2020.08.02 - 全日本ラリー選手権 第5戦 NISSINラリー丹後2020 Leg2
鎌田卓麻、今シーズン初勝利を獲得!
2020年の全日本ラリー選手権第5戦NISSINラリー丹後2020は、8月2日(日)にすべての競技を終え、鎌田卓麻/鈴木裕が今季初となるJN1クラス優勝を果たしました。3位に新井大輝/小坂典嵩、僅差の4位に新井敏弘/田中直哉が入っています。

SS7〜SS10が行われる競技2日目は、2カ所のSSを2回ずつ走る4SS、SS距離47.24kmという構成。ラリーの焦点は、鎌田と2番手につける奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューション)の優勝争いです。前日をトップで終えた鎌田は序盤からハイペースで、2番手につける奴田原を引き離しにかかります。ふたりの差はSSが進むごとに広がっていき、SS9を終えた段階で19.1秒まで拡大。最終SSでは奴田原がベストタイムをマークするものの、鎌田のリードは揺らぐことはなく、最終的に17.1秒の差で鎌田が今季初勝利をつかみました。
ここ丹後で思うような走りができなかったSUBARUチームアライの2台は、3位、4位を得たものの、2日間ともタイムを延ばせずに苦戦。次戦以降の巻き返しが期待されます。また、再出走を果たした勝田範彦/石田裕一はこの日すべてのSSでベストタイムをマークする力走を見せ、レグポイント3点を獲得。初日のリタイアが悔やまれますが、今後に向けた明るい材料と言えるでしょう。
また、JN3クラスではSUBARU BRZの竹内源樹/木村悟士が、初日3番手から2日目にライバルたちを逆転し、クラス優勝を飾っています。

鎌田にとっては2019年のセントラルラリー愛知・岐阜以来となる勝利です。「今回は久々のラリーでしたが、チームには新しいクルマを作ってもらうなど長い間準備をしてもらいました。おかげでスタートから全開で臨むことができ、その走りにクルマもついてきてくれました。タイヤのグリップも良く、安定してタイムを刻むことができたので、狙ったとおりの展開にすることができたと思います」と、2日間を振り返りました。
この8月2日に27歳の誕生日を迎えた3位の新井大輝は、「今回は2台そろって厳しい展開でしたね。何かを間違えてしまったのだと思います。次に向けて、しっかりテストするしかないです。梅雨も明けたので、時間をかけて準備したい」。4位の新井敏弘も、「何をやってもうまくいかなかったですね。何が悪かったのか、きちんと分析したいと思います」と、難しい表情でラリーを振り返りました。再出走となった勝田は、「2日目に調子が出てきましたが、後の祭りでしたね」と苦笑い。「最後にいい形で終われた点は良かったです。次はラリー北海道ですので、万全の準備でスタートを迎えたいです」と、次戦への意気込みを語りました。

担当車両:富士スバル AMS WRX STI
仲谷 太祐
大阪スバル株式会社 城東店 メカニック
これまであまりモータースポーツに興味がなかったものの、周囲から勧められて経験のため参加を決めたという、メカニック歴15年の仲谷。参加にあたって、あらかじめラリー現場の作業環境については下調べをしてきたものの、予想以上の事柄もあったと語ります。
「思っていた以上に時間に制限があり、緊張感も想像以上でした。実際の作業では、思うように動けないところや迷惑をかけてしまう部分もあったのですが、非常に貴重な経験をさせていただいたと思います」
担当は新井敏弘車のリヤまわりを中心に作業を行いましたが、プロのラリーメカニックが声を掛けあい、チームプレイで時間短縮を行っている点が印象的だったと語ります。
「同じ時間でしている作業量の差もありましたし、驚いたのは、45分サービスでのトランスミッション交換ですね。それに、判断の早さが印象的でした。『これが無理ならこうする』という引き出しの多さは、見習うべきところだなと思います」
普段の業務には、特に時間管理という面で活かせることが多そうだと語ります。
「時間の管理を常に意識することができれば、日々の業務でもお客様を長くお待たせしてしまうこともありませんし、作業効率を上げていくことにもつながると思います。与えられている時間の中でも少しでも早く、という考え方は、ラリーに参加してみていっそう意識するようになりました。後輩たちのなかで参加する者がいたら、意識してスキルアップにつなげてほしいですね。必ず成長できると思います」
次戦は9月12日(土)〜13日(日)の第9戦「RALLY HOKKAIDO」です。北海道帯広市を拠点とする、今シーズン唯一のグラベルラリーであり、ポイント係数の高さから、選手権の行方を左右する1戦とも言えそうです。昨年は新井大輝/小坂典嵩を筆頭に、SUBARU勢が1位〜5位を独占しました。引き続きSUBARU勢への熱い応援を、よろしくお願いいたします。