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RALLY
2023.11.20

WRCラリージャパン、新井敏弘は一時クラス首位に立つも最終日にリタイア

WRC最終戦フォーラムエイト・ラリージャパン2023

11月16日(木)、2023年世界ラリー選手権(WRC)最終戦「フォーラムエイト・ラリージャパン2023」が、愛知県・岐阜県を舞台に開催されました。SUBARU TEAM ARAIからSUBARU WRX S4での初めてのWRCイベントに臨んだ新井敏弘/松本優一は、ナショナルクラスのJRCar部門に出場。ラリー2日目まで首位に立ちましたが、3日目に電気系トラブルでレグリタイアとなり、再出走したラリー最終日はメカニカルトラブルによりリタイアとなりました。

■4日間・SS距離300kmを超える過酷な設定は大波乱の展開に

全13戦が行われる2023年のWRC。昨年、カレンダーに復帰したジャパンは愛知県豊田市にある豊田スタジアムを拠点に開催され、愛知県・岐阜県にステージが設定されるターマックラリーです。林道はナロー&ツイスティなほか、秋の開催ということもあり路面を覆う落ち葉や、不安定な天候が難しい要素となります。一方、今年は新たに豊田スタジアム内にスーパーSS(SSS)が特設されたことも話題に。2台同時に走行する2.10kmのコースは、会期中3回走行されました。また、土曜日には岡崎中央総合公園にもスーパーSSが設定され、多くの観客がラリーを満喫しました。
ラリーは、16日(木)のセレモニアルスタートに続いて1回目のTOYOTA STADIUM SSSを走行。本格的なステージは、17日(金)から始まりました。この日は、今大会最長のSS2/5 Isegami’s Tunnel(23.67km)、SS3/6 Inabu Dam(19.38km)、SS4/7 Shitara Town(22.53km)を、豊田スタジアムでのサービスを挟んで2回ずつ走行する設定でしたが、SS2は上位陣のアクシデントにより赤旗中断。SS4は濃霧と雨の悪天候によりキャンセルと、波乱含みの幕開けとなりました。夕方、再び豊田スタジアムに戻りサービスを行った後、前日に続き2回目のTOYOTA STADIUM SSSが行われました。18日(土)は、SS9 Nukata Forest(20.32km)、SS10 Lake Mikawako(14.78km)の2SSを走行した後、岡崎中央総合公園でのOkazaki City(2.84km)を2回連続でアタック。午前の2SSを再走した後は、新城市に設定されたSS15 Shinshiro City(6.70km)を1回走行するという、朝の15分サービス以降、夜の45分サービスまで8SS(82.58km)をノーサービスで走る設定です。この日は、豊田スタジアムでは最後となる3回目のTOYOTA STADIUM SSSで締めくくりとなりました。最終日の19日(日)は、岐阜県が舞台。旭高原元気村内を走行するSS17 Asahi Kougen(7.52km)から始まり、SS18/20 Ena City(22.92km)、SS19/21 Nenoue Kougen(11.60km)を2回ずつ走行した後、2度目のSS22 Asahi KougenはWRCのパワーステージとして指定されました。この日もスタート前のサービス以降サービスは設定されず、6SS(84.08kmの)ステージを走り切らなくてはなりません。

SUBARU WRX S4での3度目の実戦で大舞台を迎えた新井。「今回は、サスペンションのジオメトリーを調整しました。16日(木)のシェイクダウンを3回走りましたが、以前よりは曲がるようになりました」と、ラリージャパンに向けた準備の様子を語りました。ラリー初日のスーパーSSでJRCar部門2番手タイムをマークした新井は、大雨に見舞われた2日目の金曜日、滑りやすいコンディションの中を慎重にクリアして2番手をキープします。すると、この日最後のスーパーSSで部門トップを走るマシンにアクシデント。リタイアとなったため、新井は部門首位に立って3日目(土)を迎えました。しかし、この日も時折雨が降り出すような難しいコンディションの中、最初のステージで新井のマシンにオルタネーターのトラブルが発生し、ここでデイリタイアとなりました。マシンを修復して再スタートした最終日。新井は、土曜日に走行しなかったSS分のタイムペナルティが加算され、部門首位から48分以上遅れの8番手でこの日をスタートしますが、最初のSSでは部門トップタイムをマークします。しかし、SS19でウエット路面を濡れた落ち葉が覆う、極めて滑りやすくなった路面に足を取られ、側溝の中に隠れた岩にサスペンションをヒットしたことでダメージを負い、残念ながらここでリタイアとなりました。

■新井敏弘「待ってくれていた観客のみなさんには本当に申し訳ないです」


厳しいコンディションとなったラリーでJRCar部門を戦った新井は「細かいリサーチや的確な判断がより求められるWRCへの久しぶりの参戦でしたが、最終日は天気の予報を読み違え、タイヤの選択を誤りました。ステージで待ってくださっていた観客のみなさんには本当に申し訳ない思いです。不完全燃焼ではありますが、クルマは良くなっているので、さらにテストを重ねて今後につなげたいと思います」とコメント。リタイアには終わったものの、来シーズンの飛躍に向け収穫のあるラリーとなりました。

このWRCラリージャパンをもって、2023年の主要なラリーは終了します。全日本ラリー選手権では新井敏弘が新型のSUBARU WRX S4を投入するなど、新たなチャレンジに向かった1年となりました。今後ともSUBARU勢へのご声援をよろしくお願いいたします。
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