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RACE REPORT

2025.11.18 - スーパー耐久 第7戦 S耐FINAL大感謝祭
61号車SUBARU HiPerf-X、大きく進化し最終戦を駆け抜ける
11月15日(土)・16日(日)、富士スピードウェイにてENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE第7戦S耐「FINAL大感謝祭」4時間レースが開催され、4ヶ月ぶりにST-Qクラスに出場したTeam SDA Engineeringの61号車「SUBARU High-Performance X Future concept」(伊藤和広/山内英輝/井口卓人/花沢雅史)は、総合27位からレースをスタートし、4時間後には123周(約572km)をノートラブルで走破し、総合19位でフィニッシュしました。
チームは、7月の第4戦SUGO戦以降、第5戦オートポリス、第6戦岡山国際ラウンドをスキップし、その間マシンのパフォーマンス開発に注力し、満を持して最終戦に挑みました。チーム監督兼チーフエンジニアの伊藤奨は、「今回はエンジン出力向上とアルミ製フロントクロスメンバーを投入し、それが相当効いています。出力は40PSくらい上がり、富士のトップスピードで7km/h位上がっています。出力向上メニューはインテークマニフォールドとカムシャフトの変更に加え、ターボのEGR回路に手を入れ、より過給側に使えるようにしています。サブフレームの効果で言うと、初期の応答性向上に加え、富士では100Rの先でステアリングを切り増しするところでボディ剛性が弱く、撓んでタイヤに力を伝えていなかったのですが、そこがしっかりしたので、舵が効くようになっています。あとは、電制LSDの制御技術ですかね。これまではフィードフォワード(予測制御)中心にコントロールしていたのですが、サプライヤーさんの知恵をお借りして、フィードバック制御と組み合わせることで、ベースの締結力を下げて、トルクがかかったり、旋回でヨーが出たりするところでちゃんと掴みにいくっていうような制御ができたので、旋回性も良くて、そこからその先のトラクション性能もちゃんとかかるというところができたので、それも旋回性の向上には効いていると思います」、と説明するように練習走行から見違えるような速さを発揮しています。Aドライバー(伊藤和)とBドライバー(山内)の合算タイムでスターティンググリッドを決める15日の公式予選では、第3戦富士24時間時のベストタイムより大幅に短縮する総合27番グリッドを獲得。格上のST-2クラスに大きく食い込むポジションを手に入れています。
今回のレースウィークは穏やかな天候に恵まれ、日向では汗ばむ程の陽気となりました。そのため、路面状況も安定しており、各チームともスムーズに決勝レース用のセットアップを進めていたようです。4時間の決勝レースは、16日午後1時15分にスタートしました。61号車のスタートドライバー井口はスタートの混乱で一時的に順位を落としますが、序盤のうちに先行する2台のST-2クラス車両を捉えることに成功。約1時間強を走って伊藤にバトンタッチしました。井口は、「エンジニアのみんながいろいろと織り込んできてくれたものが、確実に速さにつながっています。決勝では僕がスタートでポジションを落としましたけどすぐに挽回できたし、ペースはすごく良かったと思います。エンジンパワーだけでなく、フロントの剛性アップなど、アップデートが全て良い方向に行っていて、タイヤの持ちとかも良くなっているような印象があリます。フロントの操作性で言えば、拳ひとつかふたつ分ぐらいの反応感が良くなっています。しかし背反する要素もあるので、次の課題はそういったところを潰すことでしょうか。いずれにしてもすごく乗りやすく、速いクルマに仕上がっています」、と話しています。
昨年の最終戦は荒れた展開となりましたが、今回は大きなアクシデントもなく、短いFCY(フルコースイエロー)はあったもののSC(セーフティカー)が出動するようなケースはありませんでした。伊藤から山内のスティントを経て、夕暮れ迫る終盤にはアンカーの花沢が61号車に乗り込みました。のちに花沢は、「注目を集める中、強いプレッシャーを感じながら走りました。743号車(CIVIC)が背後に迫っているように感じ、後ろばかりが気になりました」、と笑っていましたが、確実にポジションを維持し、総合19位のまま61号車HiPerf-Xをフィニッシュラインまで運んでいます。
レース後の花沢は、「なんとかポジションを守れてほっとしています。ところで、今週BRZの特装車という形で、STIスポーツ・タイプRAを世に出せたのですが、私たちが作った制御を織り込んで量産化できたのはこの活動の成果です。フラットシフトもレブシンクと呼ぶブリッピング制御もS耐車両で練り上げたものです。プロドライバーを含めて評価が良かったものですが、認証作業をクリアさせながら、量産化できたことがポイントです。私たち量産車のエンジニアがレース活動をやっている時、お客様に対してどうやってフィードバックするのかということを絶対忘れてはいけない。それがこの活動の醍醐味でもあると思うので、今後もそれを心してやっていきたいなと思っています」、と笑顔を見せました。
伊藤監督兼チーフエンジニアは、「最初にこのクルマで走り出した時には、タイムは良くなくクルマとしてもまだまだと評価されていたことを思えば、やっとST-2クラスにも勝てるクルマに仕上げることができたのは、エンジニアみんなの力とドライバーの力を総動員した結果なので、本当に良かったと思います。しかし、今回のレースでも課題はいくつか出てきていて、それをどうやって解決しようかというのはもうすでに話をしています。しっかりオフシーズンをオフシーズンとして使えれば、様々に道が開けるはずです。進化した姿をまた来年お見せできるようにしたいと思います」、と語っています。また、チーム代表の本井雅人は、「今週は準備していた持ち込み仕様が想定と異なる状況で、1日目は若干迷走しました。タイヤと路面のマッチングだということに気がついてからは、巻き返しを図って最高のセットアップができたんじゃないかなと思います。レースではトラブルも一切なく、クルマだけでなく伊藤や花沢ら社員ドライバーも頑張ってくれました。今年はST-2を凌駕すると言う目標に従ってやってきましたけど、本当に良いシーズンになったと思います。来年に向けては、さらに強くなるよう準備し、オフシーズンにも弛まぬ努力で備えたいと思います」、と締めくくりました。

レースウィークに来シーズンのカレンダーが発表になりました。来季の開幕戦は、3月21日・22日に栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催されます。
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