RALLY

BACKSTAGE COLUMN

2021.11.19

スピードとクレバーさをあわせもつ新井大輝

2020年シーズンの全日本ラリー選手権において、20代の若さでJN1を制した新井大輝選手。ご存じ、プロダクションカー世界ラリー選手権(PWRC)王者の新井敏弘選手を父親に持ち、学生時代の2013年にラリーデビューを果たした、日本ラリー界の“サラブレッド”と言える存在です。

2015年からはフィランド選手権をはじめ、スペイン選手権、イタリア選手権、世界ラリー選手権(WRC)など世界を舞台に戦い、様々な路面やコンディションでの経験を積み重ねてきました。2019年、全日本ラリー選手権「久万高原ラリー」では、並居るベテランドライバーを相手に圧倒的なスピードで勝利。現在は全日本ラリー選手権をアライ・モータースポーツのSUBARU WRX STIで戦いながら、ヨーロッパラリー選手権へのスポット参戦も続けています。

ここぞという場面でライバルを圧倒する一発のスピードを持ちながら、冷静に状況を判断できるクレバーなドライバーという評価を得ている新井大輝選手に話を聞くことができました。
MSM そもそも様々なカテゴリーがあるなかで、ラリーを選んだ理由を聞かせてください。

新井 「もちろん父がラリードライバーということはあります。(出身地の)群馬県にはサーキットがないので(笑)、一番挑戦しやすいモータースポーツといえば、やはりラリーになりました。もともとのきっかけとしては、大学の工学部に在籍してエンジニアリングを学んでいたので、『エンジニアとしてクルマを理解するには、しっかり自分でも運転できて、モータースポーツの環境で何を言われているのか理解することが大切だ』と言われたことも理由のひとつです」

MSM 工学部を選んだのも、クルマに興味があったということでしょうか?

新井 「そうですね。クルマに関することを学びたかったということはあります。プロドライバーになる方って、小さい頃からカートの経験があったりします。それにし対して自分は何もやっていませんでしたし、そもそも運転免許を取ったのも19歳と遅い。どちらかというと、頑張っているドライバーをサポートするエンジニア側に回りたいと思っていました」
MSM 自分が参戦したい、という気持ちが強かったのではなかったんですね。
新井 「そもそも、自分が運転をちゃんとできるかも分からなかったので(笑)。上手くなれる保証もない世界ですから、サポートする側のエンジニアを夢見ていました」

MSM それが、ラリードライバーになって、世界でも戦うようになった。

新井 「自分のキャリアを考えると、初めてラリーに参戦したのもGC8ですし、あらためてSUBARUとの縁を感じています。海外でも最初はGRBで参戦していましたし、フィンランド選手権でMVPを獲得した時もマシンはGRBでした。全日本ラリー選手権タイトルもそうですし、SUBARU車に乗っている時は、とても良い結果を残している印象があります」

MSM 昨年は全日本ラリー選手権で王座を獲って、今シーズンからは海外ラリーへの参戦も再開。しかし、WRCクロアチアではアクシデントにより、怪我も負ってしまいました。

新井 「療養中は、SUBARU of Americaのタイムアタック動画ばかり観ていました。あのトラビス・パストラーナ選手のかっこいいWRXの走行シーンを繰り返し再生していましたね」
MSM 今シーズンの全日本ラリー選手権は厳しい戦いが続きました。

新井 「R5車両に加えて、GRヤリスも進化したことで、これまでになくライバルの多いシーズンになりました。なかなかハードな戦いでしたが、選手権として考えると、誰が勝つか分からない面白い展開になったのではないでしょうか。ライバルが強いからこそ、僕たちも良いクルマをさらに進化させようという、相乗効果も生まれています」
MSM ライバルに対して、WRXの長所はどこにあると考えていますか?

新井 「SUBARUが長年培ってきた、AWDの制御でしょうか。特にデファレンシャルの制御はライバルに対して負けていません。その中でシーズン開幕当初はそのアドバンテージがあったのですが、ライバルが開発を続けてきたことで、差は縮まってきています。今は自分たちが成長する番だと考えています」

MSM 新型SUBARU BRZをマイカーとして購入したそうですね。

新井 「アライモータースポーツで足回りも含めて開発しているので、どんどん乗りやすくなっています。さらにもう一段階、ラリーでのフィードバックを投入した、面白いサスペンションを作っているところなので、気持ちいい乗り味が実現できるはずです。SUBARU BRZはパワーもありますし、モータースポーツで活躍できる場面も増えてきそうですから、期待していただきたいですね」
MSM 最後に、SUBARUファンに向けたメッセージをお願いします。

新井 「今年は新型コロナウイルスの影響もあって、現場で実際に応援していただくことができませんでした。来シーズンはきっと有観客開催のラリーも増えてくるはずです。実際に足を運んでいただいて、ラリーカーの迫力を楽しんでいただけたらと思っています。観戦できるようになった際には、ぜひサービスに遊びに来てください!」
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