2016.05.26 - ニュルブルクリンク24時間レース・事前情報6



25日水曜日は、チェックイン日です。ドライバーやチームメンバーだけでなく、取材メディアもそれぞれ管轄デスクで登録し、クレデンシャル(パス)の発給を受けます。ドライバー達はライセンス類、運転免許証、各国のASNが発行する出場証明書などを提示したのち、さらにレーシングスーツやヘルメット、HANS(首を衝撃から守る装備)、シューズやグラブなどのギア類のチェックを受けます。それぞれFIAが認証した証明を提示しないと合格となりません。この日、午前にパドックに集合したSUBARUドライバー4名は、揃ってレジストレーションに赴き、登録とギアチェックを済ませました。これでマシンもドライバーも「レディtoゴー」となりました。 
NBRレース最初のミッションは、車検を受けることです。マシンが規定通りの寸法や重量であるか、安全装備が正しく装着されているかなどがチェックされ、エンジンの吸気制限装置(エアリストリクター)が封印されます。STIエンジニアの坂田は、「VLN出場後に車両重量軽減を徹底し、オイルや冷却水などを積んだ状態でのレギュレーション重量ギリギリまで攻めることができました」と話しています。その他、走行中にボディが発生する異音を消したり、室内の雰囲気温度を下げるためエアインテイクダクトやアウトレットを追加するなど、チームは細かい部分のチューニングを進めてきました。そのおかげで、特に指摘を受けることなく車検を通過しました。

ドイツ・ニュルブルクリンクにレースカーが続々と集まってきました。VLNレースに出場した3週間前から当地に滞在しているSUBARU STIチームは、すでに準備万端。24日火曜日に始まったパドック設営も真っ先に開始しました。また、いつもごった返す車両検査のラインにもいち早く並び、順番が来るのを待っています。しかし、ご覧のように天気はフォギーで、気温も11度と冬並み。かなり寒いです。今日から長い一週間が始まりますが、好天はあまり期待できそうにありません。さて、取材班も当地に到着していきなり、臨戦体制となりました。チームの内側やコースサイドから、現地で収集する最新情報を適宜お送りしますので、お楽しみに。

迎えた14日の天候は朝から曇りで、冷たい風がサーキットに吹き付けていました。5月中旬というのに、体感温度は10度以下であり、多くのスタッフが厚手のジャケットの下に多くを着込んでもブルブルと震えるほどでした。路面コンディションはドライ。安全のためにコースの数カ所でトップスピードを調整するレイアウト変更と路面改修があったものの、ノルドシュライフェの深い森を貫く全長25kmコースの多くのコーナーはこれまで通りです。STIチームには、地元ドイツ在住ドライバーのマセール・ラッセーとティム・シュリックの2名が合流し、朝8時30分から10時まで行われた公式予選に臨みました。
今回のVLNレース参加の目的は、24時間レースに向けて調整してきたSUBARU WRX STI NBRチャレンジマシンの各部が狙い通りに機能するかの確認でした。数値的には、24時間レースの公式予選で9分を切るタイムで走れるかが、目安となっています。コースが昨年までの24時間レースとは異なるため単純比較はできないものの、この日のVLN予選では8分48秒台のベストタイムを記録しており、チームにはポジティブな空気が充溢していきました。そして、正午の4時間レーススタートを迎えました。
レースを終えたSUBARU STI チームの菅谷重雄監督は、「今回のVLNレースは、車両の設計性能がきちんと発揮できているかのチェックが目的だったので、結果を見れば多くの収穫が得られたと実感しています。短時間の間にエンジニアやメカニック達が全力を尽くして車両を仕上げてくれたおかげでこのような感触が得られたので、24時間レースに向けて大きな自信になりました。ドライバーのふたりも、とてもクルマは扱いやすくバランスが良いとコメントしてくれています。しかし、ライバル勢の進化は予想以上でした。とはいえ、私たちの強みを活かせば、レースでは良い戦いができるはずです。しっかり準備をして、2週間後の24時間レースに備えたいと思います」と語っています。 
3月22日(火)、スバルテクニカインターナショナル株式会社(STI)は本年のニュルブルクリンク24時間レース(ドイツ 5月26日(木)~29日(日)、44.ADAC Zurich 24H Rennen、略称NBR)に向けてのシェイクダウンテストを富士スピードウェイにて行いました。
マシンの修復は、24時間レースまでの2ヶ月では非常に困難であり、一時は今年の参戦は断念するという選択肢も浮かびましたが、ニュルブルクリンク24時間レースはSUBARU/STIの“安心と愉しさ”の実証の場であるという想いが強く2連覇へのチャレンジを継続することをSTIは決意しました。
総監督の辰己英治は今回の参戦継続の決定とともに、「このたびは応援していいただいている皆さんにご心配をおかけし、申し訳ありませんでした。クラッシュを受け、このチャレンジの続行について議論をしてまいりましたが、やはりこのクルマでニュルブルクリンク24時間レースを走り、応援していただいている皆さんと共に優勝を勝ち取りたいと考えました。とは言え、いざ参戦するとは決めたものの立ちはだかるハードルは高いです。しかし、STI社員、チーム一同、そして協力企業の皆さんと力を合わせ、心を一つにして、ニュルブルクリンクでの2連覇をめざしますので、引き続き応援をお願いします」とコメントしました。
また、チームには今年も全国各地からディーラーメカニックの6名が加入します。これは、WRC(世界ラリー選手権)時代に始まり累計300名以上を数えている制度です。実戦でのサービスメカニックとして参加する彼らのコメントを紹介します。