NURBURGRING 24H RACE

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2022.07.22

NBRディーラーメカニック派遣を通じて感じたこと

2022年のニュルブルクリンク24時間レースでは、2度のレース出場見送りを経たSUBARUディーラーメカニック達はひとりも欠けずに現地に向かいました。レースでは、クラッシュ・リタイヤという残念な結果となりましたが、それぞれが体験したNBRは、これまでの先輩達と同等に心に刻まれるものとなったことでしょう。NBRから帰国し、元の職場に戻った8名のディーラーメカニック達から寄せられたコメントをご紹介します。
北海道スバル 沼倉寛樹
スバルの整備士にとってNBRは大きな目標のひとつ。選考会では、参戦が決まった瞬間に心が震えるほど嬉しかったことを思い出します。その結果が自信となり、日々の仕事に誇りをもって向き合うことと成長に繋がっています。ドイツの地では勝つ為に妥協のない仕様の車両、それを目の前に緊張と高揚感が重なり特別な1週間の始まりを実感しました。本番直前まで続く準備作業、ドライバーが安心して走れるよう入念な車両チェック、気になるところは全て解決する姿勢、どれも妥協はありません。またチームの的確な指示のもと全員がそれぞれの役割を果たしながらもお互いを気遣い、そして一人ひとりが常に考えて行動します。そのような、最後までひとつになり戦うチームに魅力を感じました。整備においてミスのない丁寧な作業はもちろんですが、このような妥協のない姿勢、そしてチームで支え合うことこそが店舗に戻り私がやるべきことと再認識しています。最後に、一緒に戦った新しい仲間との出会いを大切にし、今後も多くのメカニックが挑戦することで気持ちの変化を感じて欲しいと思います。
岩手スバル 千田武紀
NBRでは、普段の業務では体験することができない経験の連続でした。その中でも特に強く感じたことは、困難な目標を達成するためには技術力が高いことも必要ですが、全員が同じ目標を持ちコミュニケーションを取り合い、事前準備をきちんとすることが重要だと再認識しました。全員が同じ目標を持つことで、やらなければならないことが明確になり、そのことを達成するために一人ひとりが考え、最適な行動をとることでより作業を効率化、時間の短縮ができるということを強く認識しました。限られた時間の中で整備を終わらせるために、事前に各々やるべきことを決め、手順を明確化することで他の人の作業のサポートすることはもちろん、サポートされる側になった時も、より効率的に作業することが出来ました。特にサポートしていただいた際は、STIの方の他ディーラーメカニックの方々ともに、言わなくとも次やるべき作業を先回りしてサポートしていただき、よりスムーズに集中して作業することが出来、改めてチームメンバーの技術力の高さを実感しました。今回STIチームメンバーとして参加し体験したことは、仕事のことばかりではなく、人生に影響を与えるような経験でした。この経験を一人でも多くの方にしていただけるよう、NBRのことを伝えていきたいと思います。
新潟スバル自動車 駒形允
思い返せば、選考会から2年4ヵ月。準備期間も含めると約3年間待ちわびたNBR レースでした。50回記念の今回は観客を入れての開催だったので、やる気とテンションが最高潮で迎えることができました。毎日があっという間に過ぎていきましたが、アデナウのガレージでの整備やパドック・ピットの設営、全てが楽しかったです。予選では、はじめは少し緊張したことを覚えています。本番は順調に走行していましたが、約12時間経過後ドライバーからガードレールに接触したと無線が入った時には何が起きたのか理解できませんでした。パドックに搬入された車両の状態を確認した監督からリタイヤ宣言された時もまだ実感がわかず、とりあえず損傷した部品を交換することに集中していました。その後のミーティングで、自分のNBRは終わったのだと実感し、各ドライバーとあいさつをした瞬間に涙があふれてきました。他のディーラーメカも泣いていて、悔しさが伝わってきました。おそらく人生で初めての悔し泣きだと思います。今もまだ思い出すとその時の気持ちがよみがえります。残念な結果でしたが、このような経験をできる人は少数だと思うので、この体験を後輩などに伝えていきたいです。その中で今後もあの最高の経験ができるメカニックが増えると良いと思っています。この経験は私の人生においてとても大きな出来事になることは間違いないでしょう。
千葉スバル 石橋裕也
レース結果は途中リタイヤで終わってしまいましたが、おそらく人生で一度きりしかないであろうNBRメカニックとしての日々は最高なものでした。千葉スバルの選考会から始まりスバル研究実験センターでの本試験、新型コロナウィルスによる二度の延期や出国の際に必要なワクチン接種・・・。ここに至るまでの様々な苦労も、思い返せば一つひとつが良い思い出です。実際の現場作業では、STIの方々もそうですが、全国各地の選りすぐりのメンバー(デメカ)との意見交換もかなり参考になるものが多く、様々な気付きを得られたことも参加して本当によかったと思えました。レースメカニックという通常の業務とかけ離れた場所での体験は、自分の自信にもつながりましたし、トップチームでの経験は普段の仕事でのモチベーションを大きく上げてくれるものでした。初めてのことが多すぎてどのように形容したらよいかわかりませんが、整備士人生の中でニュルの舞台に立った経験は一生の宝物。自分の世界観を変えてくれたニュルに感謝。次代のメカニックにも今後伝えていきたいものです。
東京スバル 長澤慎馬
NBRへの派遣を通じて、多くの方と出会い沢山の事を学ぶ事が出来ました。普段は違う会社、違う部署、違う立場で働いている人達が集まり、あの短期間でチームワークが出来るのは、NBRに派遣される以上は当たり前のように思えても実際は難しく、普段の仕事の中では経験できない事だと思います。NBRスタッフ全員が共通の目的を持ち、それぞれの仕事に責任を持ち、意見を出し合う。あの時間を過す事が出来たのは本当に恵まれている事だと思います。私たちディーラーメカニックは選考会から約2年半の時を経てようやく参戦が叶いました。この間も多くの方に応援して頂き、支えられ、成長させて頂き、NBR本番を迎えることが出来たのだと、今は感謝の気持ちでいっぱいです。今後も多くのディーラーメカニックにこの経験をして欲しいと思います。レースの世界に興味の有る人も無い人も、ここでしか経験出来ない事が必ずあるはずです。悔しい思いも楽しい思いも沢山経験し、人生で一番濃い10日間になりました。
神奈川スバル 西村直人
今回の派遣メカニックを経験し、「物事に全力で取組む事の大切さと楽しさ、結果を出すことの難しさ」を痛感しました。富士スピードウェイでの研修を終えてからは、過去のレース動画を見ながらイメージトレ-ニングをひたすら行いました。現地では、最初こそ雰囲気に圧倒されましたが、いざ車両を前にすると作業に集中することができました。実際派遣メカニックとSTIの方々が一緒に行動できた時間は、短い期間でした。しかし、短期間でも各々が役割を全力で果たしていく中、徐々に連携は良くなっていきました。意見を言い合う場面もあり、皆で試行錯誤して動きを洗練していく時間はとても楽しく、充実感がありました。これだけの人達が全力で取組んでも、リタイアという結果は残念でしたが、佐々木選手が怪我無く帰って来られて本当に良かったです。「何が起きるかわからない、だからこそ全力で取組まなくてはいけない」、この感覚は日々の業務でも常に持っていきたいと思います。この派遣レースメカニック制度は、非日常な雰囲気でクルマに関わる事ができ、視野が広がり、クルマに対しての考え方にすごく刺激を貰えるので、多くの人に参加してもらいたいです。残念なのは、機会が少ない点です。個人的には神奈川スバルとして、より多くのメカニックがレースという環境を体感できれば、技術や意識の向上とスバルに関わる事の楽しさを感じてもらえるのではないかと考えています。
奈良スバル自動車 西井誠
選考会から本番まで2回の見送りで、ホントに行けるのか不安でした。しかし、昨年11月に冨士スピードウェイにて行われた研修会では、待っていた時間を忘れるくらい嬉しく興奮しました。それから派遣まではとても早く感じトレーニングにも更に励みました。いよいよ本番ではやはり世界レベルのレースという事もあり、その雰囲気に圧倒され緊張が最高潮に達しました。その中でもドライバーが安心してレースに臨めるように考えながら作業をしました。250km/h以上のスピードで走るレースカーで少しの見落としやミスがあると、大きな事故やトラブルに繋がるので正確性や丁寧な上にスピードも意識しました。結果は残念ながらリタイアとなりましたが、トラブル時には修理の為の部品や工具を準備、また何処に何を用意すれば効率良く作業できるか、などを判断し万全の体制でクルマが戻るのを待ちました。その時のチームワークはやはり凄いと改めて実感しました。今回のレースでは多くを学び、また他ディーラーのメンバーやSTIの方々に沢山の刺激を貰いNBRを終えることが出来ました。この経験は、日常業務でお客様に安心してお乗り頂くための作業にも通じると思います。レースに参加した私の使命としては、会社や店舗に戻りチームワークや事前準備の大切さなど沢山学んだことを展開します。この経験を後輩にも伝え、次回も奈良スバルから送り出せるメカニックを育てます。
大阪スバル 春本直輝
2年間延期となり、このまま参戦出来ないのではないかという不安な気持ちをもっていました。しかし、2021年に入ってオンラインミーティングや実車研修が開催されて、初めて2022年仕様のNBRレースカーに触ることができ、モチベーションはとても上がりました。ドイツに行ってからは、事前準備をしっかりして本番レースに挑むので、いかに事前準備が必要不可欠な事なのかを改めて学び、気付きました。STIチームの一員として参戦し、チームスタッフ一人ひとりが自分の為だけではなく他のスタッフの事を考えながら作業することが、チームワークを良くするうえでとても必要な事なのだと感じました。世界最高峰のレースに参戦した事や、クラッシュしたからこそ出来た経験、安全なクルマであるという事実を目の前で体験できた事で、お客様や同僚、後輩達にもっとスバルの素晴らしさを伝えていきたいと思っています。NBRの世界は日常では体験できない経験が山ほどあり、一生忘れられない思い出になりました。NBRを目指す後輩メカニックが同じ経験ができるよう、サポートしていきます。
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