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NBR
2025.11.27

STI NBR CHALLENGE 2026プログラムがキックオフ

アップデートを施したWRXと新体制で挑む2026年NBRへの第一歩

11月26日(水)、富士スピードウェイにてスバルテクニカインターナショナル株式会社(STI)による2026年のニュルブルクリンク24時間レース参戦に関するシェイクダウンタウンイベントが開催され、同レースに参戦するSUBARU WRX NBR CHALLENGE 2026のお披露目が行われました。
イベントの開始にあたって行われた説明ブリーフィングでは、STI社長の賚寛海は、「2026年は、今年アクシデントにより長時間ピットで修理することになり、果たせなかったSP4Tおよび上位クラスのSP8Tを合わせてそのトップとなる目標を達成したいと思います。また、2019年のNBRで記録した24時間145周の走行距離を更新したい。そのためには誰が乗っても安心で安全で速く走れるクルマを目指したいと思います」、と語り、また、今回よりSTI開発副本部長の高津益夫が総監督に就くことが発表されました。高津総監督は、「STI NBR CHALLENGEプログラムは、量産技術に近い技術で過酷なニュルブルクリンク24時間に挑む活動です。レースに勝つだけのチャレンジではなく、量産車開発に活かせる技術を生み出していくことにも挑もうとしています。この活動を加速しながら、SUBARUおよびSTIのブランドパフォーマンスを高めて参ります」、と挨拶しました。
続いて、沢田拓也チーム監督以下の参戦体制が発表されました。また、全国のSUBARU特約販売店から派遣される8名のディーラーメカニックおよびSUBARU技術本部からチームに参加する2名のエンジニアが紹介されました。さらに、本年の24時間レースからSTIのガレージに戻った2025年車の修復作業および2026年仕様へのアップデートが行われたのち、走行テストに開発ドライバーとして参加した佐々木孝太と久保凜太郎の2名が顔を揃え、2026年車の印象などを語りました。
2026年仕様車であるSUBARU WRX NBR CHALLENGE 2026には、次の改良・改善が盛り込まれています。
1. FA24型ターボエンジン出力の向上
φ41エアリストリクターで最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、ターボのウェストゲートの電動化と制御を見直し、出力を約6.5%向上させた。燃費の低下を極力抑え、従来通り1スティント8ラップ走行を可能とする。ターボ以降の排気パイプの一部には熱伸縮の少ないインコネル材を使い、熱害抑止を図っている。
2. ABSの制御改善
新しいABSユニットを採用し、リアのロック率を精密に制御することによって、車両の安定性を向上させた。
3. サスペンションの改善
より内輪を有効活用するためロールセンター高を見直し、旋回時リアのジャッキアップ動作を抑制して接地性を向上させた。また、接触アクシデントの多いNBRレース対策として、高周波焼入れを実施するなど各部ボールジョイントの耐久性を向上させた。
4. 新翼断面のエアロドアミラーを装備
旋回性を向上させるため、フロント部のリフトを抑える形状のドラミラーボディを新設した。
なお、ビクトリーのVをモチーフとするグラフィック要素をホディサイドに取り入れ、「エネルギーを貯めて一気に走り出す様」を表現したリバリーデザインを採用している、とのことです。

ディーラーメカニック8名は、去る10月18日に実施された派遣ディーラーメカニック選考会に全国から集まった21名の代表選手から選抜された精鋭達です。彼らは、29歳から43歳までのベテランサービスマンであり、今回のテストではNBRレースでのメカニック作業研修を受けています。最年少の寺嶋隼人さん(神奈川スバル新山下店)は、「先輩達に教えていただきながら、様々なことを吸収していきたいと思います。これまでは、数年前にGR86/BRZワンメイクレースにディーラーメカとして参加したことはありますが、ここで初めて触ったニュル車はそれては全く異なるものだと感じました。グランプリコースと高低差のある森林コースを走るニュルは究極の一般道だというイメージです。過去の映像を見返し、これまで現地に行かれた方々の体験メッセージなどを参考に、半年間イメージトレーニングを積んで臨みたいと思います」、と語ってくれました。
佐々木と交代で、今回のシェイクダウンイベントにてNBR車2026年モデルをドライブした開発ドライバーの久保は、「今回のアップデートは、今年の24時間レースで実際に発生した課題を解決するためのメニューであり、エンジンパワーのアップとABSの性能改善により、車両は総合的に性能向上していると思います。ABSは、特に24時間レースで雨天時の制御面で問題があり、アップデート後に国内テストで雨天走行がありましたが、ポジティブな結果が得られています。また、エンジンパワーに関してもニュルではコーナーで攻めることができてもストレートでライバル達に引き離されていましたが、今回の出力アップによってSP8TクラスのGT4勢とは互角に渡り合えると思うし、同クラストップより前でフィニッシュすることは十分可能なレベルにあると思います」、と印象を語っています。

このイベントののち群馬に戻った車両は、スペアパーツやツール類らと共にパッキングされ、12月中旬には船積みを終え、ドイツに向けて輸送されることになっています。
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