2025.05.13
S耐富士公式テスト、SUBARU High-Perf Xは順調な仕上がり
富士スピードウェイ公式テスト
5月8日(木)、富士スピードウェイにてENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE第3戦「富士24時間レース」に向けた公式テストが行われ、Team SDA Engineeringからエントリーした61号車「SUBARU High Performance X Future Concept」(伊藤和広/山内英輝/井口卓人/花沢雅史/伊藤奨)は3時間のデイライト走行枠、110分間のナイトセッションを走破し、24時間レースに向けたセットアップを進めました。
五月晴れとなったこの日の富士スピードウェイに現れたのは、52台のS耐マシンでした。24時間レースにエントリーしているのが合計62台であるため、約8割以上のマシンが公式テストに顔を揃えたことになります。そのうち61号車が属するST-Q クラスには、TGRR GR86 Future FR concept、GR Yaris DAT、2台のマツダを含め計5台が参加しています。61号車Hi-Perf Xは、前戦鈴鹿からゴールデンウィークを挟んでいるため、鈴鹿で損傷したフロント部分の補修と補助ライトやカナードの追加程度の状態で持ち込まれました。ハードウェア以外では、チーム監督兼チーフエンジニアの伊藤奨がドライバーとしてエントリーしていることが特筆事項です。チーム代表の本井雅人は、「ドライバーの言っていることを正確に理解・実体験するため、富士24時間レースに自分もドライバーとして参加したい、と伊藤から申し出がありました。伊藤は、元々スバルドライビングアカデミー(SDA)のインストラクターであり、伊藤(和広)、花沢同様に社内トップドライバーのひとりです。この富士スピードウェイも走り尽くしており、私としても(伊藤の提案を)ポジティブに捉えています」、と語っています。24時間レースは、レギュラーの4名に加えて、今回は伊藤奨がラインアップに加わります。チームは、昨年の24時間レースにはBRZで出場しているため、このHi-Perf Xは24時間レース初体験となります。ナイトセッションで、ドライバーの有効視界が確保されているか、補助灯の効果はどうかをしっかり確認しておく必要があります。テスト走行は順調に進み、周回を重ねながら調整を繰り返しました。Aドライバーの伊藤(和)は、「鈴鹿はだいぶ自信を持って攻めていけるようになりましたが、富士は簡単ではないですね。クルマは進化しており、高速コーナーでも踏ん張れるようになってきていますが、その反動でシャシー剛性の問題があるな、と感じます。簡単なことではないのですが、何らか答えを見つけたいですね。ふたりのプロドライバーは、曲がらないクルマを曲げる術を持っていますが、私たちにはまだその領域は未知ですから」、と語りましたがストレートスピードはこれまで以上に見えます。
Dドライバーの花沢は、「エンジンのピークパワーはこれまでと変わらないのですが、過給圧制御をチューニングしたおかげでコーナーからの脱出加速はだいぶ進歩しています。私たちにとっても乗りやすいクルマになっていると思います」、とエンジン技術者らしいコメントを返してくれました。5人のドライバーはそれぞれ周回を重ね、ナイトセッションは伊藤(和)、花沢、伊藤(奨)の3名だけで走り込みを続けました。夜間走行を終えた伊藤奨は、「私はテストコースでは散々走っているのですが、やっぱり見切れないGの領域があって、サーキットでないと見えない部分が多いというのを実感しています。連続走行でサーキット走るというのもあまりやっていなかったので、クルマの重量やタイヤ摩耗による変化などはよく分かりました。ドライバーの言うアンダー感も理解ができて、この先の課題が明確に認識できたのは収穫です」、と語っています。
チーム代表の本井は、「持ち込み仕様の中ではベストなセットアップが出たかなと思います。ナイトセッションは、初めて乗った伊藤奨も含めて安定した走りができたので、今できることとしてはベストかなと思っています。ただ、まだ鈴鹿でやり残していて24時間までにやらなくちゃいけないことがあるので、それをきちんとこなすことが目下の課題です。加えてもうちょっと速さ強さが欲しいと考えています。実は鈴鹿の結果を受けて、社内がすごく活気づいたんですよ。それを加味して24時間に向けて準備を加速したいと考えています」、と語りました。