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スーパー耐久 OTHER
2022.01.19

カーボンニュートラル実現に挑む「バイオ燃料SUBARU BRZ」

チームSUBARU体制で実験車両クラスのST-Qにエントリー

東京オートサロンのオンラインプレスカンファレンスで、株式会社SUBARUのCTO(最高技術責任者)である藤貫哲郎常務執行役員は、「2022年シーズンのスーパー耐久シリーズに、チームSUBARUとしてSUBARU BRZにカーボンニュートラル燃料を使って出場し、実証実験を進めていきます。スバルドライビングアカデミーのメンバーを中心に、SUBARU技術本部の社員がレースカーの開発、製作およびチーム運営を担当します。トヨタさんと協業しながらクルマを育成していきますが、レースの場ではまさにガチンコ勝負です。競い合うことで、技術開発のスピードを加速し、カーボンニュートラル社会の実現に挑戦していきたいと考えています。また、将来の技術開発を担う人財を育てるという目的もあります」と語り、プロジェクトの内容を明らかにしました。
これを受けてチームSUBARUの監督に指名されたスバル研究実験センター長の本井雅人は、「今回のプロジェクトでは、食べ物ではない植物由来の炭素などを用いて作った、化石由来の成分を極力含まない燃料を使います。まだ市販されているものではないのですが、JISで定められたガソリン規定に近づけた燃料です。現在、エンジンは初期セットアップなどの作業を進めており、2月23日の合同テストには走らせたいので、その前にシェイクダウンを済ませておくつもりです。ご存知の通りSUBARUは、専用のテストドライバーがいるわけではなく、エンジニアが開発車両の評価ドライバーも兼ねています。エンジニアのドライビングスキルや評価能力を引き上げるため、2015年に「スバルドライビングアカデミー」を創設し人財育成を進めています。今回プロドライバーと組んでスーパー耐久にチャレンジする廣田も、現在の開発ドライバートップエンドのひとりです」と語っています。「今回のスーパー耐久ST-Qクラスへのチャレンジは、トヨタ自動車さんとの合同プロジェクトではありますが、協業できるところは一緒にやり、競うところでは一生懸命競争する、というふうにメリハリをつけた関係だと考えています。部分的には、同一仕様の部品を使いますし、ホモロゲーションも協力しながら申請しています。でも競争はガチンコです。また、これまでの競技用車両は、STIや外部パートナーの方々にクルマ作りをお願いしていましたが、今回は本当にSUBARUの量産車両開発部門のエンジニアが図面を引き、研究実験センターの一角に専用のピットを作って、彼ら自身が実際に手を動かしてレースカーを作り上げています。もちろん私たちは、クルマづくりのプロですが、レースカー製作となるとまた別のノウハウが必要です。それらを実戦の中で学びながら、エンジニアを育成したいですね」と続けました。



レース参戦ドライバーの廣田光一は、「私は、車両運動開発部という部署で主に操縦安定性の開発を担当しています。1996年入社ですので、決して若くはありませんが、例年この時期は、北海道のテストコースで毎日テストを繰り返しています。また、トヨタさんとの協業でGR 86/SUBARU BRZ開発にも携わっています。一方で、86/BRZワンメイクレースでクラブマンのエキスパートクラスに参戦しており、S耐でも活躍している若くて速いライバル達に混じり切磋琢磨、腕を磨きながらレースを楽しんでいます。会社の自動車部に属しており、かつてはクラス2チャンピオンのプローバさんにご協力を頂きながらWRX STI(GDB)でS耐にも出場したことがあります」と語るベテラン開発エンジニアです。
本井監督は、「かつて開発メンバーはひとりひとりの守備範囲も広く、何をやっているかが誰の目にも明らかでしたが、今は細分化が進み、自分以外の担当領域のことはわからない、という風潮になりつつありました。それをやめて、幅広く横のつながりもつけていき、アジャイル(俊敏)に、臨機応変に、フットワークよく動けるエンジニアを育成したいよね、という藤貫常務からの後押しがあり、今回のプロジェクトを進めることになりました」と語っています。


自動車会社の開発エンジニアが競ってレースカーを作り、プロドライバーと一緒になって次世代技術を磨き上げる今回のスーパー耐久ST-Qクラスへの試みは、これまでのスーパー耐久シリーズへの自動車業界の関わり方に一石を投じることになりそうです。日本の自動車業界に従事する550万人の未来に貢献するプロジェクトとなることでしょう。本年のスーパー耐久合同テストは、2月23日に富士スピードウェイで行なわれ、3月20日には鈴鹿サーキットでシリーズ戦が開幕します。6月には富士スピードウェイで24時間耐久レースが組み込まれており、今シーズンは、11月の最終戦鈴鹿サーキット戦まで合計7戦がカレンダー登録されています。

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