11月29日、本年のSUPER GTシリーズは、この日富士スピードウェイで開催された第8戦で幕を閉じました。約4ヶ月で8レースをこなす超過密スケジュールでしたが、当初は無観客レースだったものの、ファンの皆様の安全を確保しながら徐々に制限を緩和。最終戦には相当数のファンの皆様がサーキットにお越しできるようになっていました。サーキット内の芝生エリアにはバーベキューを楽しみながらテントで観戦する方も多数見かけました。スタンド裏スクエアでは、PRブースだけでなく、レースクイーンやドライバートークのステージも実施されていました。また、グランドスタンドには、BRZキャップや応援フラッグを手にしたSUBARUファンの姿が多数見受けられました。
SUBARUでは、7月の開幕戦から走るBRZ GT300の車載映像ライブ配信を実施してきました。その解説を担当していたレーシングドライバーの吉田寿博さんが、最終戦は富士スピードウェイのSUBARUピットを訪れコメンテーターとしてライブ配信番組に出演していました。吉田さんは、かつてSUBARU/STIチームの一員としてニュルブルクリンク24時間レースにも出場したことがあるベテランです。その吉田さんに、プロの目から見たマシンの状態やチームの様子などを聞いてみました。
吉田さん 「やぁ正直言って、東京のスタジオでライブ配信している時はチームの様子さえも理解していると思っていましたが、やっぱり現場に来ると違うものです。ピットに入ってまず最初に気づいたのは、ドライバーやエンジニア、メカニックのみんなの表情が明るく、やり甲斐を持ってレースに臨んでいると感じたことです。それぞれがそれぞれのパートを責任持って遂行しているのは当然ですが、プレッシャーも含めて仕事を楽しんでいるように感じたのです。それだけ、このチームは熟成しているし、今年のBRZ GT300が良いクルマに仕上がっているんだな、ということを実感したのです。これまでは最終戦でランキングも下位にいると、スタッフはみんな自然と口数が少なく、雰囲気がパリッとしないこともありました。しかし、今年はまるで空気が違う。そう感じました。チームは全員がマスク着用で、作戦を練るテーブルにも透明プラスティックの遮蔽板をつけたり、ピット内でもソーシャルディスタンスをもってそれぞれの役割を果たしているなど規律がしっかり守れておりました」
ライブ配信も人気急上昇と聞きました。
吉田さん 「これまではただ車載動画を流しているだけのこともありましたが、今年はサーキットにいけないファンが多かったので、解説をつけることになったのですが、結構なアクセスがあったらしく、瞬間的に15,000名がライブ配信を見ていることもあったようです。これも新しい生活様式のひとつとして、今後も続けて行けば良いと思います。他のライバルチームもやっていないことをSUBARUが先鞭をつけている格好ですが、僕としては他のチームにも是非実行していただき、より多くのレースファンが多面的にSUPER GTレースを楽しめるようにするのが理想なんじゃないかな、と思いました」。
今回実施された主催者側の取り組みのひとつに、ピットビューイングがありました。事前予約制でしたが、抽選に当たった方がレース前のピットレーンを歩き、ピット内部を眺めることができるというものです。接触を避けるためにドライバーのサインセッションなどは行わないことが条件でした。そんな中のひと組に話を伺うことができました。千葉県成田市からご来場の青柳さんと伊藤さんです。「ピットビューイングの抽選に当たったので、ふたりできました。いつもふたりで富士やもてぎにSUBARUの応援に行っています。今年は鈴鹿にも行ってきました。もちろんクルマはSUBARUフォレスターです。今年は例年に増してSUBARUチームには期待感を盛り上げてもらいました。今日も楽しんで帰ります」とのことでした。
今回のレース結果は必ずしもファンの皆さんが望んだ通りにはなりませんでしたが、SNSやライブ配信を通じてお茶の間にワクワク感をお届けすることはできたのではないでしょうか。来年は通常通りでにレースが運営でき、通常通りにファンの皆様がサーキットにお越しできることを祈って、今年のSUPER GTバックステージコラムは終了とさせていただきます。一年間ありがとうございました。