3月31日(日)、宮城県のスポーツランドSUGOにて本年のスーパー耐久シリーズ公式テストが行われ、Team SDA Engineeringから61号車SUBARU BRZ CNF Conceptが参加し、2時間の走行を終えました。
この日のスポーツランドSUGOは、晴れ。この時期には珍しく気温が高めで、時折強い風が吹く中、終始ドライコンディションでテストは実施されました。今季からグループ構成が変わり昨年までグループ2に組み込まれていたST-Qクラスの61号車は、グループ1に所属することとなりました。テストには、SUBARUドライバーである井口卓人、山内英輝と社員ドライバーの伊藤和広に加え、新たに社員ドライバー候補に加わった花沢雅史が参加しています。前日にもスーパー耐久シリーズ参加者向けのスポーツ走行枠が設けられており、各チームにとっては二日続けてのテストとなりました。
Team SDA Engineeringのトピックとしては、昨年までチーム監督を務めていた本井雅人から、同じSDA(SUBARUドライビングアカデミー)インストラクターで車両運動開発部の伊藤奨(いとう・すすむ)が新任監督としてこの日から活動を開始したことが挙げられます。伊藤は、普段はAWD(四輪駆動)システムの先行開発を担当していますが、昨シーズン同様S耐プログラムも日常業務として進めており、昨シーズンまでは駆動系の実務リーダーを担当していました。
伊藤は、「まず今回は、昨年までの市販ラジアルタイヤ(標準ワンメイク品)と新たなブリヂストン製スリックタイヤとの特性差の把握でした。ドライバーも含めて初めてのタイヤなので、データを取って検討に生かし、セットアップを進めて乗りやすい方向に持っていくことができたので、成果としては良い二日間のテストになったと思います。初めてレースカーに乗った花沢はずっとSDAで一緒にやってきた仲間です。スリックタイヤが初体験なので、やや戸惑ったようですが、ドライバー同士のコミュニケーションもあってドライビングスキルは上がっており、二日間のテストで約5秒ほどラップタイムを縮めることができています。もう一息なので、良いトレーニングを重ねて(富士)24時間には出られるように仕上げていきたいですね。今後に繋がる新しい技術をS耐を通じて鍛えていくというのは、次に控えている新しいプロジェクトでも変わりません。むしろこれから積極的に新しい技術にトライすることになるので、ご覧いただいている皆様に、新しいことへの挑戦が伝わるような活動にできたらいいな、と思います」と語っています。
新たに社員ドライバーの候補となった花沢は、車両環境開発部に所属し、エンジンの実験、適合、OBD(車載故障診断装置)全般が主な仕事ですが、SDAインストラクターの社内ライセンスを取得し、後進のエンジニア育成にも力を注いでいます。このS耐プログラムでは、初年度からエンジン関係の開発をまとめる実務リーダーを務めています。「SUBARUでは、専門のテストドライバーは存在せず、開発者が自分で乗って開発する、という習慣があります。なので、このS耐プログラムもその延長線上なので、今回私はレーシングドライバーを志しているわけではなく、エンジニアとして開発業務の一部として参加するという形になります。
単に速く走れるようになるのが目的ではなく、レーシングドライバーと同じ速度域で走れるようになれば技術開発に活かせるものが発見できるだろう、という信念でこの役割を引き受けました。普段SKC(栃木県にあるSUBARU研究実験センター)では延々と走り続けていますが、レースではスリックタイヤで混走の中を周囲に気を配りながら走らないといけません。それができないと評価や技術開発につながる発見ができないと思うからです。今日はルーキードライバーブリーフィングに出席しました。プロのレーシングドライバーになろうとしている若者たちばかりなので、気後れするというよりも、フレッシュなエネルギーをお裾分けしてもらった感じです。しっかりと自分の役割を自覚しながら、ドライビングスキルを上げ高いレベルで走りの評価ができるようになりたいと考えています」、と花沢は話しています。
Team SDA Engineeringは、4月のスーパー耐久シリーズ開幕戦(SUGO)はスキップし、その後に組まれている公式テスト(富士)以降に活動を再開する予定です。