
3月15日(土)・16日(日)の二日間、岡山国際サーキット(岡山県美作市)にてSUPER GT公式テストが行われ、GT300/GT500合わせて40台のGTマシンがテスト走行を行いました。

この二日間は「春の寒の戻り」により、全国的に気温が低く雨または雪になるところが多かったようです。岡山県北部の山間部に位置する岡山国際サーキットは、断続的に冷たい雨が降り、気温は6〜8℃ほどの真冬のような天候の中でテストが行われました。本来このテストは4月の開幕戦に向けたセットアップを目的とするものですが、この気象状況では条件が異なりすぎていると言えるでしょう。シャシーを新造したSUBARU BRZ R&D SPORTも、完全なレースモードで周回したいところですが、ドライコンデイションで走行をスタートした土曜日午前中のセッションよりあとはウェット路面であったため、想定とは異なるテストとなりました。しかも午後に行われたセッションは雨足が強くなり、クラッシュして赤旗走行中断の原因となったチームも少なくありませんでした。

二日目は曇り空の下で行われる予報もありましたが、蓋を開けると前日同様に冷たい雨が降り止まず。一時は強い雨のため、コースアウトするマシンが続出してその都度走行は中断となります。そのため予定されていたFCY(フルコースイエロー)およびSC(セーフティカー)ランの練習はキャンセルとなっています。午後のセッションを前に全車参加のスタート練習が組み込まれていました。しかし、これもセーフテイカースタートに改められ、しかも3周で終了となっています。GTカーを間近に見るためサーキットを訪れていた多くのレースファンにとっては歯がゆい思いの公式テストとなってしまいましたが、それでもピットウォークには大勢のファンが駆けつけてくれました。

SUBARU R&D SPORTチームは、最初のセッションから走行を続けながら、ピットインしてはセットアップチェンジを繰り返し、ウェットコンディションでのセッティングをさまざま試していました。路面状況はかなり悪かったのですが、二日目午後のセッションで山内英輝がドライブする61号車SUBARU BRZがクラストップタイムを出す場面もありました。その後、井口にドライバーチェンジしますが、エンジンが不調となってピットインします。井口は、「交代してすぐに息つき症状が出てピットに戻りました。僕は雨であまり走れていなかったので、フィーリングチェックをしておきたかったのですが・・」、と語っていましたが、その後マシンは修復され、井口はコースインしていきました。トラブルは燃料系の問題だったようです。

二日間の公式テストは、気温・路温ともに一桁台の中、雨に悩まされる展開となりましたが、チームは12日(水)・13日(木)に同サーキットでプライベートテストを行なっており、二日間で700kmもドライコンディションで走っている為、4月の開幕戦に向けた準備は進んでいる模様です。
公式テストを通じて多くの周回を走り、セッティングを担当した山内は、「(最後の二日間は)雨だからこそ、このクルマの素性というものが見られて、良いテストができたと思います。(今日の午後の走行は)結構な雨量によって痺れる状況だったのですが、速いペースで走れたので方向性は間違ってないのかなと思います。プライベートテストではドライで走れたのですが、ずっと少し悩ましいところ、引っかかるところがあったので、逆にそれはこの雨のテストで原因を見つけられた気がしています。だから今は、ちょっとすっきりしています」、と語っています。

また、STIの小澤正弘総監督は、「クルマが新しくなったことでだいぶ変化点があるのですが、この4日間のテストでこのクルマの良い点がしっかり見つけられたのが成果だと思います。セットアップのスイートスポットが、これまでとは違うところにあるのをちゃんと理解できたので、その点で有意義だったかな。ここまでには、新車が故のマイナートラブルや設定の問題など色々あったんですけど、それらはもうほぼすべて解消できてしっかり走り込みができたので、開幕に向けて準備は順調に進んでいます。ヘビーレインの中でトップタイムも狙えるぐらいのペースで走れていたので、非常に前向きかなと。そういう意味では、このウェットテストは有効だったと思います」、と総括しています。
2週間後の3月29日・30日の週末に富士スピードウェイにて、2回目のSUPER GT公式テストが組み込まれており、SUBARU R&D SPORTももちろん参加し、開幕に向けたテストメニューを実行する予定です。