SUPER GT

Editor's COLUMN

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第2戦 富士スピードウェイ2017.05.15

SUBARUのパワートレインを支えるオイル

SUPER GT 第2戦の富士ラウンドで、SUBARU BRZ GT300は13位フィニッシュという不本意な結果となってしまいました。しかしチームは、早くも次戦オートポリスに向けて様々な対策を講じ、序盤戦での遅れを取り戻すべく奮闘しています。今回はエンジンおよびトランスミッションの面からSUBARUの走りを支えるMOTULに焦点をあて、技術責任者の新井克矢、テクニカルマネージャーの平柳秀和両氏に話を聞きました。
SUPER GTでも戦える市販オイル

エンジンやトランスミッションに使用されるオイルの役割は様々です。金属部品同士の摩擦を抑え、フリクションロスを減らす“潤滑”、摩擦で発生した熱を吸収する“冷却”、シリンダーとピストンの隙間を塞ぎ、燃焼室の気密を保つ“油膜保持”など多岐にわたります。それぞれの機構がもつ本来の性能を100%引き出すために、オイルは欠かせない存在です。極限の世界であるモータースポーツフィールドでトップブランドとしての地位を築いてきたMOTULの開発手法とはどのようなものなのでしょうか。

新井「通常、レーシングカーのオイルは、その車両、そのエンジンに合ったものを作り込んでいきます。その過程で仕上がった要素技術(基礎的な技術)を、最終的には市販製品へとフィードバックしていくのが我々の開発の進め方です。まずはレースありき、ということですね。市販の300Vをベースに問題がないとチームが判断すればそのままお渡しする場合もありますし、リクエストがあればもっと作り込んでいきます」

平柳「エンジンオイルもギヤオイルも、いちど仕様が固まれば、それで長く使っていただいています。季節やサーキットによって種類を変えたりということはないですね。チームから走行後のサンプルをもらって解析することもありますが、基本的に問題がなければそのまま使っていただいています。SUBARUは安定していますし、大きな困りごとは聞かないですね」
長年にわたり積み重ねたノウハウ

MOTULはSUBARUだけでなく、多くのチームにオイルをサポートしていますが、そのやり取りは一対一で行われていると新井は説明します。

新井「もちろん守秘義務もありますから、各チームとは個別にやり取りをしています。それに、Aというメーカーが目指している部分と、Bというメーカーが目指している部分が違えば、当然仕様も異なってきます。出力を上げる方法として、オイルを選ぶのか、別の領域を選ぶのかということですね。そこで得られたノウハウがひと塊になって市販オイルに落とし込まれるということです」

市販オイルは、あらゆる使用条件を想定して作られ、トラブルを未然に回避しなければなりません。その要件のなかでいかに性能や燃費を引き出すか。そこに難しさがあります。その最適なバランスを取ることができるのも、MOTULのノウハウと言えるでしょう。

新井「我々とSUBARUとは世界ラリー選手権(WRC)やプロダクションカー世界ラリー選手権(PWRC)、スーパー耐久シリーズ、ニュルブルクリンク24時間など、長い間一緒にやってきています。ですから、20年近く継続している開発業務のなかにGT300があるというイメージですね。トランスミッションも同様です」

新井「全体的な話ですが、今ではパワートレインが壊れて止まるというケースはほとんど見なくなりました。それはなぜかと言えば、シーズンの前に多くのテストを行い、対策ができているからなのです。シーズンが始まる前に、我々の仕事はほぼ終わっていなければなりません。ラグビーで言えばフォワードのようにチームを支え、ドライバー・メカニック・エンジニアの皆さんに安心して頑張ってもらうというわけです(笑)」
300km、500km、1000kmという長丁場のSUPER GTにおいても高い信頼性と安定感を発揮するMOTULのオイル。すでに来シーズンに向けた開発もスタートしつつあるとのことです。SUBARU BRZ GT300のさらなる飛躍にご期待ください。

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