです。販売店のメカニックをモータースポーツ現場に派遣する企画そのものは1990年代のWRCに始まり、時代とともに参戦するカテゴリーを変えながら、現在までSUBARUの伝統として受け継がれています。

この企画が現在まで続く背景には、普段の店舗とは違う環境で、その道のプロたちの働きぶりを目の当たりにすることで『さらに腕を磨きたい』というモチベーションにつながるだけでなく、店舗に戻った際に、現場で得た知見が広まり浸透するという効果もあります。特にラリー競技の場合は『作業時間の制限』や『屋外での作業』といった特殊な条件が重なり、高い緊張感のなか、的確で安全な作業が求められます。ディーラーメカニックたちはSUBARU車のエキスパートとはいえ、ラリーカーの整備は初めてという場合も多く、慣れない環境のなかで奮闘する様子は、これまでもSUBARU MOTORSPORT MAGAZINEのレポートでお伝えしてきました。

今回は、ディーラーメカニックを受け入れる側のキーマンに話を聞いてみました。シムスレーシングの小林昌弘エンジニアは、「ディーラーメカニックに来てもらった最初の日は、まずクルマを見てもらって、整備の注意点などを説明します。その後で、だいたい30分のサービスはこんな感じの時間配分になるよ、と1回シミュレーションをしてもらいます。誰がどのくらいできるか分かりませんので、練習を一緒にした時に動きを見て、実際にお願いする領域を見極めています」と語ります。毎戦ごとに顔ぶれが変わり、それぞれのメカニックによって技量の違いがあるため、コミュニケーションは特に重要な要素と言えます。

アライモータースポーツの関口学チーフメカニックも、「初対面同士の方が多いので、最初のうちはギクシャクすることもありますが、だんだんコミュニケーションをスムーズに取れるようになっていきます。みなさん最初は緊張していますが、普段からSUBARU車に触っている方々ばかりですから、非常に飲み込みが早い。ラリーの専用パーツを見て、『なぜこういう構造になっているんですか』など、積極的に聞いてくる方も多く、教えていても楽しいですね。初めての作業に戸惑うこともありますが、どんどん要領を得て作業スピードが上がり、頼もしくなっていくのが分かります。サービスの回数をこなすごとに団結力というか、チームワークができ上がっていきますね」と語っています。

実際、ディーラーメカニックたちが行うサービスでの作業は、足まわりのトルクチェックや増し締め、アライメント調整などが主なものとなりますが、たとえば30分でトランスミッションやタービンを交換するような作業が入った場合は、チームスタッフをサポートして円滑な作業を助けています。全日本選手権のトップを争う緊張感のなか、チームのメカニックたちの動きを目の当たりにできる経験は、貴重な経験と言えるでしょう。

「みんなやる気のある人たちが集まっていますし、対応力が高いので安心してクルマを任せられます」と語るのは、新井敏弘選手。かつてSUBARU RALLY TEAM JAPANとして参戦したWRCラリージャパンでのディーラーメカニックの働きぶりを見てきただけに、寄せる信頼は厚いものがあります。「ラリージャパンは2週間研修して本番に臨みました。今はラリーの3日間だけなので、本当はもう少し研修する時間を設けられれば、彼らのためにもなるかなと思いますね。その方が、本人たちも面白いと思います」

時にはディーラーメカニックならではの強みが活かされる場面も。「エラーが出てしまったり、配線トラブルの時などは、ディーラーメカニックの人たちに聞いたりしますね」と、小林エンジニア。関口チーフメカも「ディーラーではこの故障だったらここが原因ですよ、と逆に教えてもらうこともありますね。そうした点での相乗効果は大きいと思います」と、口をそろえます。

週末を通じてラリーの最前線で戦い切ったディーラーメカニックたちは、短期間にもかかわらず大きく成長し、チームに合流した当初と比べると顔つきも頼もしく見えます。「最初の打ち合わせではだいたいみんな顔がこわばっていますが(笑)、2日間の競技が終わって、最後にポディウムで一緒に写真を撮る時には、めちゃくちゃいい笑顔になっています。ホッとしているということもあるでしょうし、充実した表情を見られるのはうれしいですね。作業していても、だんだん阿吽の呼吸みたいなことが分かってくるので、頼りになると感じます」と、小林エンジニアは目を細めます。

こうしてラリーの現場で様々な学びを得たディーラーメカニックたちは、各店舗に戻ったのち、その経験を周囲へと伝えていきます。SUBARUが掲げる“安心と愉しさ”は、こうした取り組みによってさらに強固なものとなり、ユーザーの安心感を高めていると言えるでしょう。ラリー会場では、SUBARUディーラーメカニックたちが奮闘する様子にも注目してみてください。

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