NURBURGRING 24H RACE

TOPIC COLUMN

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2025.09.01

NBRディーラーメカニックからのメッセージ

夜間のクラッシュで大きく損傷したNBRマシンに一斉に群がり、再生修復に奮闘したSUBARUディーラーメカニック達の姿は、まだ記憶に新しいところです。本年のニュルブルクリンク24時間レースに派遣された彼らも既に日常業務に戻っており、お客様のおクルマと向き合う日々を送っています。そんな彼らから、今年の24時間レースで最も印象に残った出来事、ニュルを経験してから変化した意識などを書き綴ってもらいました。スペースの関係上、一部短縮しリライトしたメッセージを以下にまとめています。
スバル東北 宮城 種市紳也
一番印象に残っているのは、やはりクラッシュした車両を5時間以上かけて修復し、レース復帰させたことです。インカムでクラッシュの連絡を聞き、ピットからの指示を待って準備をしました。ピットボックスに戻ったクルマの状態を見たとき、あまりよくない状態でしたが、不思議と絶対直すという思いが強く、いち早くレース復帰させることしか頭にありませんでした。その中でも、自分にしか出来ないことはないかと考え、小柄な身体を活かして他の誰もが入れないトランクに入り、筋トレで鍛えたパワーでハンマーを振るいました。全ての作業が終わり、クルマをコースに送り出したとき、やり遂げたという思いと、しっかり走れるのかという気持ちが入り混じっていました。その後、ドライバーから無線が入り問題ないと聞いたとき、やっと安堵したことを今でも覚えています。
スバル東北 福島 丹野展幸
レースウィークで特に意識していたことは、チームワークでした。自分は何をするのがベストなのか、何をすればチームの為になるかを常に考え、行動しておりました。レース中だけでなく、テントやピット設営の時やレース準備の時も同様です。レース中、私たちディーラーメカニックは前半組と後半組に分かれ作業を行いましたが、自分の担当でないときでもタイヤの回収や工具の準備など、サポートに回ることで常にチームの為に行動しておりました。このチームワークに関しては私だけでなく全員が意識して行動していたと感じておりますし、実際に「心がひとつに」なったからこそ、あの大修理の後の完走ができたのではないかと思っております。何よりもゴールの瞬間はとてもうれしくて、スバルのメカニックを続けてきて本当に良かったと感じました。
富士スバル 福山聡志
当然ながら、深夜の車両修復作業が最も印象に残っています。ピット裏のトレーラーでタイヤ準備をしていた時にインカムから「ボディ左側の部品を持ってきてっ!」と、切迫した指示が来たときは、どうした?どうした?と思いましたが、ピットに戻って来た車両を見て事態が理解できました。最初の状態では、また走り出せるのか少し不安でしたが、チーム一丸となって臨んだ修復が終わりピットから車両が飛び出して行った時には、まさに諦めないことの大事さを実感しました。ディーラーメカニックが求められるレベルは高いですが、国内のレース活動や日々の業務では絶対できない経験や知識を得られるので(後輩のみなさんには)是非チャレンジして貰いたいです。体力的にもハードなレースですので、なるべく若いうちにチャレンジするのが良いと思います。
千葉スバル 柳 佑介
ドイツに渡り、ガレージでのトレーニングから24時間レース本番まですべてが貴重で新鮮な体験でした。夜間の大改修の時は細かな指示があったわけではないですが、ディーラーメカは皆それぞれが、「自分でやるべきこと」「自分に今できること」を考え、気がついたら体が勝手に動いていました。とにかく「車両を修復し、走れるようにする」全員がこれをしっかり意識していたからこそ、無事に修理完了できたと思っています。スタッフ全員が狭いピット内で互いが邪魔にならないよう気をつけながら、協力しあい作業していました。それゆえに再び走り出した時は今まで感じた事の無い達成感を感じることができましたし、24時間走り切ってチェッカーを受けたときは、「完走できたこと」「このメンバーでこの場にいられたこと」がうれしすぎて自然に涙がこぼれました。
東京スバル 三上 嵩
レース前は少し受け身な意識がありましたが、仲間の、「物怖じしていたら戦えない」と言う言葉に励まされ、そこからは自分で考えて行動する様にしました。指示待ちではなく、何が必要かを考えて動けるようになっていったと思います。一番印象的なのは、真夜中にクルマがクラッシュして帰って来た時です。ヘッドライトが片方点灯せずタイヤはバーストし、ラジエターも変形するほどフロント周りは損傷、テールレンズやホイールまでダメージを負っていました。それでも即座に作業に取り掛かり、5時間近くにも及ぶ修復作業の末、再度コースに戻しました。皆別々に作業しているにも関わらず、非常に一体感を感じた出来事でした。それは、今までに経験したことのない感覚でした。周りの人達と関わりながら結果が得られた時、大きな満足を感じるのだと思います。
山梨スバル 橋本 祐樹
事前準備と予測がしっかり出来ているからこそイレギュラーが起きても対応でき、メリハリがあるからこそしっかり集中や良い仕事ができ、みんなが一生懸命やったからこそクラッシュがあっても完走した喜びを分かち合える最高のチームだった。これが最も強く印象に残っていることです。気づき学びの点でもチームワークはとても重要だと思いました、コミュニケーションがとれていれば互いにフォローもでき、指示もスムーズで流れも良かったと私は思いました。チームで雑談をしているときクルマの話になり、「メーカーの人もSTIの人もクルマが好きなんだな、だからこそいろいろ試したり調べたり、好きっていう原動力は大きいな力だな」、とあらためて気づきました。クルマが好き、スバルが好きだからこそ良いものが出来上がっていく、そんな風に思いました。
静岡スバル 望月 聖也
チェッカーを受けた時、久し振りに号泣しました。24時間を皆が全力で戦ったこと、ファンや支えて下さる多くの方の思いがあったからこそ完走できたと感じた時、自然に涙が出たのだと思います。夜中にクラッシュしてピットインしてきた時は、疲れて眠いはずなのに自然と体が動いていたし、皆で手分けして作業しているあの瞬間がとても楽しかった。そしてピットアウトして他のチームからも拍手喝采を貰い達成感を感じたことは、素直に嬉しかった。気が付いたら夜が明けており、朝食べたニュルカレーが今まで食べたどのカレーよりも美味しかった。「スバルメカニックになったら絶対にニュルに行く」、と専門学校の修学旅行の時にニュルに行って誓いを立てたのが12年前。それが叶っただけで感激でした。私自身、熱烈過ぎるファンのひとりなのだと思います。
大阪スバル 安井 茂雅
24時間レース完走や、クラス優勝は、当たり前のようにできるものだと思っていました。実際参加してみると、完走するだけでも大変な事なのだと感じました。今回は、赤旗中断や車両損傷など様々なトラブルが起き、大変なレースとなりました。クラッシュ修理に関しては、誰一人諦める事なくレース復帰を目指して作業を行う中で、「心」という言葉が身に沁みました。チーム力があってこそですが、予備パーツの準備や把握をレース前に行っていた事、これは日頃の業務でも重要だなと感じました。また、修理完了後に各ドライバーの皆さんが、周回ごとに無線で「大丈夫、クルマは直っている」、「直してくれてありがとう」と伝えてくれ、胸が熱くなりました。NBR車両とドライバー、一般車両とお客様、レースの世界も日頃の業務も、私たちが全力で挑むものは同じ、と感じました。
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