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RACE REPORT

2024.11.18 - スーパー耐久第7戦富士スピードウェイ
SUBARU HiPerf-X、初年度最終レースを走り切る
11月16日(土)・17日(日)、富士スピードウェイ(1周4.563km)にて、ENEOS スーパー耐久シリーズ 2024 Empowered by BRIDGESTONE第7戦「S耐ファイナル富士」4時間レースが開催され、Team SDA Engineeringの61号車「SUBARU High Performance X Future Concept」(伊藤和広/山内英輝/井口卓人/花沢雅史)は、サスペンションのジオメトリーを変更し、フロント機械式LSDの投入などアップデートを施してサーキットに持ち込みました。決勝は、4度のFCY(フルコースイエロー)と2度の赤旗中断となり走行が制限される中、トラブルフリーで走りきり出走65台中35位でレースを終えました。
61号車SUBARU HiPerf-Xは、フロントサスペンションハウジング(アップライト)変更によるロールセンターの適正化、フロント機械式LSDの採用による旋回性向上などを盛り込んでいます。また、リアウィングの翼端板を大型化してドラッグ(空気抵抗)を低減しました。また、これは破損した前モデルのBRZ用アンダーパネルを再利用したカーボン素材で成形しています。そのほか、各種制御系調整スイッチの追加やデジタルインナーミラーなど視認性の向上を目指したメニューをも盛り込んでいます。
17日の富士スピードウェイは快晴で、直射日光を浴びる日向では暑さを感じるほどでした。この日の朝は、多くの関係者でSUBARUピットはごった返していました。主催者が特別に設けた時間に、本年のニュルブルクリンク24時間レースを走ったSUBARU WRX NBR CHALLENGE 2024のデモンストレーションランが予定されていました。S耐車のHiPerf-Xと並んでSUBARUピットで出走準備を受けたNBR CHALLENGE号は、前日夜の雨により少し路面が湿ったダンプ状態ながら計測3周を一気に走り、ホームストレート上に戻ってきました。運転していたのはトヨタ自動車の豊田章男会長であり、SUBARUの大崎篤社長が出迎えます。豊田会長がクルマから降りてヘルメットを外すと、集まった多くのメディアのストロボを一斉に浴びていました。
決勝レースは、12時30分にスタート。先発ドライバーの井口卓人は、予選で先行を許していた55号車MAZDA3 Bio Conceptをスタートで交わすと、引き離しにかかりましたがスタートから約20分後の12時50分にコース上で3台が絡むアクシデントが発生し、FCYが発動しました。そのアクシデントは300Rコーナー先の内側と外側のガードレールを破損しており、修復に多くの時間を費やすことになるため、20分後には赤旗が提示されレースは中断となります。レースカーの車列は、ホームストレート上に並び、ドライバーはマシンを降りてレースの再開を待つことになりました。その後約1時間強の間、修復作業が行われ、14時20分すぎにレースはレスタートします。直後に61号車は、ピットインして井口から伊藤和広に交代。しかし、その後、再びダンロップコーナーにてアクシデントが発生してFCYとなります。そして、同様に施設修復に時間が掛かるため2回目の赤旗中断となってしまいました。この度の赤旗中断は、レースが残り30分の時点で解除となり、伊藤に変わって山内英輝がバトンを受け継ぎます。その後は小規模なFCYが一度ありましたが、程なくグリーンフラッグが振られてレースは再び競争状態に。そして、16時30分過ぎにチェッカーフラッグが振られ、61号車SUBARU HiPerf-Xもコントロールラインを通過して順位が確定しました。
本井代表は、「クルマは良くなってきていますし、人材も活性化してチームは良い雰囲気になってきました。しかし、当初描いてきたハイパワーターボ車を残そう、というターゲットはもう少しストレッチしてやらないといけないかな、と私自身は考えています。AWDシステムの開発については、BEV(バッテリーEV)の駆動系開発担当者もチームに参加しており、有益な結果が出せていると思います。井口が降りた後の満面の笑みを見たことで、彼らも大いに刺激を受けただろうと思います」、と語りました。

チーム監督兼チーフエンジニアの伊藤奨は、「今日のレース自体は(走行時間が短く)不完全燃焼なところはありますが、レース中のタイムとしてはST2クラス、3クラスと遜色無いタイムが出せていると思います。今回は、(ドライバーから)持ち込みの状態が良かったという評価を受けています。机上で決めた仕様が通用するということは、昨年に比べると大きな進歩ですね。フロントのアップライト変更をしたことで今回ロール軸を後ろ下りぎみにセットしているのですが、それの効果の声や反対にネガ意見が聞けるだろうな、と予想していたのですが、その通りでした。これも机上で検討したことが、実際を予測できることの証明でもあると思います。オフシーズンの間に来季はどうするかをよく議論・検討していきます」、とコメントしました。
ドライバーの井口卓人は、「今回のフロントジオメトリーの変更は、とても効果的だと思います。フロントLSDについては、少しネガティブな部分があるので、来年に向けてはそれを継続して改良していくのか、また別な方法を試すかはまたみんなで話し合って行けたら良いと思います。このクルマがデビューしてから半年ですが、当初は他のクラスに置いて行かれるばかりでしたが、そこから飛躍的に良い方向に進んできました。3クラスは抜けるし、2クラスの後ろ姿も見えてきました。凄い進化を感じながら今日はレースができたました」、と話しています。

今シーズンのスーパー耐久シリーズは終了しました。ご声援ありがとうございました。
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