SUPER GT

Editor's COLUMN

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第3戦 オートポリス2017.05.26

トランスアクスル化がもたらした効果

SUPER GT第3戦のオートポリスでは、SUBARU BRZ GT300(井口卓人/山内英輝)は2位フィニッシュを達成し、今季初の表彰台を獲得しました。0.091秒差という僅差で惜しくも優勝はなりませんでしたが、チームは今回の結果に大いなる手応えを感じています。もちろん課題はまだまだ残されてはいるものの、6月には2度のテストが予定されており、さらなる進化が期待されます。

今回はニュルブルクリンクのコラムでもご紹介した、STIパワーユニット技術部パワーユニット設計課主任の上保政洋にSUPER GTのトランスミッションについて話を聞きました。2017年型SUBARU BRZ GT300の大きな変更点は、やはりトランスアクスルを採用したことと言えるでしょう。重量配分の改善やリヤアクスルのトラクション増加というシャシーへの寄与とは別に、様々なメリットを生み出しています。
量産車から競技車へ。その難しさとは

上保は2002年富士重工業(現SUBARU)に入社。トランスミッション設計部で2015年10月まで、AT、MT、CVTの開発に携わったエンジニアです。その後STIのパワーユニット技術部へと出向し、現在はSUPER GTとニュルブルクリンク24時間のトランスミッションを担当しています。上保は量産車と競技車のトランスミッション開発で大きく異なる点は、開発にもとにかくスピードが求められることだと説明します。

「量産車の開発は机上検討に時間を費やし、作り込んで、何回もトライ&エラーを繰り返します。その一方、モータースポーツはそこまで時間がない。次のレースに間に合わせなければなりませんから。机上検討をして、実際にモノを確認する、というサイクルが早い。強度については量産車のノウハウがありますから大きな問題にはなりませんが、机上で考えるのと、サーキットで走るのとではやはり違います。ドライバーのフィーリングやサーキットの特性への合わせこみが難しいですね。また、騒音や振動よりも、軽量化や信頼性、効率を優先するところも競技用トランスミッションの特徴と言えるでしょう」

トランスアクスルの採用を具体的に検討し始めたのは、2016年9月頃とのこと。搭載にあたっては、レガシィGTでトランスアクスルを実際に搭載したR&Dスポーツの経験も共有しつつ行ったと言います。
「トランスアクスルシステムでは、トランスミッションとリヤのデファレンシャルが一体になるので、以前よりも効率は良くなっています。それは伝達経路が短くなったことと、使うギヤの種類も変わっているからです。私自身はトランスアクスルシステムは初めてでしたが、実際に搭載するにあたって様々な部分でR&Dスポーツの方々とも協力しつつ行いました。シャシーの取り回し、エンジンと同回転のプロペラシャフトの影響、ドライブシャフトの変化点の影響などです。今回のレースでは土曜日の午前中にトラブルが出てしまいましたが、ドライブシャフトのストロークの影響でした。車両が跳ねた際に、イレギュラーな動きが出てしまったのです。対策は施しましたので、この後はそういったトラブルはないでしょう。今後も改良を続けながら、信頼性をどんどん上げていきたいですね」
WRX STI NBRチャレンジと共通のシステム

「今シーズンからは、シフトチェンジのシステムを従来の電気式ではなく、圧縮空気で動かすシステムにしました。これは今年のニュルブルクリンクを走るWRX STIと同じものです。開発はNBRの方が先行していましたから、その結果をGTにもフィードバックでき、非常にスムーズに適合できましたよ。SUBARU BRZ GT300の場合は、シーケンシャルシフト用のリンク機構などを外して直接トランスミッションに変速の指示を与えています。軽量化にも寄与しますし、部品点数が減るので信頼性もアップします」
SUPER GTというシビアな戦いの場ではエンジンとトランスミッションの密接な連携は欠かせないものです。上保がチームに加入し、ギヤ比の重要性が再認識されたことで、SUBARU BRZ GT300のスピードは確実に上向いています。
「私は2016年から徐々にSUPER GTのプロジェクトにかかわり始めました。それまではエンジンはSTI、ギヤ比はR&Dスポーツという分担でしたが、それを私が両方の側面から見ることで、これまでなかなか踏み込めなかった領域まで踏み込んでいけています。低い側のギヤをうまく使うことで、2016年シーズン中盤の3連続表彰台にも貢献できたと思います。もしサーキットに応援に来ていただける機会がありましたら、コーナーの進入や立ち上がりで、変速タイミングの違いを気にしてみてください。 “意外とギヤがクロスしているんだな”ということが分かったり、面白く観ることができると思います。今後ともSUBARU BRZ GT300への応援をよろしくお願いします」

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