先日のレース後にもお話したとおり、やはり総監督である私の決断力の甘さがありましたね。リヤタイヤ2本のみの交換も作戦として考えていましたが、なんとなく流されて、4本交換をしてしまったということです。もちろんレースが終わった今では結果論でしかありませんが、タイヤの耐摩耗性のレベルは非常に上がっていて、リヤ交換だけで走り切れたのではないかなと。それに、決勝でタイヤが減ってきた時のことを考えた、もっといいセットアップがあったのではないかという部分があり、そこが大きな反省点ですかね。もっとも、良くないとは言っても、これまでとはレベルが違いますから、次の鈴鹿に向けて100%を引き出すように取り組んでいきます。
序盤から比べれば、上出来と言っていいほどの結果
レースを振り返ると、序盤に井口が3番手に浮上した後にセーフティカーが入りました。再スタートを切ったあと、2番手の21号車と我々のマシンの間に、周回遅れなのか1台FIA GT3を挟んでしまったのです。ペース自体が大きく落ちたわけではありませんでしが、そのままでは21号車を追いかけ切れませんし、引っかかってしまうよりは早めにピットに入れる作戦を採りました。早めにピットインすれば給油時間も少なくてすみますしね。ただ、そこで後半が長いこともあって、4輪交換しておこうということとなりました。ライバルたちはみんな4本交換していましたから、こっちがフロント2本を中古で走っていて、本当に勝てるのかという心配もありました。まあ、そこが甘さだったのかもしれませんが、それも含めて結果よしとするしかないですかね。
後半の山内は辛かったと思います。高速コーナーでオーバーステアが出て、セクター3ではトラクションがかからない状態で、ペースはあれ以上(1分40秒台)あげられなかった。単独走行に近い状況でしたから、その時のセッティングとしてはあれが精一杯だったというところです。1分39秒台で走れるセットアップもあったかもしれません。ただ、昨年や今シーズン序盤の結果から見ていると、上出来と言っていいほどの結果です。特に富士という場所で3位を獲れたことは大きいですね。ドライバーもチームも頑張ってくれたと思います。
この2戦でチーム全体の意識も変わってきた
マシンは空力もエンジン性能も、去年より伸びていて、予選での最高速もそれほど悪くありません。意外かもしれませんが、中団くらいにいるんです。それでも、セクター1では0.5秒ほど負けてしまっています。それをなんとかセクター2で取り返して、セクター3は速いクルマと同じくらいのタイムで走れています。ザッと計算すると、富士スピードウェイのタイムは半分がセクター3なんです。1周をだいたい1分40秒、つまり100秒で走るとして、セクター3はレースだと47秒くらいかかります。セクター2と合わせたら8割方いってしまうんです。そしてこのセクター2から3にかけての走りの出来は、鈴鹿サーキットの序盤(1〜2コーナーからS字)の速さにもつながるんです。ですから、今回ここでタイムを出せたことは大きい。この2戦でチーム全体の意識も変わってきていて、さらに富士が苦手ではないことが今回の走りで証明できました。この自信はドライバーも含めて糧になったと思います。このいい流れで鈴鹿に入れるようにクルマを仕上げていきたいですね。
今週のうちにチームでミーティングを行います。ダンロップからはレース後のタイヤのデータも送られてきますので、それも検証しながらですね。そこで鈴鹿に向けて、マシンの方向性などを決めていきます。鈴鹿では昨年唯一の表彰台を獲得していますし、少し展望が開ける1戦になると思います。引き続き応援をよろしくお願いします。