2025.05.17 - 全日本ラリー選手権第3戦 YUHO Rally 飛鳥 supported by トヨタユナイテッド奈良 Leg1
新井敏弘はSS5フィニッシュ後に無念のリタイア

全8戦が行われる2025年全日本ラリー選手権、第3戦は選手権の新規イベント、奈良県天理市を拠点とするターマックラリーです。サービスパークは天理市の天理教 北大路乗降場に設置されました。競技開始に先駆けて、16日(金)には天理市役所でセレモニアルスタートを実施、全日本選手権としては32年ぶりに奈良県を走行するラリーの開幕を盛り上げました。
競技初日となる17日(土)は、サービスパークをスタートした後、天理市から南下した奈良県中部の山間部を走行。SS1/4『Imotouge(5.86㎞)』、SS2/SS5『Takai Memorial(7.18㎞)』、SS3/6『Ohmine Pass(9.45㎞)』の3SSを、サービスを挟んで2ループする6SS(SS総距離44.98km)という構成。高低差が激しいステージは、タイトなコーナーと直線が組み合わさり、ツイスティな部分がありながらも速度域は高いという複雑な性格です。この日は、午前は朝から雨が降り、時おり雨足が強まるなど難しいコンディション。午後になると雨は止み、路面に水は掃けて湿った路面となり、ステージの一部には霧も発生しました。

今季、大幅なアップデートを行ったSUBARU WRX VBHで臨んでいるチーム。開幕2戦では思うような結果が得られなかった反省を踏まえ、今回のラリーに向けてジオメトリーの再計測を行うとともにサスペンションのセットアップを最適化。本来あるべき状態にセッティングを調整しました。また、足まわりの再調整と軽量化も進め、規定ギリギリの重量とし、テストでもポジティブなフィードバックが得られていました。
ヘビーウエットとなった午前のループ、新井はSS1を7番手タイムでスタートすると、SS2では5番手タイム、SS3では6番手タイムで、クラス6番手につけて日中サービスに戻ってきました。ハーフウエットの午後も、順位をキープしながら調子を上げていきましたが、SS5を走り終えた後のリエゾンでメカニカルトラブルにより残念ながらリタイアを決めました。
■嶋村誠「原因を究明して地元群馬での次戦で活躍を」
チームをサポートする嶋村誠は、「残念ながら、メカニカルトラブルでリタイアとなってしまいました。開幕戦以降、改善に挑み続けてライバル車両との差をかなり縮められてきていただけに、非常に残念です。トラブルの正確な原因については車両を持ち帰って分解調査し究明していきます。次戦は、SUBARUの地元である群馬県が拠点のモントレーです。運動性能は良くなっていて、新井選手からもヘビーウエットのなかで踏んでいけるというフィードバックをいただいているので、今回の原因を究明してしっかり対策し、ファンのみなさんの前でいい姿を見せたいと思います」と状況を説明しました。
コ・ドライバーの小坂は、「前戦でクルマが気持ち良く動かず苦しい思いをしていたなかで、足まわりの改善を行っていただきました。今回、とても激しい雨のなかで、これまで見たことがないくらい新井選手の攻めた走りが見られるほど、思い通りの動きができる方向に進んでいたと思います。トラブルが発生する直前のSS5は、特に気持ちよく走れていたと思いますが、フィニッシュしてから、クルマの動きがおかしくなり、異臭がするようになりました。そのため、チェックをした上で、続行は断念した方がいいという判断をしました。上り調子だっただけに残念ですが、この勢いを次戦につなげたいと思います」と悔しさのなかにも明るい兆しがあることを語りました。

・笠井公輝
・大阪スバル株式会社豊中店
小さい頃からクルマ好きで、モータースポーツにも興味を持っていたという笠井。支店の先輩がラリー現場を経験していたこともあり、自身もGR86/BRZ Cupのメカニックを経験していたことから、ステップアップを目指して全日本ラリーへの参加に応募しました。
「初めてのラリーでしたが、いろいろな経験をさせてもらって、すごく楽しかったので、リタイアとなってしまったことは残念です。作業している間は、緊張感もありつつ、楽しみながら作業することができました。サーキットであれば走行の様子を見ることができますが、ラリーでは実際の走行を見ることができないので、情報が入ってこないところは緊張感がありました。後輩たちにも、モータースポーツの楽しさを伝えて、ぜひ参加を勧めたいと思います」
2025年の全日本ラリー選手権4戦目は、6月6日〜8日に群馬県安中市を拠点に開催される「加勢裕二杯モントレー 2025」。昨年、選手権史上初めて、国道を占有してのステージが碓氷峠の旧道に設置されたことで大きな話題となったターマックラリーです。今年も、碓氷峠の旧道を舞台とするステージには観戦エリアを設置。サービスパークが設置される安中市の安中しんくみスポーツセンターには、隣接してラリーパークが展開されます。今回の悔しさを糧に、地元での活躍を誓って挽回に挑むSUBARU WRX VBHの奮闘に応援をよろしくお願いします。