NURBURGRING 24H RACE

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2025.05.26 - ニュルブルクリンク24時間レース・事前レポート
QF第2レースもクラストップ、総合29位フィニッシュ

RACE REPORT

5月25日(日)、ニュルブルクリンク24時間レースに向けた予選レースは最終日となりました。この日も朝から雨模様です。気温12℃、路面温度も12℃とのことですが、体感温度は6℃程度と思われます。SUBARU/STIチームは、昨日の第1レースが終わってからマシンの整備を始め、4速から異音が発生していたギアボックスをアッセンブリー交換。作業が終了したのは夜明け前だったとのことです。そして、最終日の公式予選は、朝8時15分にスタートです。このハードなスケジュールもニュルならではですね。
リフレッシュされた88号車SUBARU WRX NBR CHALLENGE 2025に最初に乗り込んだのは、ティム・シュリックです。コースは全面的にウェットですが、昨日のレースと比べると表面の雨量も減り、コンディションは良好とのこと。「嫌な音が出ていたギアボックスは、皆が夜遅くまで作業してアッセンブリー交換してくれたので、なんの問題もありませんでした。もっとも、長い距離を走り込んだギアボックスだったので、予定では今日のレースが終わったら交換する予定だったらしいので、耐久性は十分確認できたと思います」、とシュリックは最初の印象を語っています。続いて久保凜太郎がフルコース2ラップに出かけていきました。久保は、「クルマは去年に比べて確実に速くなっています。一番の要因は、空力が効いていると言うこと。中高速コーナーではダウンフォースがしっかり効いて、(スロットルを)踏んでいけます。一方、ダウンフォースが得られにくい低速コーナーは、昨日のようなヘビーレインではどうしても不安定になります。こんな悪条件は好きじゃないですが、たっぷり経験しました」、と話してくれました。その後、シュリックが再びフルコースを2周走りました。その際、前夜に用意したハンドカットを入れたレインタイヤを使用しています。「タイヤについては、昨晩は全く発熱していなかったので、カットを入れてもらいました。これでも完全とは言えませんが、昨日よりはマッチベターです」、と答えています。9時35分過ぎ、チェッカーが出る前に早めに走行を終了しました。この後、午後1時から第2レースがスタートします。
午後1時からの決勝レースに向け、グリッド整列が始まりました。空はいまだに曇りがちで、時折パラパラと雨粒が落ちてきます。予選で使ったカットレインタイヤを装着して88号車WRXは定位置の第3グループポールポジションに向かうと、ドライバーのシュリックから無線連絡がありました。「GPコースはほぼドライです。しかし、オールドコースはダンプ状態だろうと思うので、カットを入れていないレインタイヤでスタートしよう」、とのことでした。一方で1時頃にはそれなりの雨が降るという情報もあり、悩ましいところです。各車がフォーメーションラップを走り出す頃には雲の間からうっすら青空まで見えてきました。スタート直前にスリックタイヤを装着したチームもありましたが、この時点ではまだギャンブルです。しかし、フォーメーションラップ中に確信をもったGT3勢の数台は1時のスタートと共にピットインしてスリックタイヤに変えていました。88号車は、そのままスタートし、1周回ってピットイン。このレースウィークでまだ試していないカットスリックをチョイスします。
それがコンディションにうまくマッチしており、シュリックは続けて8周の間このタイヤで通しました。順位は59番手からスタートし、1周目で一旦83位まで落としますが、その後2周目に64位、3周目に55位と順位を上げていきます。この頃にはコースは完全ドライでした。スタートから1時間後には気温は15℃まで上昇していますが、まだ雨の可能性は残されていました。9周を終えてシュリックはピットイン。続けて久保がスリックタイヤでコースインしていきます。10周を終えて43位、14周終了後には33位まで上がっていきました。18周を終えてピットインしますが、久保はそのまま給油とタイヤ交換を終えてコースに戻ります。順位は33位のままです。レースは残り1時間。久保は軽快なリズムで周回を続け、残り15分を切った時点からあちこちで雨が降り路面を濡らすものの、久保は力強く周回。午後5時のチェッカー時点で合計24周を走り抜き、88号車SUBARU WRX NBR CHALLENGE 2025は総合29位、SP-4Tクラス首位でレースを終えました。
チーム監督の沢田拓也は、「今日もクラス優勝できました。2レース続けてクラストップはこれまでにあまり経験がないので嬉しいです。今週は、トラブルが多少ありましたが、インターバルの間にしっかり修理できたし、24時間レースに向けては良い結果となりました。この後、クルマの整備をして、エンジン交換などレースに向けた準備を進めてから帰国するつもりです。」 
今日のレースをスタートしたティム・シュリックは、「フォーメーションラップ時はまだコースは40%位がダンプ(湿った状態)でしたが、スタートしたらもうダンプ箇所はわずかとなっていました。ですからピットインを決断し、カットスリックタイヤに換装しています。スリックに比べてややパフォーマンスは劣りますが、その後はタイヤが壊れてしまうこともなく8周を走り切ることができました。今回のQFレースはあくまでも24時間に向けたテストが目的です。カットスリックでも十分走れることがわかったのでそれも収穫ですね」、と語っています。久保凜太郎は、「昨日はウェットでたっぷり走り、今日はドライで15周を走れたので僕自身にとって、とても良いレースだったと思います。スリックタイヤでは、クルマのパフォーマンスをしっかり発揮できるので、国内テストで走り込んできたことが間違ってなかった、と改めて感じています。しかし、国内では雨のテストがあまり出来ていなかったので、ニュルでは色々と課題が見つかりましたね。いずれにしても24時間レースに向けて良いデータが取れたと思います」、と話しています。

本年のニュルブルクリンク24時間レースは、6月19日(木)には公式スケジュールが始まり、21日(土)に決勝レースがスタートします。SUBARUディーラーメカニックたちを含めたチーム本体は、16日(月)からレースウィークを過ごすことになります。
2025.05.25 - ニュルブルクリンク24時間レース・事前レポート
雨の第1レースは総合28位完走

RACE REPORT

ニュルブルクリンク24時間レースに向けた予選(QF)レース二日目。相変わらず雲が多く気温は低いものの、あたりは乾燥しています。しかし、この日5月24日(土)は夕方から降雨の予報となっています。場合によっては、ドライコンディションはこの日午前の予選のみ、ということも考えられるため、SUBARU/STIチームは早めにドライでNBRマシンを走らせ、日本からの持ち込み仕様をチェックしておく必要があります。
今回のQFレースには、108台が参加しています。そのうち、88号車SUBARU WRX NBR CHALLENGE 2025が属するSP-4Tクラスは2台となっており、ライバルは8号車フォルクスワーゲンビートルです。午前10時からの公式予選が始まると、まずはグランプリ(GP)コースを5周し、新品ブレーキに焼きを入れます。その後、久保凜太郎がGPコースを1周してピットインし、ティム・シュリックに交代しました。ニュルでは、GPコースを1周してコントロールラインを通過したら計測開始となります。また、計測後は再びGPコースを回ってからピットインすることが認められています。1周全長25kmのコースのための時短の措置です。ドライバーの最初のインプレッションは、「クルマはとても良いです。ただ日本でテストした時の印象と少し変わっている気がします。少し強めにアンダーステアを感じますね」(久保)、「タイトコーナーのターンイン時にはアンダーを感じるけど、出口は問題ないと思います」(シュリック)、とのこと。
その後シュリックがフルコースを2周、久保が3周してセッションを終了しました。7周のベストタイムは、シュリックがフレッシュタイヤでマークした8分50秒689でした。これは、昨年の24時間レース公式予選で記録したタイムを上回るものです。この記録は総合で32位、クラス首位であり、上位クラスのSP-8T合計7台の間に割って入る形となっています。SP-8Tクラスには、BMW M4 GT4 EVOやGRスープラGT4 EVOが属しています。また、ユーズドタイヤで3ラップを走った久保も8分53秒台を出していました。シュリックは、「今日の予選の目的は、24時間を走るためのセットアップがメインでした。全体のバランスは悪くないです。僕は3周走り、後半はニュータイヤでアタックしましたが、カルッセルで遅いクルマが前方に居たのですが、オーバーテイクの瞬間に僕の方に寄って来て、あわやというシーンがありました。ワーッと大声で叫んでしまいましたよ。今日のレースはあいにくの雨ですが、24時間レースを考えれば雨対策はしっかりしておきたいところです。何よりもSUBARU AWDとのダンスを楽しみたいと思います」、とジョークを交えて話してくれました。午後3時過ぎには、予報よりも早く雨が降り出しました。

沢田監督は、「正直、(予選のベストラップタイムは)もう少しいけるかな、と思っていましたが条件がパーフェクトではなかったようです。クルマは概ね問題ないのですが、二人ともアンダーステアをコメントしていますね。走り込んで慣れていくとあまり気にならなくなるかも知れません。オイルクーラーに水漏れがあったので、新品に交換して今日のレースに臨みます。国内テストで数1,000km走った個体なので、ライフの限界だったのかも知れません。第1レースは凜太郎スタートで行きます。天気予報では、徐々に雨量が少なくなっていくらしいです」。
午後5時10分に第1グループからフォーメーションラップをスタートしていきます。88号車SUBARU WRX NBR CHALLENGEは、第3グループのポールポジションからレースをスタートします。この場所は、もはや定位置となった感があります。そして午後5時10分、水飛沫をあげて第1グループがスタートしていきました。それから約5分後に第3グループもスタート。「タイヤが発熱しないので、グリップがないです。ペースを落としたいけど、そうすると第3グループに飲み込まれてしまうので頑張っています」、と久保は無線に向かって話しています。スタートしてから間も無く、トップグループにいるはずの33号車ファルケンポルシェがクラッシュ。ピット前で修理している様子がモニターに映っています。第3グループ先頭の63番手からスタートした88号車WRXはAWDの強みを活かし、4周目で早くも45位にまで順位を上げています。その後、1時間半が経過し午後7時過ぎに 7周を終了して久保はピットイン。この時の順位は総合24位となっています。しかし、久保はピットロードに入らずそのままGPコースを回ってピットに戻ることに。
これによってタイムをロスするものの、総合37位でシュリックに交代しました。「タイヤが発熱せず、ずっとグリップしませんでした。少し雨量が減って温度が上がったかと思えば、コード60(時速60km/h規制のイエロー区間)でまた冷えるのでずっとクルマのコントロールと戦っていました。これまでで一番怖いレースでした」、と久保は語っています。交代したシュリックも、姿勢のコントロールに苦慮しているようで、1周目に再びピットに戻っています。「リアスタビをはずして欲しい」、とのことです。その作業中にエンジン担当はラジエターやインタークーラーにガムテープを貼ってオーバークール対策を行います。コースに戻ったシュリックは、「リアの束縛を緩めたので、コーナーは走りやすくなった。ストレートではちょっとストレンジな感じだけど問題ない」、と返答しています。

午後8時半を過ぎたあたりから雨量は減り始めました。コース状況もやや好転している様子です。最後のスティントを久保に託したシュリックは、「とにかくタイヤがグリップせず、難しい状況です」、と言っています。久保は内圧を上げたタイヤで出ていきました。ところが、「路面の水の量が減ったことで、タイヤが張り過ぎていて跳ねるような感覚があります」、と言ってピットインし少し内圧を下げることを決断。残り約30分を走り切ることになります。また、レースが終盤に向かうに連れ、トランスミッション4速ギアの「鳴き」が大きくなってきたと久保は伝えて来ましたが、3速や5速は問題ないので、4速を労りながらの走行となりました。
あたりにようやく夕闇が迫る9時半を迎え、ホームストレート上でチェッカーフラッグが振り下ろされ、レースはフィニッシュとなりました。総合優勝は16号車ポルシェ911 GT3R(992)です。88号車は20周を走破し総合28位完走を果たしました。沢田監督は、「雨の中、セッティングやタイヤのウォームアップには苦しみましたが、他車も同じように苦しかったはずです。他に最適解はあったかも知れませんが順調に走れたし、後半は色々と試して明日や24時間レースに向けての確認が出来たのでよかったです。ギアの異音が大きくなっていったようで、チェックして調整しておきます。明日のレースも頑張ります」、とコメントしました。

明日最終日は午前8時15分から90分間の予選があり、トップクォリファイを経て2回目の決勝レースは午後1時にスタートする予定です。
2025.05.24 - ニュルブルクリンク24時間レース・事前レポート
ニュルブルクリンクQFレースの週末が始まりました

RACE REPORT

本年6月のニュルブルクリンク24時間レースに向けた予選(QF)レースが、5月24日(土)・25日(日)の二日間行われます。その前日の23日(金)に各チームはサーキット入りし、それぞれピット内やサインテントの設置などを行いました。車両検査も行われ、88号車「SUBARU WRX NBR CHALLENGE 2025」は何の指摘もなく、無事車検終了となっています。
東京オートサロンでの展示を終えた1月末に早くも東京港から船積み出荷されたNBRマシンは、3月にはドイツに陸揚げされ、ニュルブルクリンクサーキットに近いアーデナウの街にあるチームのガレージに入っていました。スペアパーツやツール類なども運ばれており、5月第3週の木曜日には先発隊が渡独し、開梱などを進めています。長年の経験の積み重ねがあるため通関トラブルなどもなく、ここまではとてもスムーズな進行です。今年5月中旬のアイフェル地方は比較的穏やかな天候が続き、チームの本体が到着した第4週半ばには気温が25℃にも達することがあったとのことです。しかし、23日(金)になるとサーキット上空を低く垂れ込めた雲の塊が覆う時間が多く、最高12℃(体感温度8℃)へと気温は急降下しています。特に朝方は、氷点下と感じるほどの寒さでした。
今回のQFレースで88号車NBRマシンをドライブするのは、地元のティム・シュリックと昨年よりチームに合流した久保凜太郎のふたりです。金曜日にはチェックインを済ませ、装備品の検査も終えています。久保は、「僕は水曜日にこちらに入っています。昨日は、SUBARU現地事業所でご用意いただいたWRXでコースを下見してきました。これは、開発業務に使用するクルマらしくロールケージも組み込まれていて、僕としてはコースの感覚を取り戻す良い機会になりました。5周くらい走れました。路面は一部が改修されており、後半の名物コーナーであるプラッツガルテンはジャンプが見れる場所だったんですが、なだらかになっていました。しかし、着地のショックが少ない分車速が乗せられやすいので注意しないといけないな、と思いました。ボトムポイントの直後に右コーナーとなっているので。このクルマには昨年末から乗っていないのですが、僕自身は昨年よりずっと落ち着いています。昨年夏以降の国内テストで相当走り込んでいるので不安要素はあまりなく、一定の条件で起きるちょっとした挙動の不安定な点についてもほぼ解決しています」、と語っています。
続いてエンジン担当エンジニアの菊地渉は、「今回は昨年までエアリストリクター径39mmを選んでいましたが、今年は41mmを使っています。通常はリストリクター径を広げればよりパワーを上げられるようになるのですが、今回は最高出力をあげず、過給器の負荷低減と燃費向上を狙っています。昨年からの国内テストで既にニュル24時間レースほぼ1レース分に相当するマイレージを走ったエンジンでこのQFレースに臨み、パフォーマンスと信頼性の両方を確認しようと考えています。しっかりテストができているので心配事はあまりないのですが、夏のレースを想定して冷却性能を上げて来ているのですが、今回も暑いと読んでいたところ気温は低いかもしれないと思い始めていて、過冷却とならないよう気をつけたいと思います」、と答えてくれました。
チーム監督の沢田拓也は、「クルマや荷物には輸送中のダメージもなく、去年あったような荷物の遅れもなく、順調です。TUV(国際的技術認証機関)による車検のための事前査察も順調でした。QFレースの日程が例年よりもひと月遅いので、全てに余裕を持ってあたることが出来たのがよかったと思っています。チーム編成としては、今回初めてニュルに来たメンバーが四人いるので、彼らにも良い経験を積ませてあげられるようにしたいですね。昨年もそうだったんですが、今回のフォーマットは事前のフリー走行や練習走行もなく、いきなり明日は予選から始まって夜の4時間レースが組み込まれています。それが終わってパルクフェルメからクルマが戻ってから整備なので、明日は夜遅くなる予定です。そして、翌日にも予選と4時間レースがもう一度行われるので、結構ハードです。しっかりと乗り切って24時間に向けた準備をさらに進めたいと思います」、と話しています。
明日24日土曜日は、午前10時から12時が公式予選で、4時間の決勝レースは午後5時半からの予定です。なお、天気予報では同5時頃から雨が降る予想となっています。
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