2021.03.21 - 全日本ラリー選手権 第2戦 新城ラリー2021 supported by AICELLO leg2
SUBARU WRX STI、2021年初戦で1-2フィニッシュ
2021年の全日本ラリー選手権第2戦新城ラリーは、最終日の競技を終えて、新井敏弘/田中直哉が優勝、新井大輝/小坂典嵩が2位に入りました。最終日に首位を走っていた鎌田卓麻/松本優一は残念ながらこの日2本目のSSとなるSS6でクラッシュ、リタイアを余儀なくされてしまいました。

ラリー最終日はSS5〜SS8の計4SS、SS走行距離43.02kmという構成です。前日の夜から降り始めた雨は次第に強さを増し、選手たちがSSにさしかかる頃には風雨の厳しい状況に。路面に激しく雨がたたきつける難コンディションのなか、首位の鎌田は、この日最初のSSで驚異的なベストタイムをマークし、後続を大きく引き離すことに成功しました。このSSでは、新井敏弘も3番手タイムをマークし、総合2番手に浮上しています。鎌田は大きくリードを築いて高速ステージのSS6に臨みましたが、コース終盤の下り坂でハイドロプレーニングを起こしてしまいクラッシュ、リタイアを喫することとなってしまいました。
このSS6を終えた時点で、主催者は悪天候による路面状況悪化を理由として午後のセクションをキャンセルする公式通知を発行。この時点でラリーは終了となり、SS6終了時点で総合首位に立った新井敏弘が今シーズン初勝利を獲得することとなりました。2位には新井大輝が入り、SUBARU勢は1-2フィニッシュを達成し、2021年シーズンの開幕戦を終えました。
また、SUBARU BRZが参戦するJN3クラスでは、鈴木尚/山岸典将がクラス優勝を果たしています。

今季初勝利となった新井敏弘は、「今回のラリーはタイヤとサスペンションの関係に少し苦労しましたが、このあたりをしっかり分析して、今後に活かしたいですね。特に鎌田選手が速く、WRX STIにはまだ伸びしろがあると感じています。2日目は雨がひどく、開催しないという選択肢もあったのではないかと思います。その中でもSUBARUのAWDはとても乗りやすくて、あらためてクルマの良さを実感しました。鎌田選手のクラッシュは残念でしたが、もし私が1番手スタートだったら、あのようなアクシデントになっていたかもしれません。次戦の唐津でも勝てるよう頑張ります。テストに関しては、色々とプランがあるのでじっくり考えます」とラリーを振り返りました。
2位に入った新井大輝は、「エンジンの調子は昨日から悪いままでしたね。昨年の唐津で限界まで攻めたエンジンだったので、オーバーホールする必要があると思います。セットアップもしっかり分析して、何が悪いのかはっきりさせないと。今回の状況を繰り返さないように、しっかり見直したいと思います。また、SS6では鎌田選手がフィニッシュ直前で転倒していて、かなり手前からブレーキングしたのですが、ハイドロプレーニングで止まれず、なんとか土手にぶつけて止めることができました。安全が確保されてこそのモータースポーツですので、鎌田選手のアクシデントの段階で、すぐに中止してもおかしくない状況だったと思います」と語りました。

・担当車両:富士スバル AMS WRX STI
・江戸 綾
・大阪スバル株式会社 帝塚山店 メカニック
上司や先輩がラリーに参加した影響もあり、プロジェクトに応募したという江戸。自身も2年前にTOYOTA GAZOO Racing 86/BRZワンメイクレースに参加した経験を持っている。
「父がレガシィに乗っていたのですが、ある時大きな事故で廃車になってしまいました。私自身もすごく大切に思っていたクルマだったので、それがすごく悲しかったんです。そんなことがあり、自分自身の手で直せたらと思ってSUBARUに入社しました」と江戸。モータースポーツにはあまり興味がなかったものの、新城ラリーにメカニックとして行った上司から、『行ってみるといいよ』と言われ、その言葉に背中を押されたという。
「実は去年もラリーに応募していたのですが、選考に落ちてしまいショックでした。それで、作業の確実性などをしっかり意識して1年間を過ごしました。実際の現場では普段とは異なる環境に戸惑いはありましたが、緊張感が続く環境はあまりないので、とても良い経験なりました」と語る。
担当は、主に右側のトルクチェック。印象に残っている作業を聞くと、フロントのショック交換だと言う。
「純正とは重さなどもだいぶ違い、身長が低いので苦労する局面もありましたが、メカニックの方が教えてくださったり、フォローしていただいたので、ありがたかったです。新井選手からも、女性メカニックの参加が初めてということで、『同じ環境で作業しているのはすごい』と言っていただきました。これまで新井選手もいろいろなメカニックを見ているでしょうし、とてもうれしかったです。普段自分がやっている作業と基本は同じだったので、やってきたことが正しかったんだと感じました。店舗に帰ってからも大きな自信になると思います」と笑顔を見せた。
次戦は4月9日〜11日に佐賀県唐津市を拠点として開催される「ツール・ド・九州2021 in 唐津」です。2020年大会では、新井大輝が勝利を挙げてJN1クラスチャンピオンを獲得しました。シーズン制覇に向けて、SUBARU勢のさらなる力走にご注目ください。