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2025.06.27

SUBARU WRX NBR CHALLENGE 2025、アクシデントを乗り越えてゴール

スバルテクニカインターナショナル株式会社(STI)は、6月19日(木)〜22日(日)に開催された第53回ニュルブルクリンク24時間レース(ドイツ)に88号車「SUBARU WRX NBR CHALLENGE 2025」(カルロ・ヴァンダム/ティム・シュリック/佐々木孝太/久保凜太郎)を出場させ、途中アクシデントによりボディワークにダメージを負ったものの修復に約5時間かけてレースに復帰。それ以後、4名のドライバーが交代でロスを埋めるべく追い上げ、24時間目のチェッカーフラッグを受け完走を果たしました。
出場車両のSUBARU WRX NBR CHALLENGE 2025は、VBH型SUBARU WRX S4をベースにレース専用チューニングを施したマシンで、搭載するFA24型2.4L水平対向直噴ターボエンジンは大型タービンの採用などで最高出力380PSを発生します。2024年モデルに対してエアロダイナミクスの最適化、STI独自のボディ補剛部品の装着、エンジンのエアリストリクター拡大(φ39→φ41)などの変更を加え、日本国内サーキットにて昨年夏から度重なる開発テストを経て熟成度を高めています。沢田拓也監督以下STIエンジニア、SUBAU技術本部エンジニアに加え全国のSUBARUディーラーから選抜された8名のディーラーメカニックでチームを編成しています。
ドイツ西部の丘陵地帯に位置する全長25.378kmのニュルブルクリンクサーキットは、山間部特有の不安定な天候で知られていますが、本年はレースウィークを通じて好天に恵まれました。木曜日と金曜日に行われた公式予選では、佐々木孝太が1周8分56秒629のベストラップタイムを記録。全参加136台中52番手、SP4Tクラス首位に着けました。本年は気温、路面温度ともに高く、タイムアタックには不向きなコンディションであり、昨年の予選タイムを更新することは叶いませんでしたが、ドライバー達はマシンのパフォーマンスには確かな手応えを感じていました。
24時間の決勝レースは、21日午後4時にグリーンライトが点灯しスタートしました。88号車SUBARUは、ベテランの佐々木が第3グループのポールポジション(総合87番手)からスタート。序盤のうちに上位カテゴリーのマシンを交わしてポジションを上げていきます。約1時間半後に73位までで順位を上げてピットインし、久保に交代しました。しかし、その直後コースでは赤旗が提示され、レースはサスペンドとなります。主催者システムの電源ダウンが原因で、2時間15分後にようやくレース再開となりました。ここから88号車は再びハイペースで上位車を追い続け、久保は65位にポジションアップして3人目のヴァンダムにバトンタッチしています。この時期のドイツ北西部は陽が長く、午後10時になってようやくサーキットを暗闇が包むようになります。その40分後、ヴァンダムはシュリックに交代するためにピットインしました。シュリックも快調に周回を重ねますが、総合60位を走行中の11時15分に、アーデナウの下りコーナーでクラッシュ。周回遅れをオーバーテイクしようとした際に、同車にヒットされたことでバランスを崩した88号車はスピンしてガードレールにフロントから衝突し、ボディワークに大きなダメージを負います。しかし、幸いな事にスロー走行ながらピットに戻る事ができ、チームは修理してレース復帰を目指す事になります。
ボディ・外装修復のほかエキゾーストパイプやマフラー、アップライト、サスペンションアーム、ドライブシャフト、ディファレンシャルなどを交換し、アライメントを取り直すなどの作業が完了したのは、朝陽が登るタイミングとほぼ同じの朝5時15分となっていました。走り出した佐々木は、マシンが全く機能に問題なく走れていることを確認。それ以後、久保、ヴァンダム、シュリックの順でバトンを繋ぎ、ロスしたタイムを少しでも取り戻すべく、ハイペースで周回し、再スタート時には119位だった総合順位は、18時間目には104位、21時間目には94位、23時間目には84位に上がっていきました。最終ランナーのシュリックは、「クルマのコンディションは最高です。みんな、ありがとう」、と無線でピットに伝えでゴールを目指し、76位まで順位を上げてフィニッシュしています。
レース後に沢田監督は、「レースはアクシデントにより大幅にロスしましたが、チーム一丸となって車両を修復し、再びコースに戻す事に成功しました。その後クルマには何の問題もなく、ドライバー達は全力で上位を追い上げてゴールしています。私は、このチームを誇りに思います」、と語っています。
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