NEWS

OTHER
2024.04.03

「モータースポーツはクルマを理解するのに最適」

STI賚新社長語る

退任した平岡泰雄に代わり、4月1日にスバルテクニカインターナショナル株式会社代表取締社長として着任した賚寛海(たもう・ひろみ)にお話を伺いました。賚社長は、1982年に富士重工業(現SUBARU)に入社後、技術・開発部門を中心に歩み、技術研究所所長、常務執行役員、技監などを歴任した生粋のエンジニアです。趣味は、ダートトライアル競技とのこと。
これまでのSUBARU人生でモータースポーツに関わった経験はありますか。
賚社長 「GDB型ワールドラリーカーの時代に車体設計の私のところに軽量パーツ開発の相談が来て、対応したことがあります。WRCモンテカルロ戦を視察し、プロドライブ社にもうかがいました。(アッセンブルされた)WRカーは、細部までとても精密に作られているのが印象的でしたね。私はクルマが好きだったので、興味があった車体設計がやりたくて富士重工業に入社しました。現在もSTIで活躍されている先輩の辰己(英治)さんは車体に造形が深く、よく試験車作りなどで一緒に仕事したことを覚えています。私は、趣味でダートトライアル競技を楽しんでいるのですが、そちらでもSTIスポーツパーツには長い間お世話になっています」

趣味のダートトライアルは今でも現役なのですか
賚社長 「はい、そうです。趣味のレベルなので誇るべきリザルトなどは何もないですが、ひとりでできるモータースポーツであることが魅力で、やり始めた当時(1980年代)のSUBARU AWDシステムは舗装路では曲がりにくいと言われていましたが、ダート路面だと気持ちよくクルマを操ることができるのが楽しかったですね。ジャスティやレオーネなどで休日にダート路を走っていました。実は今でも現役で、VAB型WRX STIで走っています。モータースポーツは、クルマを理解するのに最適の教材だと思います。設計の仕事をしていて、疑問に思ったことを実際に試してみる、ということもありました。現代では、コンピューター上で設計業務を進めるのが一般的です。シミュレーションはもちろん大事ですが、リアルなものを体験することはとても大事です。限界を超えて壊れるにしても、どのように変形するかは実際に壊してもみないとわかりません。開発効率化の仕事もしていましたが、若い技術者には、”モノを知らない設計者ではダメだ”、と伝えていました」
SUBARUグループの中でSTIをどのように舵取りして行きますか
賚社長 「STIの業務としては、レース、特装車、パーツが三本柱です。レースはやるからには勝たなければならず、そのためにどれだけやれるかが鍵。そして、レースで得られた無形・有形の知を商品にフィードバックすること。また、STIブランドの特装車やスポーツパーツは、お客様にワクワクする体験を提供していかなければならないと思います。これらにバランスよく注力することで、SUBARUブランドの向上に貢献していきたい。これからの自動車産業は、ありようが少しずつ変化し、モータースポーツも変化を受け入れることになると思います。しかし、動力がどうあろうと、クルマという道具を手にしたら競いたくなるのは人間の本能です。つまりモータースポーツはいつまでも存在するはずです。そうである限り、STIはワクワクを提供し続けるでしょう」
穏やかで優しい印象の賚社長ですが、クルマに傾ける情熱は並々ならずだと感じました。賚社長、今後もどうぞよろしくお願いいたします。

3月23日・24日に富士スピードウェイで行われたSUPER GT公式テストの際に、退任された平岡前社長のコメントをいただいています。平岡前社長は、「5年間過ごしたSTIを離れることになりました。ファンの皆様には大変お世話になりました。振り返れば、2021年のSUPER GTシリーズチャンピオン獲得が最も印象的な出来事でしたね。今後は応援する側にまわって、チャンピオン奪還を後押ししたいです。ニュルブルクリンクは、私が初めて出張した2019年にクラス優勝して以来勝てていないので、少し心残りです。その間にはコロナ禍もあり、特に2022年・2023年にはクルマを壊しているので、今年はなんとしてもクラス優勝を果たしてもらいたと思います。昨年の24時間レース以降、とにかく信頼性確保を中心に開発を続けて来ましたので、クルマは壊れないはずです。みなさん、引き続きSTIのサポートをよろしくお願いします」、と語っていました。平岡社長、お疲れ様でした。

Scroll to top