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RACE REPORT

2020.11.28 - 全日本ラリー選手権第3戦Sammyツール・ド・九州2020 in 唐津 Leg2
新井大輝/小坂典嵩がJN1クラスチャンピオンに!
2020年の全日本ラリー選手権第3戦Sammyツール・ド・九州2020 in 唐津は、11月28日(土)にすべての競技を終え、新井大輝/小坂典嵩が前戦ラリー北海道に続いての勝利を挙げ、2020年のJN1クラスチャンピオンを決めました。3位には今シーズンここまで思うような結果が残せなかった勝田範彦/石田裕一が入っています。途中トラブルに見舞われた新井敏弘/田中直哉は4位、鎌田卓麻/鈴木裕は総合17位(JN1クラス9位)で完走を果たしました。
■4.2秒のビハインドを跳ね返しての勝利

ラリー最終日となる競技2日目は、SS3〜SS11の9SS、SS距離51.69kmで争われます。3SSを3回走行する設定で、初日よりも道幅は広く、ハイスピード寄りの林道が舞台となります。初日を終えた段階で、首位の奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューション)に4.2秒差をつけられた新井大輝は、全力で追撃にかかります。この日最初のSS3こそ奴田原の先行を許したものの、続くSS4、SS5で連続ベストタイムを記録。SS6では奴田原がスピンを喫したこともあり、ついに総合トップに躍り出ます。新井大輝はその後もアクセルを緩めずSS6、SS7もベストタイムをマークし、サービスを挟んだ残り3SSも奴田原との差を保ちながら走りきり、新井大輝は今シーズン2度目の勝利を獲得。自身初の全日本チャンピオンの座を射止めることに成功しました。3位には勝田が入り、今シーズン初となる表彰台を獲得しました。
■新井大輝「応援してくれる皆さんのためにも、しっかり結果を残せて良かった」
念願の初タイトルを決めた新井大輝は「ポイント差のことを考えても、競っている4人の最上位にいくしかないと思っていましたので、スタートから全開で攻め続けました。何回も危ないと思う瞬間がありましたが、それも含めてしっかり走り切れたのは、チームのメカニックや支えていただいているスポンサー様のおかげだといます。86/BRZレースでタイトルを獲得した久保凜太郎選手をはじめ、現場に来られない皆さんからもエールやプレッシャーをかけて頂き、それをポジティブなエネルギーに変えて頑張ることができました。こんな状況だからこそ、応援してくれるファンの皆さんのためにも、しっかり結果を残せて良かったです」と、安堵の笑み。コ・ドライバーを務める小坂にとっても、初戴冠となりました。小坂は「昨日から追いかける立場でしびれる戦いでしたが、最後まで緊張感をもって、ふたりでここまで来られました。いいラリーで締めくくることができて良かったです。変則的なスケジュールのためペースノートの確認時間が取れないなど、難しさはありましたし、ナイトステージはペースノートの重要性も高く、自分としてもすごく勉強になりました」と、笑顔で語りました。

3位の勝田は、「今回は前のふたりが速かったですね。特に大輝選手は、若者らしくない老練さを持っています。攻め続けても、破綻することがありませんでした。今シーズンはここまで3戦連続リタイアが続いていたので、今回は完走したいと思っていましたし、コ・ドライバーの石田選手が若手育成に回るため、今回が最後のコンビとなります。それもあって、力を入れたつもりでした。後半遅れてしまったのは反省点ですが、思い切り走れたとは思いますし、3位を獲れて良かったです」と、ラリーを振り返りました。

4位の新井敏弘は、序盤での遅れが想定以上に大きな差になってしまったと語ります。
「今回は勝たないとチャンピオンになれないけど、どちらかというと大輝のフォローに回る側面も大きかったかと思います。それでも全開で走ったんですが、SS1で思った以上に失敗したことが大きかったですね。今シーズンは新型コロナウイルスの影響もあって、クルマのセッティングも進まなかったり、モチベーションを維持する難しさもありました。一戦一戦のポイントの取り方が難しく、その中で丹後を落としたのは痛かったですね。今年はファンの皆さんも観戦が難しい状況が続きましたが、来年こそ観戦できる環境になっていてほしいですよね。やはり僕らも歓声があってこそ、行こうって気持ちになるので。一緒に喜んで、楽しんで、泣いてもらうのが一番ですよね」

最終日の序盤ででマシンを壁にヒットしてしまうなど、苦しい展開のラリーとなってしまった鎌田は、「今回のラリーは少し流れが良くなかったですね。今年は新型コロナウイルスの影響で参戦数が少ないなか、チームにはしっかり準備して、クルマを仕上げてもらっていました。とても良い調子でしたが、今回の九州の道には少し合わせることができませんでした。今年は残念でしたが、確実に自分たちのレベルは上がってましたし、チャンピオンに向けて着実に前に進んでいるという実感はあります。モータースポーツは現場に来て、音や匂い感じていただくことも醍醐味でもあります。僕らも皆さんの歓声でさらに頑張れるので、また現場に来れるようになってほしいですね」と、前向きなコメントを残しました。
■ディーラーメカニックコメント「自分で考えて動くことの大事さや必要性を伝えたい」

・担当車両:itzz DL SYMS WRX STI
・松井洋樹
・熊本スバル自動車株式会社 南高江店 メカニック

北海道で開催されたWRCラリージャパンでSUBARUやモータースポーツへの興味を持ったという松井。社内の人たちからの勧めもあって、今回のプロジェクトに応募したとのこと。
「もともとSUBARUに入りたいと思ったのは、テレビで観たWRCがきっかけでした。全日本ラリーの現場に来たのは初めてですが、緊張感があると思います。気を抜いたら危ないと言う緊張感が伝わってきて、普段の仕事では味わえないものを感じます。クルマの作りも普段のWRXとは違う部分もあり、色々な発見があります。限られたスペースで作業をする点についても、勉強になる部分がありますね」

作業では主に右の前後足まわりの点検や増し締めなどを担当。「実際に参加してみて楽しかったというのが第一印象です。チームの人たちの動きを見ていても、テキパキと先を考えて色々な準備をして動いているところが、日常の業務にもいかせる部分があると感じました。クルマがダメージを負って戻ってきた時も、瞬時にその場で判断して修復してしまうスピードやテクニックはすごいですね。会社の後輩たちにとっても、いい経験になると思いますので、ぜひ勧めたいと思います。たとえば作業の事前準備とか、自分で考えて動くことの大事さや必要性を伝えていければと思います」

これで、2020年シーズンの全日本ラリー選手権はすべて終了しました。新型コロナウイルスの影響によって変則的な開催日程となり、ラウンド数も半減する難しい1年でしたが、多くの方々に応援をいただいたことで、JN1クラスのシリーズチャンピオンとなることができました。SUBARU WRX STIの優秀性を示すことができました。2021年の全日本ラリー選手権に出場するSUBARUドライバーたちにも、引き続き応援をよろしくお願いいたします。
2020.11.27 - 全日本ラリー選手権第3戦Sammyツール・ド・九州2020 in 唐津 Leg1
SUBARU勢は2〜5番手で初日を終える
2020年の全日本ラリー選手権第3戦Sammyツール・ド・九州2020 in 唐津は、11月27日(金)に競技初日を終え、奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューション)が首位、4.2秒差の2番手に新井大輝/小坂典嵩、6.9秒差の3番手に勝田範彦/石田裕一と、SUBARU勢がトップを追う展開となっています。続く4番手には鎌田卓麻/鈴木裕、5番手に新井敏弘/田中直哉という順位で、明日の挽回を目指します。
変則日程の初日、SS2で勝田がベストタイム

今回のラリーは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、ラリーの日程は27日(金)と28日(土)の2日間開催に。27日は午前中にレッキを行い、15時から競技スタートという変則的なスケジュールで開催されました。

この第3戦は2020年シーズンの最終戦であり、SUBARU勢が参戦するJN1クラスではチャンピオンの決まる1戦です。計算上、チャンピオンを獲得できる可能性があるSUBARU勢は、ランキング首位の新井大輝、ランキング3番手の鎌田、ランキング4番手の新井敏弘に絞られています。3選手ともここまでのラリーや事前のテストで大きな手応えを得ており、その活躍が大いに期待されます。また、今シーズンは不運に見舞われることが多かった勝田範彦/石田裕一ですが、勝田はこのラリーを得意としており、いい形でシーズンを締めくくるべく唐津に乗り込みました。

競技初日は1カ所のSSを2回走行する20.56km。1SSあたりの距離はラリー最長で、うち2回目の走行は日没後のナイトステージとなるため、ペースノートの精度なども大きなポイントです。15時00分、ボートレースからつの駐車場に設けられたサービスパークから、ラリーはスタート。カーナンバー1の新井大輝を先頭に、各車が次々とSSに向かっていきます。

SS1では首位の奴田原から3.4秒差の2番手で新井大輝、7.7秒差の3番手で勝田が続きます。思うようにタイムを伸ばせなかった鎌田は12.7秒差の4番手、「無茶しすぎた」と言う新井敏弘は15.1秒差の5番手でSS2へ。日没後の走行となるSS2では、僅差ながら勝田がベストタイムをマーク。0.5秒差のSS2番手で鎌田が続きます。結果、首位奴田原から5番手の新井敏弘までは16.6秒差という僅差の争いとなり、競技最終日に向けて好バトルが期待されます。
■新井大輝「明日はつまらないミスをしないように全開で攻めます」

総合2番手から明日の逆転を目指す新井大輝は、「ぶっつけ本番のセットアップでしたが、悪くない位置につけることができました。正直、もっと離されると思っていましたから。想定以上の範囲内に収まりましたね。今日は自分のなかでけっこうミスがありました。唐津のようなキツいコーナーのあるラリーをあまり走ったことがないので、迷いもあったのだと思います。SS1はミス、SS2は抑えすぎでした。クルマは悪くないので、明日に向けてセットアップを大きく変えるつもりはありません。明日はつまらないミスをしないように全開で攻めれば、捉えられないタイム差ではないと思っています」と、ラリー初日を振り返りました。

3番手につける勝田は、「僅差ですが、SS2でベストタイムを獲得できました。SS1は気合が足りなかったのか、かなり遅れてしまいました。調子はいいので、明日はプッシュしていきたいです。少しタイヤを使ったくらいのところで、特にいいフィーリングを感じて走れています」とコメント。4番手からのポジションアップを図る鎌田は「SS1がいまいちで、SS2に向けて調整したら良くなりました。ちょっとした部分でタイムが変わってくるということでしょうね。今日はけっこう負けてしまいましたが、ラリーはまだ長いですし、諦めずにいきます」と、気持ちを切り替えて最終日に臨みます。そして5番手の新井敏弘は、「SS1ではボンネットがわずかに開いてしまいました。これで空気の流れが変わってしまい、インタークーラーにしっかりエアが流れませんでした。SS2は上位陣がだいたい同じタイムで走っていますし、明日はみんな競っていくでしょうね。人が勝負を分けると思います」と、最終日への展望を語りました。

競技最終日の28日(土)はSS3〜SS11の9SS、SS距離51.69kmで争われます。3SSを3回走行する設定で、コースはよりハイスピードな性格を帯びていきます。チャンピオン獲得のためにも、SUBARU勢への応援をよろしくお願いします。
2020.11.23 - 全日本ラリー選手権第3戦Sammyツール・ド・九州2020 in 唐津 プレビュー
変則の2020年シーズン、いよいよ最終戦へ
2020年の全日本ラリー選手権はいよいよ最終戦へ。11月27日(金)〜28日(土)に第3戦『Sammyツール・ド・九州2020 in 唐津』が開催されます。拠点となるのは佐賀県唐津市。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止の観点から、2020年の全日本ラリー選手権は多くのラリーで中止および延期という判断が下されました。

当初は4月10日〜12日に開催予定だったこのツール・ド・九州 in 唐津も、4月1日に日本自動車連盟(JAF)が発行した『新型コロナウイルス等防止対策に係るお願い』を受けて開催を延期した経緯があります。そして第2戦新城ラリー、第5戦ラリー丹後、第9戦ラリー北海道と同様、新型コロナウイルスの感染拡大を予防すべく、今大会も無観客で競技を開催することが発表されました。
SUBARU勢のチャンピオン争い、勝利の女神が微笑むのは誰か

金曜日の午後にスタートし、土曜日でフィニッシュを迎える短縮日程のラリーは11SSを走行し、SS距離72.56km、総走行距離は304.64kmで争われます。短いスケジュールではあるものの、走行距離は例年よりわずかに短い程度の構成となっています。初日は2SSのみが行われますが、日没後のSSも設定されるなど、難易度はこれまで以上と言えるでしょう。2日目は3SSを3回ずつ走行する9SSを行いますが、最初の6SSをサービスなしで走らなければならず、パンクやトラブルなど、大きなタイムロスは禁物です。

戦いの舞台は唐津市南部の山間部。林道の路面は、例年タイヤに厳しいことでも知られており、使用本数とともにタイヤの摩耗をどのようにマネージメントするかが勝負のカギを握っていると思われます。また、例年は春先の開催が多いこのラリーですが、今回は11月後半という異例のスケジュール。気温や路面温度の違いも戦いの行方を左右する要素になる可能性が高いと言えそうです。

JN1クラスは、前戦ラリー北海道で勝利を収めた新井大輝/小坂典嵩がランキングトップ。3.4点差の3番手に鎌田卓麻/鈴木裕、5.9点差の4番手に新井敏弘/田中直哉がつけており、SUBARUの3クルーにチャンピオン獲得のチャンスがあります。また、今シーズンはトラブルに見舞われることの多かった勝田範彦/石田裕一は、過去にこのツール・ド・九州 in 唐津で12年連続優勝(2006年〜2017年)を飾っており、2020年最後の戦いでの奮闘が期待されます。

●ツール・ド・九州 in 唐津
http://gravel-msc.info/

RACE RESULT

2020.11.28 - 全日本ラリー選手権第3戦Sammyツール・ド・九州2020 in 唐津
全日本ラリー選手権第3戦 Sammyツール・ド・九州2020 in 唐津
総合順位 クラス順位 No. ドライバー コ・ドライバー 車両名 クラス DAY1 DAY2 総合
1 1 1 新井 大輝 小坂 典嵩 ADVAN KYB AMS WRX JN-1 17:12.5 38:29.0 55:41.5
2 2 2 奴田原 文雄 佐藤 忠宜 ADVAN-PIAAランサー JN-1 17:08.3 38:44.0 55:52.3
3 3 7 勝田 範彦 石田 裕一 ラックSTI 名古屋スバル DL WRX JN-1 17:15.2 38:55.9 56:11.1
4 4 4 新井 敏弘 田中 直哉 富士スバル AMS WRX STI JN-1 17:24.9 39:07.1 56:32.0
5 5 5 柳澤 宏至 保井 隆宏 ADVAN CUSCO ヤリスGR4 JN-1 18:15.3 40:36.8 58:52.1
6 6 9 今井 聡 箕作 裕子 PROJECT R ランサー10 JN-1 18:25.7 41:05.1 59:30.8
7 1 15 曽根 崇仁 竹原 静香 P.MU☆DL☆SPM☆INGING86 JN-3 18:28.8 41:05.5 59:34.3
8 2 14 竹内 源樹 木村 悟士 YH CUSCO 大阪冷研 BRZ JN-3 18:25.3 41:13.5 59:38.8
9 1 25 高橋 悟志 立久井 和子 ミツバitzzDLマジカル冷機スイフト JN-4 18:11.7 41:28.6 59:40.3
17 9 3 鎌田 卓麻 鈴木 裕 itzz DL SYMS WRX STI JN-1 17:20.7 43:02.6 1:00:23.3
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