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NBR
2023.01.25

SUBARU WRX NBRチャレンジ2023、ナイトテストを実施

ニュルブルクリンク24時間レース

1月24日(火)、スバルテクニカインターナショナル(STI)は、富士スピードウェイにて本年初のNBRチャレンジ車開発テストを実施。ドライバーの山内英輝と井口卓人のふたりが精力的に走り込みを進め、午後5時からは追加ドライビングライトを装着したナイトテストも行いました。
12月15日に富士スピードウェイでシェイクダウンテストを済ませた後、テスト走行するのはこの日が初めてです。日本列島に大寒波が来襲するという天気予報の推移を気にしながら、富士スピードウェイに入ると、路面は朝の小雨の影響でハーフウェットながら、雲の間からは青空がのぞいています。テストが始まる朝10時の気温は7度。耐えられる寒さではありました。
シェイクダウン後の走行で、マイナートラブルが発生したためSUBARU WRX NBRチャレンジマシンは、それらの修復確認に加え、ブレーキフィーリング向上を目指した改良などが加えられています。また、直近の風洞試験によって、空力デバイスを見直すことでコーナリングスピードがさらに上げられることがわかっており、今回はそれらの実装試験も目的の中に入っています。辰己英治チーム総監督は、「新車なので、マイナートラブルはつきものです。それの対策にばかり時間を取られていては開発が進みませんが、それらを潰しながらも完成度は上がってきています。先日の風洞試験でも、技術者たちがいろんなアイディアを出してくれて、例えばラジエターを通過するエアをフェンダー内に流さないようにすると、リフトが抑えられることがわかりました。また、エンジンフードの後端にガーニーフラップを取り付け、リヤアンダーのディフューザー内にバーチカルフィンを装着すると、ともにダウンフォースが増えることもわかりました。今回エンジンフードがカーボン剥き出しなのは、少し補強を入れたからです」、と走行前に語っていました。
午前中2回、午後2回のスポーツ走行は他のレースカーとの混走でしたが、それぞれ30分間の走行時間をほぼフルに使って周回を重ねました。午前のテスト途中からは路面は完全ドライとなり、多くの時間はスリックタイヤでの走行となりました。ドライバーの井口卓人は、「ブレーキフィーリングは断然良くなりました。コントロール性も良くて、朝イチのハーフウェット+スリック走行という難しいコンディションで、すごくポジティブな感触が得られました。状況が変わりやすいニュルを想定すると、良い選択ができたと思います。(エンジン出力上乗せ分について)パワーアップは確実に感じます。特に気温が下がってくると、パワーが上がるのも僕達にとっては有効に働くと思います。課題のひとつであるダウンフォースも少しずつ効果を感じられるようにはなっていますが、まだコーナリングスピードは熟成された前モデルに比べると詰められる要素が残っていると思います」と語っています。テストの途中では、トランクフードに開けられたデフクーラー用冷却口を塞いでいました。辰己総監督によると、「どうもこの位置に穴が空いているとリアウィング下を流れる空気を乱しているようで、塞いでみるとタイム的にも良いことがわかりました。この涼しい環境下ではデフクーラーも問題ないので、気温が高い時にどうするかをまた工夫します。風洞試験やCFD解析(コンピューター上の流体力学解析)はもちろん大事ですが、こうやって実車走行することで色々わかることも多いですね」と説明しています。
午後5時からの1時間はSTIの専有走行時間となり、フロントグリル内にドライビングライトを追加したパネルを装着し、薄暗がりの中ナイトテストをスタートしました。富士スピードウェイは24時間レースが開催されるようになって夜間照明が完備されましたが、今回の専有テストでは、ノルドシュライフェを想定して場内照明なしの走行テストとなりました。最初は井口がドライブ。スリックのソフトタイヤを装着し、あっさりとこのクルマのベストタイムを更新していました。続いて、山内英輝がさらにコンパウンドの柔らかいタイヤでコースインします。この頃には、ピットレーンの照明も全てオフとなっていたので、あたりは漆黒の闇です。終盤には粉雪のようなものもチラホラと舞うようになってきました。気温は2度を示しています。テスト走行を終えてピットガレージに戻った山内は、「クルマの仕上がりはとても順調で快適に走れました。僕が走っている間は、問題はありませんでした。しかし、まだ車体のロールが大きく、もっとセッティングを詰めていけばタイム的にもまだまだ速く走れると思います。ヘッドライトは遠くまでよく見えています。でもドライビングライトの角度なのか、近いところの外側がやや見にくく、終盤に13コーナーのイン側にあるポールに右前のカナードを軽くヒットしてしまいました」と語っていました。
テストを終えて、沢田拓也チーム監督は、「本日はスポーツ走行4枠、専有走行1時間を通じてノートラブルで走れました。まずは無事にテスト項目がクリアできてホッとしています。いままで解消できなかったものがクリアできましたし、徐々にクルマはまとまってきたと思います。タイム的にも1分44秒3がベストだったので、目標のタイムを達成できました。しかも夜間セッションでのタイムです。3月上旬には送り出しを予定しているので、後1ヶ月の間にどれだけセットアップを煮詰めていけるかがポイントだと思います」、と語っていました。
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