苦戦のなかに隠されたヒント
2016年の開幕戦は23位という結果に終わりました。予選4番手から順位を大きく落としてしまった原因は、すでにつかめています。レースが明けた月曜日にダンロップのスタッフとも電話で話しをしました。要は岡山に持ち込んだタイヤが外気温と路面温度に合わなかった。ダンロップの想定していた温度よりも実際の温度が5〜10度ほど高かったためです。
ダンロップユーザーのなかでも我々がここまでの苦戦を強いられてしまったのは、もともとSUBARU BRZ GT300はFIA GTに比べて車重が軽いため、ダンロップタイヤのなかでもソフトな方向のものを履くことができるからです。ソフトな方向のタイヤのなかで、さらに固めと柔らかめの2種類を持ち込みました。決勝では固めのタイヤを使用したのですが、それでも熱をもって摩耗してしまいました。クルマ自体は仕上がりつつありますが、どうしてもタイヤには負荷がかかってしまう。これはコーナーを攻めているクルマの宿命ですね。SUBARU BRZ GT300で勝ちに行くためには仕方のない部分でもあります。結果だけ見ると非常に厳しいレースでしたが、この苦戦のなかには次のタイヤへのヒントがあると思っています。
タイヤテストではロングランに重点
4月18日(月)、19日(火)には、オートポリスでタイヤテストがあります。ここではロングランに重点を置いたテストを行い、それで次戦の富士スピードウェイに臨みます。今回の失敗から学ぶことは沢山ありました。マシンのセットアップ、タイヤの選定も含めて、このテストが重要な意味をもつということです。このテストで再検証して、富士で雪辱を果たすということですね。
岡山ではフロントタイヤの摩耗はそれほどひどくはなかったのですが、リヤタイヤが音を上げてしまった。フロントが強くなり回頭性は高まりましたが、それを止めるのはリヤタイヤですから。テストでは前後バランスも見ながら、色々と考えて取り組みます。
タイヤの方向性はイベントの行われる時季の平均的な気温をもとに決めていきますが、5月の富士の方が気温が高いので、もう少し固めのコンパウンドのなかでハードとソフトを選んでいくという判断になるでしょう。シャシーの方でも改良は考えていますが、それほど大きく変更することは考えてはいません。
岡山で得た進化の手応え
岡山では4番手からのスタートでしたが、以前だったらスタートやストレートでFIA GT3に簡単に抜かれていたところを耐えることができたのは、空力の改良による部分も大きいと思います。スピードは出ている。ですので戦える感触がないわけではなく、進化の手応えを得られた一戦でした。
第2戦の舞台は富士スピードウェイですが、そのポイントになるのは第2セクター、第3セクター、そしてストレートスピードです。戦い方自体は変わりませんが、最終コーナーをどれだけ速いスピードで立ち上がれるかも重要です。最終コーナーでライバルに並び、1コーナーの進入で前に出る、という走りをしなければなりません。
レースは勝負ごとですから、負けてしまうとどうしても士気が下がってしまいます。ですが、それをどう盛り返して次につなげるかはチームの力です。総監督である私が落ち込んでしまうと、チーム全体が落ち込んでしまうので、なんとか盛り返さないとなりませんね。多くのファンの方々に後押しされていることを忘れずに、頑張るしかないと思いますので、今後もSUBARUへのご声援をよろしくお願いします。