ラリー最終日はSS7〜SS12の計6SS。3本のSSを2回ずつ走行する構成で争われます。この日のSSは、前日の台風の影響により濡れた落ち葉が敷き詰められたような路面で、先頭走者の新井敏弘は思うようにタイムを伸ばすことができず。その隙を突いて、新井大輝が好走を見せます。この日最初のSSとなるSS7、続くSS8と、連続ベストタイムをマークして追撃。首位の新井敏弘に1.8秒差まで迫りますが、SS9で痛恨のスピンを喫してしまいます。このスピンで新井大輝は大きくタイムをロスし、総合3番手に順位を落とすことに。

首位の新井敏弘はリードを拡大すべく、ドライ路面となった午後のセクションに向けてソフトコンパウンドのタイヤを装着。しかし、サスペンションのセッティングと合わずに苦戦を強いられてしまいます。SS10で2番手に後退、その後はその順位を守り切って2位でのフィニッシュとなりました。新井大輝もペースを堅守し、3位でラリーを終えています。また、SS11まで総合4番手につけていた鎌田は、SS12でパンクを喫し順位を落としてしまいましたが、6位でラリーを走り切ることに成功しました。

■新井敏弘「残念でしたが、これも勉強です」
中盤までラリーをリードしていた新井敏弘は、「先頭スタートは、濡れた落ち葉の掃除役みたいなものだったので厳しかったですね。特にSS9では絨毯の上を走っているような感覚でした。午後には柔らかめのタイヤを使ったのですが、サスペンションと合っていなくて逆転されてしまいました。残念でしたが、これも勉強です」と、路面の難しさについて振り返りました。新井大輝は「まるで氷の上を走っているようでした。最後はとにかく抑えて、フィニッシュすることだけを考えました。ラリー前にも言いましたが、やはりぶっつけ本番で、ウエットターマックを戦うのは厳しいですね。とりあえず完走できて良かったです。グラベルはセットアップが出ているので、次戦も頑張ります」とコメントしています。惜しくも最終SSでパンクを喫してしまった鎌田は、「SS12でスピンして側溝に引っ掛けてしまいました。少しずつセッティング変更したことが裏目に出てしまったのかもしれません。グラベルの方が調子がいいので、次は頑張ります」と、次戦に向けての意気込みを語りました。

■ディーラーメカニックコメント「自分のためにもなりますし、周囲にも薦めたい」

担当車両：itzz DL SYMS WRX STI
野田 健太　27歳
奈良スバル自動車株式会社　大和郡山店　メカニック

「本番のクルマがサービスに入ってきて作業するとなると、やはり過酷なモータースポーツだなと思いました。クルマの汚れやダメージもそうですし、作業も普段の仕事とは全然違うものでした」とは、以前からモータースポーツに興味があり、応募したという野田のコメントです。ラリーに参加するのは初めてで、右リヤセクションの増し締めやチェックなどを担当しました。

最初はトップレベルのクルマを扱うことへのプレッシャーや焦りもあったとのことですが、周囲のフォローもあり無事にこなせたと笑顔で振り返ります。
「チームの人には色々教えていただきました。たとえばトルクレンチひとつとっても、バラバラに締めていくのではなく、同じトルクの場所をまとめて締めていくことで手間を省けるというのが印象に残っています。あとはそれぞれの規定トルクをしっかり覚えることですね。そうすれば、クルマの元の状態を覚えることにつながりますから、クルマが帰ってきた時にどこが損傷しているか、緩んでいるかということが分かるようになると思います。サービス作業でもトルク管理をしていたのですが、それを毎回行うことで表も見ることなく締められるようになりました」

鎌田選手は残念な結果となってしまったものの、「無事に帰ってきてくださったので、ほっとしています。普段はこんな経験は絶対にできないので、とても楽しく作業させてもらいました。自分のためにもなりますし、整備作業にさらに興味が湧いてくると思うので、周囲の人たちにもぜひ薦めたいと思います」とコメントしています。

次戦は今季最終戦、第10戦の「MSCCラリー in ふくしま2019 supported by Sammy」です。10月31日(木)〜11月3日(日)にかけて、福島県いわき市を拠点に争われるグラベルラリーで2019年シーズンのチャンピオンが決まります。最後までSUBARU勢への応援をぜひともよろしくお願いいたします。

■新井敏弘がベストタイムを2回刻み首位に
ラリーは12日(土)の朝、観戦エリアや出展エリアの置かれるひだ舟山スノーリゾート アルコピアでセレモニアルスタートが行われ開幕。SS1では先頭走者の新井敏弘がベストタイムをたたき出し、総合首位の座に立ちます。2番手には0.3秒差で奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューション)、3番手に鎌田、4番手に新井大輝が続く出足となりました。このSSでは勝田がマシンをヒットさせてしまいストップ。競技の続行を諦めることとなりました。

SS2は新井大輝が制し、総合順位では鎌田を0.4秒かわして3番手に浮上。新井大輝は続くSS3でも２番手タイムを記録し、総合2番手にポジションを上げることに成功しています。このSS3は新井敏弘が制しており、２番手以降とのリードを拡大しています。

ラリーは午前中の3SSを終えた時点で、台風19号の接近により午後の3SSをキャンセルすることを決定。初日の競技はこれで終了することとなりました。

4番手につけている鎌田は「ヘビーウエット用のタイヤを選択したのですが、予想よりも雨量が少なく、ちょっと厳しかったですね。サービスパークよりも、SSの方が雨が少なかった印象です。現状のタイムは少し残念ですね」とコメントしています。

ラリー最終日となる13日(日)はSS7〜SS12の計6SS、SS距離29.72kmで行われる予定となっていますが、今後の天候変化や当日の路面状況によっては予定が変更となる可能性もあります。最新情報は主催者の公式ウェブサイト等でご確認ください。

2019年全日本ラリー選手権第9戦となる、第47回 M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2019が10月11日(金)〜13日(日)に岐阜県高山市を拠点として開催されます。今年は新たなSSが組み込まれ、山間部のワインディングロードを舞台に熾烈な戦いが予想されます。

■観戦エリアは2日間共通の1カ所

観戦用ギャラリーエリアは10月12日(土)のアルコピア-無数河、逆走ステージとなる13日(日)の無数河-アルコピアの各日1カ所に設けられます。また、12日(土)にはひだ舟山スノーリゾートアルコピアでセレモニアルスタート、13日(日)にはサービスパークの置かれるモンデウス飛騨位山でセレモニアルフィニッシュが執り行なわれます。