SUPER GT

辰巳コラム

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2016.11.14 - 2016.11/13 第8戦ツインリンクもてぎ

攻めの姿勢で挑んだ最終ラウンド

SUPER GTも2016年シーズンを終えました。チャンピオンを獲ることはできませんでしたが、2戦連続での3位、第6戦鈴鹿では勝利を挙げることができました。SUBARU/STIチームを1年間応援してくださり、ありがとうございました。
土曜日の第3戦では新たな空力パーツを投入

レースが終わってしまった後では結果論でしかないのですが、残り2戦のツインリンクもてぎで“なんとしても勝つために"リヤウイングを作るという判断をしました。もちろんよかれと思ってやったことですが、やはり無茶だったということですね。これまでの空力パーツは、実装テスト・風洞試験・CFDと色々な試験を経ていますが、今回は実装もなく風洞もなく、CFDだけで投入する格好でした。データ上では手応えがありましたし、今回もまあまあいくはずだという期待がありましたが、それが甘かった。第6戦鈴鹿や第7戦タイと同じ仕様で臨んだ方が良かったかもしれませんが、もっと良くしようとした結果が、土曜日のレースをダメにしてしまいました。我々は常に攻めの姿勢で臨んでいますが、その思い入れが空回りしてしまったということです。
さらに金曜日のウェットコンディションではそこそこいいフィーリングが得られて、予選もウェットタイヤ装着車のなかではトップに近いタイムを獲れました。濡れた路面で3番手ならまあまあいいだろうと。エアロも間違っていなかった、と自分で自分を納得させていたところがありますね。それで決勝レース、いざドライになって走り出したら全然速さが出せませんでしたし、左リヤタイヤに大きなダメージを負ってしまいました。シーズン開幕戦の岡山と第2戦の富士では温度が高くて同じ左リヤタイヤをダメにしてしまいましたが、今回は温度は全然高くない。鈴鹿やタイとほぼ同じセットアップのクルマで、そこだけダメになることは普通考えられない。となれば、大きく変わったものは空力です。ドライ路面でのデータをよく調べてみると、180km/hくらいまではちゃんと効果が出ていますが、そこから先はあまり出ていないということが見えてきたんです。
実績のあるセットアップで臨んだ第8戦

このままやっていては最終戦も同じですから、実績のある仕様に戻しました。予選は7番手でしたが、トップとはそれほど差はない。ただ、ドライバーからはブレーキが十分ではないという指摘がありました。そこは予選後に細かなセットアップを施し、決勝に臨みました。決勝は山内がスタート後に2台抜きましたし、バランスはまあまあ良かった。トップ集団を追うくらいには走れていましたが、追い抜くには至らない。その後はクルマに向いていないコースをプッシュしたことでタイヤに負荷がかかってしまいました。山内の頑張りで上位を守れましたが、左2輪を交換する作戦が裏目に出てしまいました。井口も序盤はそこそこのタイムを出してくれましたが、右側のタイヤが減っているわけですから、μが左右で違ってくる。強いブレーキングをすると、そちらが傷んできてしまうのです。低μ側のABSが介入するので制動距離がどんどん延びていってどうしようもなくなってしまったというわけです。井口はそんな状態でも諦めずに最後まで走ってくれましたし、最後の方でも1分52秒台を出してくれました。
もちろんこれはドライバーのせいではなく、判断をした側の問題です。それが総合力、チーム力なんですね。この時は“2輪交換でタイムを短縮するしかない"という思いが私の頭の多くを占めていました。前日に左リヤタイヤを壊していたことも頭にありましたし、左2本交換は意外といいのではと思いました。しかし、冷静にSUBARU BRZ GT300が走っている状況を考えれば、リヤ2輪交換が最適だったのかもしれません。ブレーキングでタイムを稼ぐクルマであり、前後のサスペンションセットアップもそういう方向にしているんです。そんななかで、左右のμを変えてしまうというのは、ドライバーに申し訳なかったというところですね。じっくり考えれば分かることなのかもしれませんが、そこに咄嗟に気がつけなかった総監督の能力の差が出てしまった。そこまで考えが回っていませんでしたね。
井口、山内はふたりとも良く頑張ってくれました。SUBARUファンの皆さんの声援もあって一生懸命走ってくれましたが、それにクルマが応えられませんでした。JAF GT車両はまだ未完成品で、今後も進化の余地はまだまだあると思っています。1年間応援ありがとうございました。

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