2023.03.05 - 全日本ラリー選手権 第2戦 新城ラリー2023 supported by AICELLO Leg2
鎌田卓麻が3位ポディウムフィニッシュ
3月5日(日)、2023年全日本ラリー選手権第2戦「新城ラリー2023 supported by AICELLO」の競技最終日が行われました。SUBARU RALLY CHALLENGEから参戦するSUBARU WRX STIの鎌田卓麻/松本優一がJN-1クラス3位、新井敏弘/保井隆宏はクラス6位でフィニッシュしました。

この日は、SS7〜SS11の5SSで構成されました。前日にも走行した『SSS Pref.Shinshiro Park』を挟んで、鬼久保を逆方向に走行する『Onikubo Rev(3.56km)』、WRCラリージャパンでも使用された岡崎市の林道コース『Nukata(9.96km)』を2回ずつ走行。『Onikubo Rev(3.56km)』 はこれまでと逆方向の下り走行、『Nukata』も新城ラリーでは新たに設定されるSSで、この日の総SS距離は27.64kmとなりました。
JN-1クラス4番手まで3.4秒差の5番手でこの日を迎えた鎌田は、この日最初の『Onikubo Rev 1』で2番手タイムをマークす2と、2ループ目の『Onikubo Rev 2』も2番手タイムをマークして4番手に浮上。最終ステージとなった『Nukata 2』は雨に見舞われましたが、このコンディションを予測して前日からタイヤを温存していた鎌田は、その戦略が見事に決まりベストタイムを記録しました。この結果、最終SSで3番手をかわしてクラス3位でのフィニッシュを飾りました。
一方、前日3番手で終えていた新井でしたが、この日は序盤から5番手タイムと調子が上がらずに苦戦。新城総合公園でのスーパーSSでは3番手タイムをマークしましたが、昼から降り出した雨の影響により2ループ目はタイヤがまったく合わず、ロングの最終ステージでは1分以上をロスするなど大きな遅れを喫し、最終的に6位でのフィニッシュとなりました。

開幕戦の優勝に続いて、今戦はJN-1クラス3位に入り2戦連続でポディウムに上がった鎌田は「昨日よりはクルマもよくなって、思い切り攻めることができています。JP4規定のマシンでの一戦目としては、いいデータが取れました。最終的にセットアップも雨用で行って、3位まで上がれたので上出来です。ドライでのスピードが足りていなかったので、次戦の唐津までに色々とトライしようと思いますが、今回はマシンのポテンシャルがあることを感じることができました」と次戦に向けての手応えを語りました。
一方、最終ループは天候に翻弄され6位でのフィニッシュとなった新井は「すべてはタイヤで決まってしまいました。前日使ったものの中から良さそうなものを使ったので、ユーズドタイヤのわりにはそれほどタイムは落ちていないという感じでしたが、2ループ目は雨が降ってしまい、タイヤのセットを間違えましたね。ドライタイヤで走ったので、特にスピンなどをしたわけでもなく、とにかく危なくてまったく走れませんでした」と悔しさをにじませました。

・担当車両:4号車(鎌田卓麻車)
・山内恭平
・名古屋スバル株式会社 鳴海浦里店 メカニック
もともとモータースポーツに興味があったという山内。18歳で初めて買ったクルマが初期型のSUBARUインプレッサWRX STI(GDB)で、そこから運転する楽しさを知り、スバルのモータースポーツ活動を知るきっかけにもなったといいます。
「就職活動中に、スバルさんがモータースポーツにメカニックを送るプロジェクトがあり、頑張れば普通のディーラーとは違う体験ができるということを聞いていたので、行ってみたいなという気持ちもあって、スバルに入りました。今年7年目なのですが、ようやく参加することができました。ゆくゆくはニュルブルクリンク24時間レースのチームにも参加したいです」
GDB型WRX STIといえばラリーというイメージが強いですが、山内が実際にラリーを目にするのは今回が初めてだったとか。
「映像で観ていたものが僕のすべてでしたが、実際に現場で見て、こんなに過酷な環境下でキッチリ整備する人はすごいなと思いました。ドライバーさんたちも信頼してくれているので、とても楽しいです」と、初めてのラリー現場を満喫できていたようです。
「店舗業務での作業ではひとり1台単位で担当するのですが、ラリーのサービスでは、チームになって一人一輪を確実に作業するというのが、自分の体感としては違うなと思いました。作業が終わったら、すぐ別のところに臨機応変に対応していかなくてはならないですし、自分のペースとはまったく違うサービスの制限時間もあるので、すごく苦しい部分もありましたが、やっていて楽しいなという気持ちの方がすごく強かったです」
今回は右リヤを担当した山内。午後から雨になった最終日は、1ループ目を終えた後のサービスで仕様変更という勝負のかかった作業に臨むことになりました。
「午前中は晴れていてすごくよかったのですが、30分サービスの時に仕様変更をすることになりました。ほかのディーラーから参加しているメカニックの方とも協力して作業をこなし、無事に3位を獲れたので、すごくうれしいです。整備した時間のひとつひとつがすべて、すごく思い出にもなりました。決められた時間の中で、作業内容がリアルタイムで変わっていくのですべてが過酷でしたが、一戦全部を通して取り組んでみて自分の成長にもつながったかなと思っています」
チームとして一台の作業を行うスタイルでは、店舗でも活かせる経験もあったと山内。
「ラリーのサービスでは、作業中は声をかけあいながら進めないとどこをやったか分からなくなってしまうので、声をかけ合うことの重要性を実感しました。この点は、自分の拠点に戻ってからも継続していこうと思います。今回、自分自身すごく楽しかったので、後輩や興味がある人たちにも勧めたいですね。自分としては、ニュルへの参加は入社からの目標でもあるので、退職するまでには一回でも行けるよう頑張りたいと思います」と、次の目標に向けた、さらなる意気込みも語ってくれました。
次戦は4月14〜16日に開催される今季第3戦「ツール・ド・九州2023 in 唐津」です。佐賀県唐津市を拠点として開催される今季2度目の舗装路(ターマック)ラリー。大きな変更を行ったマシンをさらに煮詰めて臨むSUBARU勢の奮闘にご期待ください。