SUPER GT

Editor's COLUMN

  • TEST
  • Rd1
  • Rd2
  • Rd3
  • Rd4
  • Rd5
  • Rd6
  • Rd7
  • Rd8
第5戦 富士スピードウェイ2017.08.11

「安全に、しかも確実に、迅速に」SUPER GTメカニックの仕事~その2

SUPER GTのレースシーンの裏側には、レーシングメカニック達の奮闘が隠されています。マシン準備には、量産車両の整備に比べれば想像もつかないほどの作業量が必要であり、しかも決められた時間内で終えないとならず、彼らのレースウィークの作業サイクルは常に時間との戦いとなります。そして、炎天下のピットロードでは額に大粒の汗をかきながら、迅速なピットワークが求められるのです。前回のタイヤマン2名に引き続き、R&D SPORTチームの給油担当メカニックに話を聞きました。
R&D SPORTメカニック 佐々木修太郎 32歳 宮城県出身

幼い頃から機械いじりが好きだった佐々木は、当然の行き先として大学は理工学部を選択。もの作りに興味があり、もちろん動くものには何でも興味があったと言います。仙台近郊に育った佐々木は、大学生のある日、父親とともにスポーツランドSUGOにレース観戦に出かけます。そこで見たポルシェなどのスポーツカーと、多数の国産スポーツセダンやスポーティクーペの走りは衝撃的でした。イキイキと働くエンジニアやメカニックの姿を初めて目の当たりにし、佐々木は「こういう仕事もあるんだな」と感じたと言います。就職活動にあたっては、まっ先にいくつかのレーシングチームにコンタクトし、R&D SPORTに職を得ることができました。しかし、すぐさま関連会社に出向となり、コンポジット製品の製造を担当することになります。レースメカニックとは異なる職種でしたが、ある日レースカーのテストに行かせてもらうことができ、いつか自分もメカとして働きたい、という気持ちは募っていきました。その希望はすぐにかなうことになります。レーシングチームに欠員が出たため、補充要員として指名されることになったのです。
「晴れてレーシングメカニックになれたので、嬉しかったですね。チームの一員となってからは、なんでも担当させてもらいました。タイヤ担当、給油マン、消火器担当など、一通り経験しました。最近では、工場内のオフィスで、部長のアシスタントとしてデスクワークをやっています。でもいつかは、レースカーそのものを設計するレーシングカーデザイナーになりたいと思っています。リーマンショックのあと、思うところあっていったん退職し、技術系スタッフの派遣会社に所属したことがあります。そこでは、CADを使った設計業務を担当しました。そこで得たことは、レースカーの部品や部分改良の設計に役立つことばかりでした。社長に無理を言ってその後R&D SPORTに再入社しましたが、CADのスキルを身につけておいて本当によかったと思います」と佐々木は話しています。
「今チームで僕が担当しているのは、燃料の管理と給油です。耐火服を着てフルフェイスヘルメットをかぶり、ピットインしたレースカーの給油口に飛びついて行いるのが僕です。簡単な仕事のようですが、責任重大なんです。燃料はタンクからの流量が決まっているので、入れる燃料の容量で給油時間が決まります。なので、規定時間以内で給油できるよう、集中します。ホースの差し込み方によっては、適切に燃料が流れなかったりすることがあります。ふたつあるホースの片方から燃料を注ぎ、片方はタンク中のエアを抜く構造になっています。その抜き方やタイミングを誤ると、燃料をこぼしてしまうことがあります。それに引火して火災に発展することは珍しくないので、とにかく緊張します。もちろんモタモタしていたら、ピットで貴重な時間をロスしてしまいます」と佐々木は続けました。「サーキットに来てピリピリっとした空気に触れると一気にレースモードになり、いつも何かやり残していることはないか、注意を巡らせています。走行中以外は、他のメカと一緒にマシンの整備をしていますので、トラブルの原因となるような予兆や異常がないか、目をさらのようにしてマシンをチェックしています。そして安全にスームズに、ミスなく作業できるよう心がけているつもりです。ピットワークでは給油担当ですが、僕も他のメカ達と一緒に毎日工場でのピットワークトレーニングに参加し、タイヤ交換のタイムアップを練習しています。チーム全体のリズムに慣れておくことが、重要だからです」
「SUBARUファンの皆様には、給油タイミングで力一杯ホースを担ぎ、給油している僕を是非見ていただきたいです。体勢がふらつかず、ホースを押さえつけている力を緩めることなく給油を終え、躊躇なくマシンを送り出すことができていれば、僕のピットワーク時の仕事は満点のはずです」
R&D SPORTのレーシングメカニック若手三人衆は、見た目はおとなしそうな青年ですが、内に秘めるファイトや責任感は誰よりも強いと感じました。命懸けで走っているドライバーに対する責任、SUBARU BRZ GT300が元気よく走っている姿をファンの皆様にお見せする責任、モータースポーツを団体競技スポーツとして認知させるための責任など、それらをしっかりと自覚している頼もしい男たちなのです。

TEAM PARTNER

  • Facebook
  • Twitter
  • YouTube
  • ニコニコチャンネル
Scroll to top