NURBURGRING 24H RACE

TOPIC COLUMN

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2025.06.12

「心、技、体を仕上げてニュルに臨む」スバル東北・古川店 種市紳也

本年のニュルブルクリンク24時間レースに参加するSUBARUディーラーメカニックの出張直前の意気込みを聞くため、SUBARUモータースポーツマガジン記者(MSM)は、6月12日に宮城県大崎市のスバル東北・古川店に伺いました。同店では、この6月からフロントマンとして赴任したばかりの種市紳也が待ち構えていました。
種市は、入社15年目の37歳。奥様、娘さん二人と仙台市内に住んでおり、古川店まで約1時間かけて通勤しているそうです。ご覧の通り日焼けしており、引き締まった体つきがアスリートであることを証明しています。MSM記者が彼に会うのは、1月の東京オートサロン会場以来。「お久しぶりです。お元気でしたか、ニュル出張はもうまもなく出発ですね。だいぶ絞っているようですが、大会があるのでしょうか」、と尋ねると堰を切ったように種市は語り始めました。
「僕は、フィジークという競技をやっていて、その大会が7月にあるので、今まさに減量の真っ最中なんです。毎日家でベンチプレスをやっていて、週二日はジムにも行って筋トレに励んでいます。フィジークとは、上半身の筋肉を鍛えてその完成度を競う競技です。下半身の筋肉は対象にならないので、そこがボディビルとは異なる点です。今は体脂肪率5%ほどに仕上がっており、まさに準備万端の状態です。また、仕事的には6月に転勤で泉店(仙台市)からこの古川店に来たばかりです。新たにフロントマンとしての赴任なので、まさに新しいステップにチャレンジするタイミングです。ニュルに派遣されるメカニックに選んでいただけたので、WRX S4に慣れておく必要があると思い、この度S4ブラックエディションの新車を購入しました。それを自分仕様に手を入れる作業もあり、ともかく公私共に多忙で充実した毎日を送っています」、と語っています。「以前、2016年に全日本ラリー選手権(ラリーinいわき)にディーラーメカとして参加したことがあり、チームLUCKのWRX STI(ドライバーは勝田範彦)のメンテナンスを担当しました。ラリー競技は一度サービスパークをクルマが離れると、メカニックはただハラハラドキドキしながら次のサービスインまで待たないといけません。でも戻ってきたクルマを見たら一般車では通常緩むことにない部位に異常が発見されるなど、予想外の事態に対応する必要があります。色々と気づきがあり、とても勉強になりました」、と続けました。
彼が入社した2011年4月は、東日本大震災直後のことでした。「配属先に行ったらお店のガラスが全部割れていて、会社はまさに緊急事態の最中でした。だから、行事的なことは全てキャンセルです。また、作業中にも余震でリフトが揺れるなど今思い起こしても大変な状況でしたね。僕自身や家族には大きな被害はありませんでしたが、しばらくはお客様のおクルマの救出に駆り出されることも多々ありました。そんな経験をしたからでしょうか、やりたいこと、今やれることはとにかく全力でやろう、と思っています。それが、今の僕につながっているのかな。会社に入るにあたっては、ニュルブルクリンク24時間レースに派遣されるようなメカになることが目標でした。家族ができてからもその夢を語り続けていたので、派遣が決まった時に妻は、”夢が叶ってよかったね。経験を大事にしてね”、と言ってくれました。
最後にNBR出張前の心境を聞きました。「過去の動画や先日あったQFレースの配信を見て、一緒に派遣される仲間たちとピットでの動きを確認しあいました。如何に効率的に動くかが課題だと感じました。仲間たちとはグループLINEを使って意見や情報の交換を行っています。仕事上では、県をまたがって他社の人達と交流する機会はないのですが、昨年12月の研修会でも意気投合しており、すでに信頼関係はできています。コミュニケーションもスムーズなので、良いメンバーが集まったと思っています。彼らと切磋琢磨しながら、自分自身としてはメカニックとしての集大成だと捉え、悔いが残らないように力を出し切ってきたいと思います。そうすることで、古川店はもちろんのこと、今までお世話になった泉店の同僚や後輩にも還元できることが持ち帰れると思います。また、今後はフロントマンとしての業務なので、ニュルで得た経験がお客様との絆作りに役立てられると確信しています」
種市らディーラーメカニック達は、6月14日に成田空港近くのホテルに投宿し、翌朝フランクフルトに向けて出発します。同日夜に現地入りし、16日月曜日の朝からニュルブルクリンクに近いアーデナウのガレージでSTIメンバーと合流して24時間レースの一週間を迎えます。現地からの配信やアワリーレポートをお楽しみください。
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