タイヤがもつ本来の性能を引き出す
まずまずの結果ではありましたが、まだまだやることは残されていると感じましたね。岡山で走れなかったクルマがここまで走り出し、ひとつのステップを登ることはできたと思います。また、今回のレースでは、前戦よりもSUBARU BRZ GT300に合ったタイヤでしたが、ポテンシャルのあるタイヤだろうと感じました。よりよい使い方を勉強して、タイヤがもつ本来の性能を引き出せるようにならないといけません。タイヤ側もそうですが、シャシーのセッティングも合わせ込んでいかないと、と思っています。
走り終わったタイヤを見ても、フロントはまだまだ余裕がありそうですし、リヤはあまり減っていない。フロントが食いついて曲がっていくものの、リヤが滑ってしまうのでそれ以上攻められないということです。ですから、もっとリヤタイヤに仕事をさせて、バランスをとることができればより速く走ることができるはずです。リヤタイヤのメカニカルグリップを上げる方法を考えていかないとなりません。
開幕戦をみて、我々が戦えるのか不安になったファンの方も多いと思いますが、その不安はある程度解消されたと思います。ライバルを上まわる性能が出ている部分もありますし、タイム的には昨年よりもいい。もちろんレースですからラ競争相手に勝たないと意味がありませんが、まだまだいけるという感触は得られました。タイヤについても、その本領は現在よりももっと“奥”にあるはずです。それをもっと引き出さないと。本来であれば1スティントで十分にタイヤを使い切って交換するのが理想ですから、そういうかたちに持っていきたいですね。
ピット戦略は想定の範囲内
今回のレースでは2度のピットインが義務づけであり、ピットインのタイミングはだいたい均等割りで考えていました。もちろん様々な状況を考えてシミュレーションもしますが、燃料搭載量にも制限があるので、大胆な作戦を採ることは難しいのが現状です。例えばセーフティカーが出た段階でピットインしてしまえばトップと同一周回で戻ることができるケースもありますし、周回遅れなどのトラフィックや、ピット自体の状況なども考慮に入れてピットのタイミングは考えられています。
井口はスタートで予選の時に6周走っているタイヤで出ていっているので、決勝レースで35周前後、つまりほぼ40周分走行した段階でピットインさせています。前半でセーフティカーが出ましたが、井口は再スタートもうまく決めて、抜かれることなく戻ってきてくれました。
山内は新品タイヤで出ていっているので、できるだけ走ってもらうつもりでした。セーフティカーもなく、41周分周回して再び井口に交代しましたが、燃料の残りも考えるとちょうどいいところでしたね。最後のスティントを担当した井口は6番手で復帰して8位フィニッシュという結果でしたが、もし富士でなければ上位も狙えたのではないかと思います。タイヤが冷えているうちはFIA-GT3のマシンと競り合っても厳しかったですね。彼らはタイヤが冷えていてもストレートの速さがあります。ライバルとしては早い段階で抜いてしまうという戦略だったと思います。タイヤが冷えているうちはコーナリングやブレーキングといったSUBARU BRZ GT300本来の強みが出せませんから。
突き詰めれば予選で前にいないと、コーナーで抑えられてストレートで抜かれてしまうので、それも今後の課題ですね。今回の結果を見て、ポジティブな意味でやるべきことがまた増えた。まだまだいきますよという感じです。