7月3日(日)、北海道虻田郡洞爺湖町で開催された全日本ラリー選手権第5戦『2016 ARK ラリー洞爺 Supported by Sammy』はすべての競技を終了し、SUBARU WRX STIの勝田範彦/石田裕一が2位、鎌田卓麻/市野諮が3位に入りました。土曜日のステージでタイムロスを喫した新井敏弘/田中直哉は4位となっています。

ディーラーメカニックコメント「自分がメカニックになった当時のことを思い出しました」

担当車両：ラック STI 名古屋スバル DL WRX
磯部　桂輔（いそべ　けいすけ）31歳
東京スバル株式会社 浜田山店 チーフメカニック
メカニック歴9年

普段から自分の愛車でサーキットを走ったり、モータースポーツに興味があったため、参加することが決まり非常にうれしかったと言う磯部。「ただ、ラリーは初めてで、どういった環境で作業を行うのか少し不安を感じていたほどです」とのこと。土曜日には雨という過酷なコンディションでの作業となりました。「マシンが泥まみれの状態で、ホイールナットに泥が詰まってしまい、工具が抜けなくなってしまうなど、厳しい環境下での作業に戸惑いました。それと、作業時間が決まっているので、毎回が試験のような緊張感がありました」と、強烈なプレッシャーがあったことを振り返りました。

その一方、「金曜に行われたスーパーSSを観に行きましたが、そこで自分の整備したクルマが、実際にステージを走っている光景を目の当たりにして本当に感激しました」と、ラリーそのものも楽しめた様子です。あらためて参加しての感想を聞くと、「こういった環境での作業を経験したことで、自分がメカニックになった当時のことを思い出しました。“初心忘れるべからず”と言っても、忙しいなかで新鮮な気持ちは忘れがちです。でも、あらためて若い頃の“スバル車が好きだ”という気持ちが帰ってきました。それは、これからの人生でも大きな励みになると思います」という、心強い答えが返ってきました。

「チームワークを大切にして戦うことができたと実感しています。1位じゃなかったのは少し悔しかったですが（笑）。機会があったら、ぜひまた参加したいです」

次戦は8月26日(金)〜28日(日)に開催される第6戦「モントレー2016 in 嬬恋」(群馬県嬬恋村)です。第3戦以来となるターマック(舗装路)ラリーで、2015年大会ではSUBARU WRX STIの新井敏弘/田中直哉が優勝しています。次戦もSUBARU勢の奮闘にご期待ください。

勝田が3度のベストタイムで鎌田との接戦を制す

7月1日(金)の夕方に行われたSS1で、ラリーはスタート。砂防ダムの敷地に設けられた短距離のスーパースペシャルステージでは新井がベストタイム、0.1秒差で鎌田が続きます。一方の勝田はミスコースで大きくタイムロス、11.4秒ものビハインドを背負っての戦いを強いられることになりました。

7月2日(土)は洞爺湖の北西部エリアを中心とするステージが舞台となります。3箇所の林道SSを2度ずつ走行し、スーパーSSを1度走る計7SSという構成です。この日の天気予報は雨。午前中の雨足は弱かったものの、午後には暴風雨となってステージを襲いました。SS路面はグラベル(未舗装路)で、比較的ハイスピードなセクションも多いため、ひとつのミスが大きなタイムロスにつながります。

前日のSS1で首位に立った新井は、この日のオープニングとなるSS2でベストタイムを獲得しますが、続くSS3のゴール直前でスピンを喫し総合6番手まで順位を落としてしまいます。これでトップは三菱ランサーエボリューションⅩを駆る奴田原文雄/佐藤忠宜。地元北海道出身の鎌田が総合2番手から追いかける展開となりました。さらに、SS1で出遅れた勝田も徐々にペースを上げ3番手まで挽回。SS7では鎌田をとらえて総合2番手に浮上しました。新井も粘り強く走り総合4番手までポジションアップを果たしています。この日最後に予定されていたSS8はキャンセルとなり、この結果、勝田は首位から12.2秒差の総合2番手、その1秒差で鎌田が3番手となっています。総合4番手には鎌田から17.7秒差で新井がつけることとなりました。

また、今回SUBARU BRZでJN4クラスに参戦している横嶋良/木村裕介はクラス5番手。明日の上位進出を目指します。

勝田vs鎌田のSUBARU勢バトルにも注目

第4戦福島では思うような走りができなかったという勝田は「午後からすごく天候が荒れ難しいラリーでしたが、タイヤ選択が当たり２位に浮上することができました。明日も諦めずに優勝を狙いプッシュします」とコメント。3番手で勝田を追う鎌田は「雨が降ってからはセッティングが合わず順位をひとつ下げてしまいましたが、明日はドライになれば今日の午前中のようなタイムが出るはず」と、順位の挽回を期して意気込みを語りました。

デイ2となる7月3日(日)は、洞爺湖の西部エリアが舞台となるSS9〜15の計7SS。逆転勝利を目指して激走を見せるSUBARU勢の戦いぶりにご期待ください。

7月1日(金)〜3(日)、全日本ラリー選手権第5戦 2016 ARK ラリー洞爺 Supported by Sammyが開催されます。舞台となるのは北海道虻田郡洞爺湖町周辺。サービスパークは洞爺湖のほとりにある洞爺湖文化センターに置かれ、総走行距離376.25km、スペシャルステージ(SS)距離64.54kmで争われます。

SUBARU勢同士、目の離せないバトルに期待

JN6クラスのランキング首位を快走する勝田範彦／石田裕一、第4戦福島で今季初勝利を獲得し、ランキングも4番手に浮上した新井敏弘／田中直哉、ランキング5番手から上位を狙う鎌田卓麻／市野諮と、SUBARU WRX STI勢の戦いぶりに注目です。新井は2014年からこのラリーで3年連続の勝利を飾っているほか、北海道出身の鎌田も2014年にSUBARU BRZでこのラリーを制しており、ポイントで大きく差をつける勝田にとっても気の抜けない一戦と言えるでしょう。また、クスコレーシングから、アジア・パシフィックラリー選手権にWRX STI(GRB型)で参戦中のマイケル・ヤング（ニュージーランド）がVAB型でエントリーしているほか、JN4クラスには、ランキング3番手につける横嶋良／木村裕介がSUBARU BRZで参戦します。