2025.03.02 - 全日本ラリー選手権第1戦 Rally三河湾 2025 Supported by AICELLO Leg2
巻き返しを目指した新井敏弘はSS8でリタイア

この日は道幅が狭くテクニカルな林道や高速セクションなど多彩な性格が混在したステージが舞台となり、大規模な改良を施したSUBARU WRX VBHにとっては新たなデータを得る絶好の機会となりました。レグ2の競技は、15分のサービスを終えた後、SS8/11『Toyokawa Miyaji-San(10.70km)』、SS9/12『Okazaki Kuwagai-Tobone(6.57km)』、SS10/SS13『Fukouzu Sports Park(4.80km)』の3SSを昼のサービスを挟んで2ループした後、サービスパークに隣接されたダート路面の『SSS KIZUNA(0.58km)』を走る7SS・44.84kmでの構成となりました。

この日は朝から雲が広がり、林道SSの設けられた山間部では、時おり小雨も降る天候となり、タイヤの選択も難しいコンディションとなりました。2日目の競技に臨んだ新井は、この日最初のSS8でコーナーを曲がり切れず、右フロントをヒット。サスペンションロッドを破損し、残念ながらここでリタイアとなりました。
心機一転して臨んだ矢先に悔しい結果となった新井でしたが、「1日目は去年よりも速くなっていることを感じましたが、クルマの詰めが足りませんでした。実戦で走ってみないと分からない部分が露呈した形ですが、どこが悪いかは分かっているので、次戦の唐津までにその部分を直してテストも行い、しっかりと準備を整えて臨みたいと思います」と、次の戦いへの意欲を語りました。

・望月将大
・SUBARU技術本部E&Cシステム開発部電子システム開発第二課
クルマやバイクが好きな父親の影響で子どもの頃からレース観戦などに出かけ、家のクルマのエンジンルームなどを見ていくうちに抱いた、クルマの開発者になりたいという思いを実現させた望月。SUBARUでは、制御設計を担当するかたわら、ラリー活動にも取り組んでいます。
「先行開発しているクルマの、ある機能の制御設計・ソフトウェア開発をしています。入社して10年くらいはECUのハードを担当していたのですが、ソフト屋さんになりたくて異動した先の上司がラリーをしていて、一緒にやってみないかと声かけていただきました」とラリーとの関わりのきっかけを語る望月。量産車開発と比べ、競技車両での開発のスピード感に驚きを感じたといいます。
「量産車の開発では年単位で進むことが、競技車両では1カ月後や2週間後といったレベルで進んでいきます。モータースポーツの現場ではとてもやりがいを感じる反面、小さい頃から新井選手の走行動画を見ていたりしてきたので、すごい方たちと仕事をしているというプレッシャーもあります」
今回のラリーから投入したSUBARU WRX VBHの大改良では、望月の取り組みも反映されています。
「今回の改良では電装部品とハーネス関係を担当したのですが、ハーネス関係の軽量化をさせていただきました。昨年比でも、30%ほどの軽量化を行っています。私はパワーユニット、エンジンが専門だったので、ボディ関係の軽量化となると、どれが必要なものなのか、削っていいものなのか、分かりませんでした。そこで、社内の図面を片っ端から集めて、アライモータースポーツのメカニックさんとお話しして確認を進めていったのは、少し大変な作業でした」
「データを見ると、トップスピードは去年に比較すると上がっていましたし、加速も速くなっていました。エンジンの制御を一部変えたのですが、そういったところが効いてきたのかなと思います。こうしたところは、今後も引き続き突き詰めていきたいと思います」
2025年の全日本ラリー選手権2戦目は、4月11日〜13日に佐賀県唐津市を拠点に開催されるターマックラリーのツール・ド・九州2025 in 唐津。今年は、これまで使用した部分を一部残しつつ、大きくコースが変更されることが発表されています。サービスパークは例年と同じく、唐津市にあるボートレースからつ内駐車場に設置。12日には恒例となっている唐津神社でのセレモニー、13日には新しい観戦ステージの設定も予定されています。開発の新たなステージを歩み出したSUBARU WRX VBHの奮闘に、応援をよろしくお願いします。